資料4

開発課題名「高分解能スピン偏極走査電子顕微鏡」

(機器開発プログラム:領域特定型「ナノレベルの物性・機能の複合計測」)

チームリーダー :  小池 和幸 【北海道大学大学院 理学研究院 教授】
中核機関 :  北海道大学
参画機関 :  日本電子株式会社
T.開発の概要
 ハードディススクをはじめとする磁気デバイスや磁性材料の開発は急速に進み、現状の評価装置では分解能を含め、対応が困難となりつつある。そこで、磁気分解能3nmを有し、ナノ領域の組成分析、結晶構造解析機能を複合化したスピン偏極走査電子顕微鏡を新たに開発して、磁気構造解析、その組成・結晶構造との関係を解明し、磁性に関する現象の解明やデバイス性能向上の研究に貢献する。
U.中間評価における評価項目
(1)スピン検出器高効率化
 モット散乱基礎データに基づく散乱電子検出シミュレーションにより、目標を上回る検出効率が得られる見通しを得、スピン検出器の設計を完了した。現在製作中である。
(2)SEM鏡筒の高分解能化
 シミュレーションだけではなく収差補正器搭載SEM実機で、目標の分解能が得られていることを確認した。
V.評価
 本課題は、空間分解能3nmを有し、ナノ領域の組成分析、結晶構造解析機能を複合化したスピン偏極走査電子顕微鏡を新たに開発するものであり、急速に進むMRAM(Magnetic Random Access Memory)等磁気デバイスの微細化に対応しうる最先端のナノ磁区構造観察手段として期待が大きい。
 開発は、収差補正による空間分解能3nmはシミュレーションおよびSEM鏡筒実機による実験も行い、当初計画時の目標は達成できるものと思われる。今後は、最先端機能のためのデザインの総合的最適化を行い、ユーザーの要求性能を明確化した上で、着実に推進すべきである。


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