JSTトップ > 事業成果 > 新着情報

2017年度 /  2016年度 /  2015年度 /  2014年度 /  2013年度 /  2012年度 /  2011年度 /  2010年度 /  2009年度以前  


「電気代そのまま払い」を利用して冷蔵庫を買い替えた場合の、冷蔵庫導入費用の返済方法例。

電気代節約分で新型・省エネの冷蔵庫が手にできる家電買い替えの新たな枠組みを提案

低炭素社会戦略センター(LCS)

JSTnews 2017年4月号掲載

家電量販店で必ず目にする「省エネ」の文字。1日あたりの電気代と年間でいくらお得になるかを、各メーカーがここぞとばかりにアピールしています。我が家もそろそろと、考えてはみるものの、特に大型家電の買い替えは値段をみて二の足を踏んでしまいます。省エネや月々の電気代の節約より一度に大きな出費を避けたいのが人情です。

そんな消費者の心理と、省エネ効果をうまく結びつけた提案が実現し始めました。

低炭素社会戦略センター(LCS)と東京大学大学院工学系研究科の松橋隆治教授(LCS研究統括)らが2014年より家庭での省エネを進めるために提案してきた「電気代そのまま払い」の枠組みの実施です。これは、冷蔵庫などの省エネ機器を導入する際、必要な初期費用を金融機関などが立て替え、節約した電気代相当額を月々の電気代と一緒に支払い、冷蔵庫代を返済するアイデアです。LCSと東京大学は「電力使用量見える化実験」により収集した実際の家庭の冷蔵庫の消費電力データに基づき、月々に節約される電気代を簡単に推計する方法を開発しました。

この成果をもとに、2015年4月より静岡ガスの協力を得て静岡県内の一般家庭20世帯で、冷蔵庫の消費電力量の計測を開始し、このデータを分析しました。この分析結果から、これまで5世帯に「電気代そのまま払い」を提案し、2世帯で冷蔵庫の買い替えが実現しました。実際に冷蔵庫を買い替えた家庭では、60%以上の省エネ効果(電気代にして1,500円/月以上の節電効果)が確認されました。

買い替える前と同程度の電気代を月々支払うだけで、最新の機器を導入できることは家計にとって、どれだけ嬉しいでしょうか。将来、この枠組みを冷蔵庫以外の家電や照明などの機器に広げることで、家庭での省エネ量は確実に高まるはずです。家計にも環境にも優しい枠組みを、今後は全国へ普及させることをめざします。


モバイル遺伝子検査機(試作機)。高さ200mm×幅100mm×厚み50mm、重量約500g

携帯できる小型遺伝子検査装置を開発 インフルエンザやノロウイルスの感染を現場で検査

先端計測分析技術・機器開発プログラム

JSTnews 2017年4月号掲載

風邪かな?と思っても初期症状だけで病気を自己判断するのは禁物です。実はインフルエンザだったということもよくあります。

インフルエンザやノロウイルスによる集団感染や食中毒の拡大を抑えるには、初期段階で有効な対策が必要です。そのために原因となる細菌やウイルスの特定を現場で素早く、高精度に測定する手段が求められていました。

開発した遺伝子検査装置は、軽くて持ち運びが可能で、インフルエンザなどの感染を約10分で検査できます。遺伝子検査は通常、血液などを使い、遺伝子の特定部分を大量に増やし感染を調べますが、今回小さなプラスチック基板で高速に遺伝子を増やす技術と、遺伝子の量を高感度で測定できる小型蛍光検出技術を組み合わせることで、高精度のまま小型化と短時間での検査を実現しました。

日本板硝子株式会社の福澤隆主席技師と産業技術総合研究所の永井秀典研究グループ長、株式会社ゴーフォトンの共同開発チームの成果です。

これまでの遺伝子検査装置は大型で、専門施設内での利用に限られていたため、現場で採取したサンプルを送るなど、判定までに1日以上かかっていました。その結果、現場の簡易検査で陰性だったのに、遺伝子検査で感染が判明し対策が後手に回ることもありました。

新たな装置は、どこへでも簡単に持ち運べることから、食品衛生、感染症予防、環境汚染調査など幅広い分野での活用が期待されます。医療機関や食品工場に加えて、学校や空港などの公共施設に持ち込み迅速な遺伝子検査が可能になります。近い将来さらに小型化され、スマートフォンのように1人1人が持ち歩き、感染症の診断を自分でチェックする――なんてことが実現するかもしれません。