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科学技術情報インフラの構築

オープンサイエンスへの取り組みと、データベースなど知識インフラの構築

RDA総会の誘致・開催

図:第7回RDA総会

第7回RDA総会

近年、公的研究資金を用いた研究成果を広く社会に公開し、イノベーションの創出につなげるオープンサイエンスの動きが活発になっており、国際的枠組みや欧米各国政府はオープンサイエンスのための基盤整備や枠組み作りに関する施策の検討を進めている。そうした国際的枠組みの1つにResearch Data Alliance(RDA)がある。RDAでは、研究者主導により、研究データの共有、利用、アクセス促進のためのインフラ、ポリシー、標準化等の検討を行っている。JSTは、アジア地域で初開催となる第7回RDA総会(平成28年3月1~3日)を誘致・開催したほか、総会前日にはデータシェアリグシンポジウム(平成28年2月29日)を開催した。それぞれの基調講演、セッションにおける講演を通じ、世界におけるデータシェアリングの情報を共有し、日本の科学技術の将来にとって必要な取り組みについて議論を深める有意義なイベントとなった。これらのイベントには国内外から多数の参加があり、我が国の研究データ共有に関するステークホルダーが一堂に会する機会となった。本イベントを契機として、我が国でのデータシェアリングに関する議論の活性化が進んだことは大きな成果である。

「研究データ利活用協議会」の発足

オープンサイエンスの流れのなかで

2016年6月3日、「研究データ利活用協議会」Research Data Utilization Forum (RDUF)が発足した。2016年3月にRDA総会を東京に招致したことを契機として、日本においてもオープンサイエンス推進の気運が高まっている。

このような状況下、デジタルオブジェクト識別子(DOI)登録機関であるジャパンリンクセンター(JaLC)が、DOI登録だけでなくオープンサイエンスの実現に向けさらなる検討を継続していくことを目的として、研究データ利活用協議会を発足させた。

広がるコミュニティ

研究データ利活用協議会へは、機関参加もしくは個人参加の形態で参加できる。2016年12月現在の参加機関は、JaLCを運営する科学技術振興機構(JST)、物質・材料研究機構(NIMS)、国立情報学研究所(NII)、国立国会図書館(NDL)の4機関と、協議会の設立に携わった情報通信研究機構(NICT)、千葉大学(附属図書館、アカデミック・リンク・センター)、産業技術総合研究所(AIST、参加準備中)の計7機関である。また、個人参加は25名である。協議会の趣旨に賛同する人であれば、だれでも個人で参加できる。会長はNII・JaLC運営委員長の武田英明氏、副会長はNICTの村山泰啓氏が務める。

研究会やシンポジウムなどのイベントを開催
図:公開シンポジウム

公開シンポジウム

2016年7月25日には、キックオフミーティングを一般公開で開催した。全国から70名以上の参加があり、その所属は大学・研究機関、図書館、企業、官公庁・行政機関などさまざまであった。多様なステークホルダが研究データの利活用に関心をもっていることがわかる。ミーティングでは、参加機関からの発表の後、グループディスカッションを行った。今後の研究データ利活用の期待や、不安、当面の課題などについて、参加者全員による意見交換や意識共有の場となった。

続いて、10月3日には研究会(第1回)を、10月26日には研究会(第2回)を開催した。さらに、11月4日には、サイエンスアゴラ内で、公開シンポジウム「研究データの利活用の未来‐オープンサイエンスの実現手段‐」を開催した。多くの人々にとって身近な水災害分野におけるデータ利活用を題材として、その最新状況と意義について多くの参加者に共有した。

このような場を通じて、参加者が研究分野の枠を超えてオープンサイエンスの意義や課題などを共有することにより、研究データの利活用が加速することを期待する。

研究動向が知りたい!新技術開発やビジネスの糸口を見つけたい!そんな時にJ-GLOBAL

インターネットで簡単に様々な情報にアクセスできるようになった今日、信頼できる情報の収集と活用はこれまで以上に重要になっている。

J-GLOBAL(科学技術総合リンクセンター)は、JST内外のさまざまな専門的なサービスと連携し、信頼性の高い科学技術情報をより効果的に流通させ、わが国のイノベーション創出に貢献することを目指し、2009年にサービスを開始した。

J-GLOBALでは、JSTが長年にわたって整備してきた科学技術分野の文献情報や研究者情報をはじめとする10種類のコンテンツを一度に検索できる。また、これらの情報は関連のある項目でつながっており、情報の関係性をたどることで、思いがけない情報を得ることができる。さらにはJST内外の連携サービスにもつながっている。たとえば、ある文献に着目し、その著者名をキーに研究者情報へ、さらに研究者名をキーに出願した特許情報に、そして特許の全文情報へとたどりつくことができる。

J-GLOBALは2016年3月にリニューアルし、詳細検索機能や分析機能を備えた。分析機能では、研究や技術に関するキーワードや人名を入力し、検索ボタンを押すだけで、関連するデータを分析・可視化し、情報のつながりを俯瞰する図、出現頻度を可視化するグラフ等を表示することができる。

利用者からは「研究動向の把握や開発テーマのアイデア探しにJ-GLOBALを活用している」、「J-GLOBALで発想が広がるような調査ができる」、「J-GLOBALは調査時間の短縮に貢献している」という声もあがっている。

また、2015年には、他機関との連携や分析などでの活用を容易にするため、J-GLOBALの情報をより機械可読でオープンデータに適したデータ形式で提供する「J-GLOBAL knowledge」を試験公開した。こちらもぜひお試しいただきたい。

J-GLOBALの仕組み
J-GLOBALの仕組み
J-GLOBALの分析結果例
J-GLOBALの分析結果例

J-GLOBAL URL:https://jglobal.jst.go.jp/
 J-GLOBAL knowledge URL:https://stirdf.jglobal.jst.go.jp/

日中・中日機械翻訳の実用化

人工知能の様々な分野への適用が話題になっているが、機械翻訳においても急速にその適用が進められ、大きな変化が生まれつつある。

JSTでは2013年から京都大学並びに中国の研究機関と連携し、日中・中日機械翻訳システムの実用化に取り組んできましたが、この程、人工知能の主要技術であるニューラルネットワークを用いた機械翻訳システムを開発し、WAT 2016(The 3rd Workshop on Asian Translation、2016.12.12 大阪開催)において日中・中日機械翻訳でトップとなる翻訳精度を達成した。

本システムは、JSTが提供する科学技術文献データベースJSTChinaの中日機械翻訳に既に適用されており、また日英・英日等他言語の翻訳にも適用可能なため、今後の展開が期待される。

なお、機械翻訳精度の向上には、学習データ(対訳コーパス)が極めて重要な役割を果たしており、JSTがこれまで科学技術文献データベースの構築で培ってきた1千万件を超える対訳コーパスの蓄積が、高い翻訳精度達成の大きな強みとなっている。

ニューラル機械翻訳の仕組み
ニューラル機械翻訳の仕組み
中日機械翻訳の例
中日機械翻訳の例
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