資料4

開発課題名「大気中・液中で動作する原子分解能分析顕微鏡」

(機器開発プログラム:領域非特定型)

チームリーダー :  粉川 良平 【株式会社 島津製作所 分析計測事業部 プロダクトマネージャー】
中核機関 :  株式会社 島津製作所
参画機関 :  京都大学
北陸先端科学技術大学院大学
大阪大学
神戸大学
T.開発の概要
 大気中や液中などの環境下において、金属、半導体、絶縁体、有機材料などの構造・機能物性評価が原子・分子スケールで可能な原子分解能分析顕微鏡を開発する。本開発では、熱ドリフトの影響を補正するアトムトラッキング技術や試料表面の特定位置の電子状態を分析するバイアス-フォースカーブ技術等の要素技術を開発し、原子・分子分解能での表面原子・分子の組成、電荷移動、結合状態などに関する知見を与える分析顕微鏡を実現する。
U.中間評価における評価項目
(1)アトムトラッキングによる位置追跡の完成
 探針の微振動については低ノイズの制御回路系の開発、熱ドリフトの応答性、トラッキング精度についてはフィードフォワード位置制御技術の組み込みにより目標を達成した。
(2)アトムトラッキングを用いたフォーススペクトル測定
 データ処理系統の改良、並びにフィードフォワード位置制御技術の組み込みにより目標を達成した。
(3)実環境AFMへの組み込み
 低ノイズ化について、制御回路系の開発により達成した。
(4)Siナノピラー探針の開発
 通電加熱により加熱清浄化した探針を試料に接触させ、探針先端にSiまたはPtナノピラーを成長させることで、実現可能とした。
(5)ナノピラー探針を用いたバイアスフォースカーブ法の開発
 周波数検出用PLL回路内の各要素の回路特性および回路パラメータの最適化を行うことで、周波数検出感度を改善した。
V.評価
 大気中や液中などの環境下において、金属、半導体、絶縁体、有機材料などの構造・機能物性評価が原子・分子スケールで可能な原子分解能分析顕微鏡の開発は、原子・分子分解能での表面原子・分子の組成、電荷移動、結合状態などに関する知見を与え、ナノ計測分野における飛躍的な発展をもたらすものと期待できる。
 開発は順調に進行しており、当初目標に掲げた成果は十分達成できると思われる。雑音の解析を詳細に行い、雑音源を理論限界まで除去できたことは特に評価に値する。今後は、電気化学、触媒化学等分野毎のユーザーの要求性能を明確化しつつ、着実に推進すべきである。


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