資料4

開発課題名「X線HARPを用いた生体超高分子構造機能解析装置」

(機器開発プログラム:領域特定型「生体内・細胞内の生体高分子の高分解能動態解析
(原子・分子レベル、局所・3次元解析)」)

チームリーダー :  若槻 壮市 【高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 教授】
中核機関 :  高エネルギー加速器研究機構
参画機関 :  財団法人 NHKエンジニアリングサービス
T.開発の概要
 現行のCCDやピクセル型2次元X線検出器に比べ100倍以上の感度を持ち、リアルタイムイメージングにも対応できる高感度X線HARP検出器を開発し、放射光マイクロビームX線ビームライン、サブミクロン結晶のハンドリング技術、データ解析方法などの開発と併せて、現在最先端の放射光X線では測定の困難な「蛋白質、核酸、糖鎖の生体超高分子複合体の超微小結晶の構造解析システム」を構築する。
U.中間評価における評価項目
(1)冷陰極撮像板の開発
 スピント型冷陰極アレイを試作し、目標とする性能を確認した。
(2)冷陰極撮像板用HARP膜の開発
 X線検出用HARP膜を形成した。
(3)ダイナミックレンジの評価
 X線回折に必要なダイナミックレンジの目標値に対して、HARP撮像管でのダイナミックレンジ実測値は達成していない。
(4)高精度水平自由回転駆動装置の開発
 ピエゾ機構・フィードバック制御方式ではなく、別方式を検討する予定。
(5)結晶交換ロボットの開発
 ロボット作成中。今年度末にBL17Aにマッチングを図る。
(6)アンジュレータ放射光X線の利用
 短周期アンジュレータを光源とするマイクロフォーカスビームラインBL-17Aを完成。
 X線HARP検出器プロトタイプの実験を実施した。
V.評価
 本課題は、現行のCCDやピクセル型2次元X線検出器に比べ100倍以上の感度を持ち、リアルタイムイメージングにも対応できる高感度X線HARP検出器を開発し、放射光マイクロビームラインによる生体超高分子複合体の超微小結晶の構造解析システムを構築する重要な開発課題である。
 開発は、X線HARP検出器に遅れがあり、計画の目標を達成できるかどうか再検討の必要がある。特に超微小結晶への対応に焦点を絞って、ビームラインのビーム径、結晶回折装置の回転精度、2インチ径X線HARP検出器の空間分解能が全体システムとして目標とする結晶解析の機能を発揮できることを明確化しつつ、着実に推進すべきである。


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