資料4

開発課題名「顕微質量分析装置の開発」

(機器開発プログラム:領域特定型「生体内・細胞内の生体高分子の高分解能動態解析
(原子・分子レベル、局所・3次元解析)」)

チームリーダー :  瀬藤 光利 【自然科学研究機構 岡崎総合バイオサイエンスセンター 助教授】
中核機関 :  自然科学研究機構
参画機関 :  株式会社島津製作所
大阪大学
独立行政法人 理化学研究所
財団法人 癌研究会
T.開発の概要
 質量分析のイオンビームによって病気の原因物質を見て取る「顕微質量分析装置」を開発する。この装置は、未知の物質を生体内から発見と同時に同定できるという、既存の装置にない新性能を有し、蛋白質や核酸、脂質、糖鎖、それら同士の修飾、未知の物質等、までも単一細胞内レベルで対象とすることができる。この手法は患者の病理組織での異常の原因をその場で見ることができるため、迅速な診断や医薬、治療法の開発に貢献することが期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)イオン化システムの製作
 顕微レーザーの照準精度、スポット径、位置分解能、感度等の目標とする性能を達成した。
(2)質量分析部の製作
 目標とした質量分解能を達成した。イオン分離能についても新規開発したイオントラップシステムにより目標を達成した。
(3)データ処理システムの開発
 試料前処理法の開発の進展が早く、ハードウェアの高精度化が進んだために、統計的解析システムの負担が軽減され前倒しで目標を達成した。
V.評価
 質量分析のイオンビームによって病気の原因物質を見て取る「顕微質量分析装置」は未知の物質を生体内から発見し、同時に同定できるという新性能を有している。
 開発は計画通りに進行しているが、生きたまま大気圧下でのイオン化についてはさらなる努力が必要とされよう。同種の装置開発は世界的にも極めて珍しく、参画機関である企業の努力とあわせて世界初の装置開発が期待できる。今後は、現状の装置での商品化を視野に入れ、さらなる新技術を導入した世界初の装置開発を目指し、着実に推進すべきである。


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