■ 研究成果

「超微細回路を簡便・高速・大面積に印刷できる新原理の印刷技術を開発
         〜あらゆる生活シーンのIoT化・タッチセンサー化を加速する新技術〜」

テーマ名: 有機材料を基礎とした新規エレクトロニクス技術の開発
PO :   谷口 彬雄(信州大学 名誉教授/特任教授)
課題名:  新しい高性能ポリマー半導体材料と印刷プロセスによるAM-TFTを基盤とするフレキシブルディスプレイの開発
プレスリリース日 平成28(2016)年4月20日

概 要

 産業技術総合研究所 フレキシブルエレクトロニクス研究センター 山田 寿一 主任研究員(現:窒化物半導体先進デバイスオープンイノベーションラボラトリ ラボ研究主幹)、 長谷川 達生 総括研究主幹(兼)東京大学大学院工学系研究科教授らは、東京大学、山形大学、田中貴金属工業株式会社と共同で、紫外光照射でパターニングし、 銀ナノ粒子を高濃度に含む銀ナノインクを表面コーティングするだけで、超高精細な銀配線パターンを製造できる画期的な印刷技術「スーパーナップ(SuPR−NaP:表面光反応性ナノメタル印刷)法」を開発しました。
 プリンテッドエレクトロニクス技術のうち、微細な電子回路の構成に欠かせない高精細な金属配線を印刷する技術は、冶具・版などの汚染による繰り返し再現性の乏しさ、塗布後の基材表面上での金属粒子同士の 焼結・融着、高温の後処理によるプラスチック基板のゆがみ、基材の屈曲による配線の剥がれなどが課題でした。今回開発した技術は、紫外光の照射によって形成した活性の高い基材表面上に、銀ナノインク内の銀ナノ粒子を選択的に化学吸着させ、 粒子と粒子との自己融着によって低い抵抗の銀配線を形成します。これにより、プラスチック基板に強く密着し、最小線幅0.8マイクロメートルの超高精細な金属配線を、真空技術を一切使うことなく、 大面積基材上に簡便・高速に印刷で作製できるようになりました。フレキシブルなタッチパネルセンサーがこの技術によって実用化される予定です。

JSTプレスリリースはこちら :2016年4月20日発表 (記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

金属配線の印刷製造工程の一部とフレキシブル基板
図1 スーパーナップ法による
金属配線の印刷製造工程の一部(上)と
フレキシブル基板(下)
スーパーナップ法の模式図
図2 スーパーナップ法の模式図

(1)紫外光のマスク露光、
(2)反応性表面の潜像形成、
(3)銀ナノインクのブレードコーティング、
(4)銀配線パターンの形成。

NMRの高磁場化を支える超伝導磁石技術の歴史
図3 印刷した金属配線の顕微鏡写真

左:5マイクロメートル、3マイクロメートル、0.8マイクロメートル線幅の金属配線の光学顕微鏡写真
    右:0.8マイクロメートル線幅の金属配線の電子顕微鏡写真

戻る


「コンパクト超高磁場NMRの実現へ 〜レアアース系高温超伝導ワイヤを使用したNMR装置を開発〜 」

テーマ名: 超伝導システムによる先進エネルギー・エレクトロニクス産業の創出
PO :   佐藤 謙一(元・住友電気工業株式会社 研究開発本部フェロー)
課題名:  高温超伝導材料を利用した次世代NMR技術の開発
プレスリリース日 平成28(2016)年1月8日

