資料4

開発課題名「DNAエンコード技術による生体情報分析法」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  陶山 明 【東京大学大学院 総合文化研究科 教授】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  東京大学(医、情報理工)
東京工業大学
東京理科大学
株式会社オリンパス
T.開発の概要
 ゲノムDNAが持つ分子情報のデジタル化により、ゲノムDNAの情報をコンピュータで解析することが可能となった。本開発では、生命・医科学、創薬・医療を進める上で重要な、まだ依然としてデジタル化されずに残っている大量の生体情報を分析するための迅速で低コストな分析技術として、DNAエンコード技術を用いた生体情報分析法を開発する。これにより非常に簡便な装置で複雑な生体情報を低コストで分析することが可能となる。
U.中間評価における評価項目
(1)他律的手法に基づくDNAエンコード技術を用いた遺伝子の発現分析
 マウスやヒトの細胞を用いた遺伝子の発現分析で、必要total mRNA量、同時解析遺伝子数および判定演算遺伝子の数値目標を達成した。同じく、自律的手法によっても数値目標を達成した。
(2)他律的手法に基づくDNAエンコード技術を用いたSNPタイプの分析
 ヒト五番染色体上のSNPタイプの分析で、必要ゲノムDNA量、同時解析SNP部位数、および演算SNP部位数の目標数値を達成した。同じく、自律的手法によっても数値目標を達成した。
(3)スライドガラスフォーマット蛍光検出装置の要素技術としてのLED照明系確立
 落射蛍光顕微鏡で通常使用される75Wのキセノンランプと比較した結果、青、赤、緑色の全てのLED照明系で数値目標を達成した。
(4)スライドガラスフォーマット蛍光検出装置の要素技術としての走査光学系確立
 DNAキャピラリーアレイの隣接スポットからの漏れ光の強度は、目標数値以下に抑えることができた。
V.評価
 開発中のDNAエンコード技術は、遺伝子発現解析やSNPパターン解析等の生体情報分析において、生体分子DNAの持つ情報処理能力を利用する原理的に新しい測定技術であり、定量性、精度、およびコストなどの面で既存の分析手法に勝る可能性があり、広く生命科学分野に大きな貢献が期待できる。
 開発は順調に進行しており、当初目標に掲げた成果は十分に達成できると思われるが、今後は、実用に即した性能評価データの取得、生命科学分野の学会等での宣伝活動、ユーザーによる実用評価試験等、実用化に向けた準備を早急に進めつつ、着実に推進すべきである。


前のページに戻る