チームリーダー : |
片岡 淳 【東京工業大学 大学院理工学研究科 助教】 |
中核機関 : |
東京工業大学 |
参画機関 : |
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
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- T.開発の概要
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陽電子断層撮影(PET)はガンを早期に発見する最良の手段であるが、装置の大型化と高コストが広い普及を妨げている。本開発では、光増幅フォトダイオード(APD)を基調とした「拡張型PET」の要素技術を確立する。優れた光感度をもつAPD を64ch ないしは256ch に配列化し、新開発の専用LSI と一体化することで、今までにない小型かつ高感度の撮像素子が作られる。PET の理論限界に匹敵するサブミリ程度の分解能に迫ることが可能となり、小さな腫瘍の発見や小動物の脳内代謝カメラとしても応用が期待できる。
- U.中間評価における評価項目
- (1)APD-アレイの設計・製作
- 8x8ch 、16x16ch APD-アレイを計4種類製作し、各々、ゲイン、ピクセル容量、ピクセル暗電流の目標値を達成できた。
- (2)専用LSIの設計・試作
- 回路シミュレータの立ち上げおよびこれを用いた LSIの設計完了し、8ch 読み出し用LSI、40素子の製作を完了した。完成した素子の評価基板の設計・開発も完了し、現在詳細な性能評価・機能試験を行っている。概ねシミュレーションで期待される性能が得られている。
- (3)ピクセルシンチレータ(センサーヘッド)の性能評価
- 8x8ch の LYSOアレイ(2.2mm角)、16x16ch の LYSOアレイ(1.3mm角)に加え、8x8ch の LuAGアレイ(2.2mm角)を完成した。
- V.評価
- PETの理論限界に匹敵するサブミリメートルの分解能にせまり、小さな腫瘍の発見や小動物の脳内代謝カメラとしても応用が期待できる要素技術の開発は、優れた光感度を持つAPDとシンチレータを配列化し、新たに開発する専用LSIと一体化することで、今までにない小型かつ高感度のガンマ線撮像素子を実現し、PETの次世代要素技術となることが期待される。
- 開発は極めて順調に進行しており、参画機関においては大面積APDアレーの実用化に関しての検討が既に進められ、当初計画には無かったTOF機能も開発された点は特筆すべき成果として評価できるものであり、今後の更なる発展が期待できる。今後はPETの要素開発として世界的な優位性の確保を念頭に置きつつ、積極的に推進すべきである。
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