概 要

 理化学研究所(理研)ライフサイエンス技術基盤研究センターNMR施設の柳澤 吉紀 基礎科学特別研究員、前田 秀明 施設長と、ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社、 物質・材料研究機構、株式会社JEOL RESONANCE、千葉大学の共同研究グループは、レアアース系高温超伝導ワイヤを用いた核磁気共鳴(NMR)装置を開発し、 タンパク質試料のNMR測定に成功しました。これにより、極めてコンパクトな超高磁場NMR装置の実現が期待できます。
 NMRは、磁場を利用して物質の構造を調べる分析装置で、タンパク質などの生体高分子の立体構造解析や材料研究など幅広い分野で使用されています。 NMRは磁場が高くなるほど感度と分解能が向上するため、高磁場を発生させるために超伝導ワイヤをコイルに巻いて電磁石を作製し、低温で超伝導電流を流します。 高温超伝導ワイヤは、液体ヘリウム(−269℃)よりも高温の液体窒素(−196℃)で超伝導状態になり、さらに液体ヘリウム温度まで冷却すると、 従来の超伝導ワイヤよりも高い磁場で大きな超伝導電流を流すことができます。
 なかでも、レアアース系高温超伝導ワイヤは強靭な機械的強度を持つため、コンパクトな磁石で超高磁場を発生できます。共同研究グループはこれまで、 レアアース系高温超伝導ワイヤをNMRに応用するために、軟らかいパラフィンワックスをコイル全体に浸透させて冷却による劣化を防ぐ製作法を確立するなど、 新技術の開発を進めてきました。しかし、レアアース系高温超伝導ワイヤには、ワイヤの持つ大きな磁性により磁場が乱れ、NMRに必要なレベルの均一な磁場 (不均一成分が中心磁場の1億分の1以下)が得られないという根本的な問題が残されていました。
 共同研究グループは、小さな鉄片を試料の周りに置くことで、均一な磁場空間を作る超精密磁場発生手法を開発しました。これを用いてレアアース系 高温超伝導ワイヤのコイルを用いた400メガヘルツ(MHz、メガ=100万、ヘルツは周波数)のNMR装置を製作し、タンパク質試料の高分解能NMR測定に成功しました。
 今回確立した超精密磁場発生手法は、今後のコンパクト超高磁場NMR開発に不可欠な要素技術となるものです。レアアース系高温超伝導コイルを中心にした磁石の実証が成功したことで、 現在の世界最高記録である1,020MHzを上回る超高磁場でありながら極めてコンパクトなNMR装置の実現が期待できます。このような超高磁場NMRが実現すれば、 主要な創薬ターゲットである膜タンパク質の理解が進み創薬に大きく貢献するとともに、二次電池の素材や量子ドットなどの先端材料開発の加速が期待できます。

JSTプレスリリースはこちら :2016年1月8日発表 (記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

NMRの高磁場化を支える超伝導磁石技術の歴史
図  NMRの高磁場化を支える超伝導磁石技術の歴史
戻る


「室温で動作する高感度・高分解能の小型心磁計を開発 〜心疾患の治療・検査が革新的に変わる〜 」

テーマ名: スピン流を用いた新機能デバイス実現に向けた技術開発
PO :   安藤 功兒(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 フェロー)
課題名:  トンネル磁気抵抗素子を用いた心磁図および脳磁図と核磁気共鳴像の室温同時測定装置の開発
プレスリリース日 平成27(2015)年7月23日

概 要

 東北大学の大学院工学研究科および大学院医学系研究科、およびコニカミノルタ株式会社らの研究グループは、室温で動作する、高感度かつ高分解能の心磁計の開発に世界で初めて成功しました。 新材料を用いた低ノイズ高出力トンネル磁気抵抗素子開発に加えて、心臓からの磁場を検出するのに最適な低ノイズ回路を開発することによって、心臓からの磁場を検出することに成功しました。
 これまではシールドルーム内の特殊な環境下でしか測定することができなかった磁場信号を、簡易、安価、高分解能でしかも室温で測定することが可能となったことから、 虚血性心疾患や不整脈等の心疾患の診断が大幅に向上することが期待できます。さらには、特殊なシールドルームが不要でかつ被験者が動きながらの測定も原理的には可能であるため、 リラックスした環境で、心臓をモニタできます。将来的には、心疾患になる前の予兆信号をとらえることができるようになれば予防医療へ、他にもスポーツ、ヘルスケアなど、さまざまな応用が期待できます。

JSTプレスリリースはこちら :2015年7月23日発表 (記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

計測スタイルの概念図とセンシング方法の概念図
図1 心磁場計測がSQUID(現行)からTMR素子(将来)へと変化することによる(a)計測スタイルの概念図。
将来はモバイル化技術が進み、普段の生活の中で意識することなく健康管理が可能となる。
    (b)センシング方法の概念図。TMR素子は体表に密着することが可能となり、検出感度、空間分解能が向上する。

製作した高感度磁場センサモジュール
図2 製作した高感度磁場センサモジュール。
(a)モジュール、計測系の全体図。マネキン上にセンサモジュールを配置し、
モニタに電気信号(心電図)と磁場信号(心磁図)をリアルタイムで描かせる。
(b)センサモジュールの内部回路。
(c)モニタ画面の拡大。上段(赤)が心磁信号、下段(青)が心電信号。

