文部科学省 再生医療の実現化プロジェクト
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文部科学省 再生医療の実現化プロジェクト
 
研究用幹細胞バンク整備領域
研究用幹細胞バンクの設置目的

21世紀の新しい医学として再生医学が注目されていますが、その成功の鍵を握るのが幹細胞です。幹細胞は、種々の細胞に分化できる能力「多分化能」と、未分化な状態のまま自分自身を増やすことができる能力「自己複製能」を兼ね備えた細胞と定義され、この両方の性質を生かしながら我々の体の発生・修復・維持に重要な役割を担っていると考えられています。

しかし、幹細胞についてはまだ良くわからないことが多く、再生医療を実現するには今後さらに幹細胞に関する研究を進める必要があります。この様な研究を進めるにあたってはヒトの細胞を実験材料として使うことが必要となりますが、多くの研究者にとってヒトの細胞を入手することは簡単ではありません。これが研究の進展と臨床への応用を妨げている原因の一つになっています。

このような状況を打開し再生医療の実現を促進するため、第I期では再生医療の実現を目指す研究者に品質が保証されたヒト幹細胞を供給する体制を整備することを目的としました。

 
領域代表(サブプロジェクトリーダー)東京大学医科学研究所 ヒト疾患モデル研究センター 教授 東京大学医科学研究所 中内教授

中内 啓光(なかうち ひろみつ)

http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/sct/

1983年に東京大学大学院医学系研究科修了後、スタンフォード大学医学部研究員、順天堂大学医学部講師、理化学研究所チームリーダー、筑波大学基礎医学系教授を経て2002年より東京大学医科学研究所教授。

臍帯血を利用した研究用幹細胞バンク

ヒトの幹細胞資源として色々なものが考えられますが、臍帯血は提供者に全く危険がなく、しかも最近の研究から造血幹細胞のみならず種々の再生能力を秘めた幹細胞資源として注目されています。現在、移植を目的として臍帯血が採取され臍帯血バンクを介して保存・供給されています。 ところが、臍帯血バンクにご提供いただいた臍帯血が、量が少ないなどの理由で日本臍帯血バンクネットワークの定める「臍帯血移植への提供のための保存基準」を満たさない場合には、残念ながら臍帯血移植には使用できません。私たちは、このような場合に、移植や難治性の病気に対する新しい治療法の実現を目指す再生医療の研究のために臍帯血を使用させて頂きたいと考えております。移植に用いることができなかった臍帯血が研究用幹細胞バンクに提供される場合は、プライバシー保護のため提供者の氏名・住所などを削除し符号化されていますので、提供者を知ることは決してできません。臍帯血は、倫理委員会により科学的正当性と倫理的妥当性が認められた研究のみに提供されます。

本プロジェクトでは、移植だけでなくこの目的にも賛同していただいたドナーからの臍帯血のうち、移植に用いられなかった臍帯血を収集・保存し、再生医療に関わる研究者からの要請に応じて提供するための研究用幹細胞バンクを整備することにより移植や難治性疾患に対する新しい治療法を開発することを目指します。また、臍帯血の供給に加えて、純化した造血幹細胞の供給、新しい幹細胞の探索、幹細胞を増やすための研究なども行いました。

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