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研究者・研究内容

研究者・研究内容

再生医療の実現化を目指す研究の支援
再生医療の早期実現化と国際展開に向けた研究開発支援を行います。

①課題運営支援

運営委員会による各課題のプロジェクトマネジメントの支援
各種規制の見直しに関する調査研究に必要な研究成果等の行政への提供

②臨床展開支援
臨床研究・治験関連文書策定・申請支援
研究関連データ等の集約・電子化・管理に貢献
細胞製剤製造にかかる講習・技術移転
前・非臨床研究関連データ、ノウハウ等の集約・電子化・管理と標準化促進

③社会受容支援
プロジェクト内情報交換・共有、アウトリーチ活動、事業全体の推進に寄与

 

 
代表機関:独立行政法人 医薬基盤研究所
代表研究者:松山 晃文
        難病・疾患資源研究部 難治性疾患治療開発・支援室
        研究リーダー



「社会の利益」が大きくなり続けると想定されていた戦後の高度成長時代は、最大多数の最大幸福のため、成長することで大きくなった「社会の利益」を分配することで公平性(正義)を担保してきました。現在では、社会の持続的な緩やかな成長が目指されています。「社会の利益」の観点からすれば、それが量から質に変化する時代が到来したと言えます。「社会の利益」そのものが量的に増えていきにくい現在、公平性(正義)の確保は既存の「社会の利益」の質的変化、すなわち再分配によらざるを得ません。このような時代にあって、科学に求められること、私たち研究者に求められることにも変化が起きています。
いま私たちがかかわっている再生医療研究も、新たなメディシン(医療)生み出すことを目的としています。メディシンは個人にとっても共同体(社会)にとって道徳的な営みであり、人間にとって「善」を求める営みです。ここで仮に、共同体を構成する我々一人ひとりが、あたかも目隠しをされたような状況で、知識も生きてきた背景も均一であるという状況におかれたとしましょう。決して出し抜くことはできません。ある稀少疾患患者(自分がもしかしたらその疾患なのかもしれませんが、知らされていません)を犠牲にして得られた研究成果で、経済的に恵まれた患者だけが治療される、そういう共同体が指向されるでしょうか。そのような原初状態の中で、我々共同体の構成員は、そのような社会を望むでしょうか。それは「善」ではないはずです。直感から言って、稀少疾患患者という弱者が被験者の集まりとして扱われ、より優位な立場の人々が再生医療研究による利益を受けるのであれば、それは不公正と感じるでしょう。これまでもメガファーマは多くの患者さんを救ってきました。功利主義的に考えれば、最大多数の最大幸福は満たされつつあります。一方で、いわゆるオーファンといわれる希少疾病の患者の治療法の開発はなかなか進んでいません。基礎的研究成果が社会還元されないという共同体の社会的不満が再生医療への期待となって、私たち研究者に付託されているのです。
 こう考えると、再生医療研究が目指すメディシンとは何か、より大きな人間の善の追求において再生医療の実現化ハイウエイの役割とは本来何でありうるか、答えは明白です。この想いを胸に、私は再生医療の実現化にむけ、本研究事業を行ってゆきたいと思います。


本研究課題では、(公財)先端医療振興財団が有する 再生医療の実用化への経験と規制研究の実績 をもとに、採択研究課題の迅速な実現化とその国際展開にむけ、 研究開発早期から一貫した支援を実施 する。これらを達成するため、国立医薬品食品衛生研究所先端医療特区対応部門の協力をうけつつ1) 課題運営支援、2)臨床展開支援および3)社会受容支援の3サブプロジェクトを推進する。

1)課題運営支援サブプロジェクト
採択各課題のプロジェクトマネジメントのため、ポートフォリオ情報の PD ・ PO 、行政機関および運営委員会への提供にて進捗管理を支援するとともに、臨床展開支援サブプロジェクトにて集積・標準化した情報を基盤とし、各種規制の見直しに関する調査研究に必要な研究成果等の提供を行う。採択課題の速やかな臨床応用をめざし、薬事戦略相談事前面談にかかる事前論点整理を行い、対面助言における質疑応答を取りまとめ、各採択課題代表者への解説・説明業務を行う。

2)臨床展開支援サブプロジェクト
ヒト幹細胞臨床研究・治験プロトコールを含む 関連文書策定・申請支援、研究関連データ等の集約・電子化・管理に貢献し、各実施機関から研究員・技術員を受け入れ細胞製剤製造にかかる講習・技術移転を行う。また、再生医療の実現化事業としてのポートフォリオマネジメントシステムを構築、実施する。次いで、各実施機関の 臨床展開にむけた前・非臨床研究関連データ、 ノウハウ等の集約・電子化・管理するとともに、使用許諾、利益が生じた場合の利益配分のルールを策定、インセンティヴを与えることでデータ共有と標準化促進を図り、もって他課題との競争的協調効果を得ることを目指す。

3)社会受容支援サブプロジェクト
ワークショップによるプロジェクト内情報交換・共有、シンポジウムなど「国民との科学・技術対話」の場の提供による情報発信と患者団体との連携(アウトリーチ活動)に努め、事業全体の推進に寄与する。

これら 3サブプロジェクトを有機的に統合し、 再生医療の早期実現化と国際展開に向けた研究開発を支援 する。



「再生医療の早期実現化と国際展開に向けた研究開発支援(課題 C )」では、 代表・分担研究者らと(公財)先端医療振興財団、協力機関としての国立医薬品食品衛生研究所先端医療特区対応部門(スーパー特区対応部門)が有する再生医療の実用化への経験と規制研究の実績をもとに、課題 A 及び B の迅速な実現化とその国際展開にむけ、 課題の進捗管理、ノウハウ集約等の協力等体制の構築、成果の取りまとめを行うなど、 研究開発早期から一貫して支援することとしている。その成果として、平成 25 年度末までには体性幹細胞を利用した First-in-Man 臨床研究の 2 課題以上の開始を支援し、平成 27 年度末までには iPS 細胞 /ES 細胞を利用した First-in-Man 臨床研究の開始を目指している。



 
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