戻る


「塗布型白色リン光タンデム有機EL素子の開発に成功 〜印刷による多層構造で高効率化を達成〜 」

テーマ名: 有機材料を基礎とした新規エレクトロニクス技術の開発
PO :   谷口 彬雄(信州大学 名誉教授・特任教授)
課題名:  印刷で製造するフレキシブル有機EL照明の開発
プレスリリース日 平成27(2015)年7月21日

概 要

 山形大学 大学院理工学研究科の千葉 貴之 助教、夫 勇進 准教授、城戸 淳二 教授らは、塗布印刷プロセスによるタンデム構造を持つ 白色リン光有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子の開発に成功しました。
 有機ELの製造プロセスの一種である塗布印刷プロセスは、真空プロセスと比較して製造コストや環境負荷の削減、生産スピードの向上と 大面積成膜が可能で、ディスプレイや照明用途への応用が期待されています。また、有機EL素子の普及には、発光効率や耐久性の改善が必要であり、 複数のELユニットを中間電極を介して直列に接続したタンデム構造に注目が集まっています。
 研究チームは、発光層の耐溶媒性を改善し、さらにリン光材料を用いることで大幅な発光効率の向上に成功しました。低分子リン光発光層に高分子 バインダーを少量添加し、上層の塗布溶媒を適切に選定することで耐溶媒性の向上を実現しました。さらに、中間電極の導電性高分子材料を中性化 することで、耐酸性の低い酸化亜鉛ナノ粒子との積層構造を可能にし、タンデム構造を実現しました。発光スペクトルおよび駆動電圧は各ELユニットの 足し合わせを示し、外部量子効率28%・電流効率69cd/A(カンデラ/アンペア)の塗布型白色素子における世界最高効率を達成しました。
 本研究により、素子の高性能化に向けた材料および素子開発がより一層加速されることが期待できます。

JSTプレスリリースはこちら :2015年7月21日発表 (記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

有機EL材料とタンデム型有機EL素子構造
図  本研究で使用した有機EL材料とタンデム型有機EL素子構造
戻る


「ハードディスクの高密度化を実現する多層磁気記録に関する新技術を実証」

テーマ名: スピン流を用いた新機能デバイス実現に向けた技術開発
PO :   安藤 功兒(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 フェロー)
課題名:  3次元磁気記録新ストレージアーキテクチャのための技術開発
プレスリリース日 平成27(2015)年7月7日

概 要

 株式会社東芝はマイクロ波磁界を用いることによって、多層の磁性体の磁化の向きを、層を選択して反転させる新技術を実証しました。今回開発した磁化反転技術は、 ハードディスクの大容量化を実現するために記録層を多層化(3次元構造)した高記録密度の磁気記録への応用が期待されます。

詳細はこちら 東芝:研究開発ニュース (記載情報は全て研究開発ニュース発表時のものです。)

多層記録ハードディスクの模式図
図1 多層記録ハードディスクの模式図
今回実証した多層記録方式の模式図
図2 今回実証した多層記録方式の模式図
戻る


「有機トランジスタアレイの性能分布をイメージ化して評価する技術−プリンテッドエレクトロニクスの実用化を加速−」

テーマ名: 有機材料を基礎とした新規エレクトロニクス技術の開発
PO :   谷口 彬雄(信州大学 名誉教授/特任教授)
課題名:  新しい高性能ポリマー半導体材料と印刷プロセスによるAM-TFTを基盤とするフレキシブルディスプレイの開発
プレスリリース日 平成27(2015)年7月2日

概 要

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 フレキシブルエレクトロニクス研究センター フレキシブル材料基盤チーム 堤 潤也 研究員、同研究センター 長谷川 達生 総括研究主幹らは、 有機トランジスタの性能分布を光学イメージとして一括して評価できる新たなデバイス評価技術を開発しました。 この技術により、電子ペーパーやディスプレイなどの、膨大な数のトランジスタの配置が必須である情報端末機器の製造工程で、各素子の検査に要する時間を大幅に短縮することができます。
 情報化社会の進展とともに、ディスプレイなどの情報端末の各画素のオン/オフを制御するアクティブバックプレーンの製造技術の進化が強く求められています。 大面積化・省エネルギー化が可能な印刷技術を用いたデバイス製造技術(プリンテッドエレクトロニクス技術)は、最も有望なソリューションとして期待されますが、 膨大な数(通常数百万個以上)のトランジスタがアレイ状に配置されたアクティブバックプレーンを短時間で性能検査することは難しく、これが生産技術として導入される上での大きな障害となっていました。 今回、有機トランジスタにゲート電圧をかけた時に生じる半導体の光透過率・反射率の微小な変化をCCDセンサーで撮影して、デバイス性能の分布を光学イメージ化する ゲート変調イメージング(Gate Modulation Imaging: GMI)技術を開発しました。この技術によりアクティブバックプレーンを構成する膨大な数の有機トランジスタの性能分布を一括して評価できます。

詳細はこちら 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 研究成果:2015年7月2日発表
     (記載情報は全て研究成果 発表当時のものです。)

ゲート変調イメージング
図  フレキシブルディスプレイのゲート変調イメージング

戻る


「伊豆箱根鉄道の協力の下、超伝導き電ケーブルを用いた営業線における試験列車の走行実験に成功!」

テーマ名: 超伝導システムによる先進エネルギー・エレクトロニクス産業の創出
PO :   佐藤 謙一(住友電気工業株式会社 フェロー 材料技術研究開発本部 超伝導担当技師長)
課題名:  次世代鉄道システムを創る超伝導技術イノベーション
プレスリリース日 平成27(2015)年4月30日

概 要

 公益財団法人 鉄道総合技術研究所は、去る平成27年(2015年)3月27日、伊豆箱根鉄道株式会社(以下、伊豆箱根鉄道)の協力の下、 超伝導き電ケーブルを用いた営業線における試験列車の走行実験に成功しました。
 この度、営業線における実際の設備への接続や超伝導き電システムとしての動作確認など、実用化に向けた基礎的な技術検証を主な目的とし、 平成27年3月27日に伊豆箱根鉄道・駿豆線において、超伝導き電ケーブルを用いた列車走行実験を実施しました。 使用した超伝導き電ケーブルは、長さ6m、電流容量2,080Aで、駿豆線の変電所に敷設し、き電回路に組み込みました(写真)。 今回の試験では、超伝導き電ケーブルを液体窒素により浸漬冷却(-196℃)し、超伝導送電を行いました。
 同日未明、田京〜修善寺間(5.6q)を往復する試験列車(伊豆箱根鉄道3000系電車、3両編成)に超伝導き電ケーブルを通して電気を供給し、 国内外で初めて営業線における超伝導送電による列車走行実験に成功しました。

詳細はこちら 公益財団法人 鉄道総合技術研究所 プレスリリース:2015年4月30日発表
     (記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

超伝導き電ケーブル
写真   敷設した超伝導き電ケーブル

戻る


「iPS 細胞塊を効率よく作成できる新しいマイクロ空間培養プレート『Elplasia RB 500』の販売を開始」

テーマ名: iPSを核とする細胞を用いた医療産業の構築
PO :   西川 伸一(オール・アバウト・サイエンス・ジャパン 代表)
課題名:  iPS細胞由来ヒト肝幹細胞ライブラリーの構築によるファーマコセロミクス基盤技術開発

概 要

S-イノベで実施していた上記課題(プログラムマネージャー:横浜市立大学 大学院医学研究科 教授 谷口 英樹)の研究成果が、
株式会社クラレよりマイクロ空間培養プレート<Elplasia>シリーズの新しいラインアップとして販売されます。
「Elplasia RB 500」は、培養底面に直径約500μmのU底の微細パターン(ディンプル)が規則的に配置されており、従来の培養プレートに比べて均一サイズ且つ多数の細胞塊を効率よく作成できるようになりました。たとえば、6-well plateでは1wellで約3,000個の細胞塊を一度に作成することができ、その回収も可能です。また、細胞を播種してインキュベータに入れて培養できるため、特別な装置は必要ありません。さらにWell plateの形状はSBS規格に準拠しています。
これにより、iPS細胞研究の一層の加速につながることが期待されます。6-well plateの発売から開始し、2014年夏には24-wellおよび96-well plateをラインアップに追加する予定です。


Elplasia RB 500 6-well plate
図 Elplasia RB 500 6-well plateの概観および表面拡大写真

「超伝導ケーブルによる電車の走行試験に成功」
−実用化へ向け本格始動!−

テーマ名: 超伝導システムによる先進エネルギー・エレクトロニクス産業の創出
PO :   佐藤 謙一(住友電気工業株式会社 フェロー 材料技術研究開発本部 超伝導担当技師長)
課題名:  次世代鉄道システムを創る超伝導技術イノベーション
プレスリリース日 平成25(2013)年7月24日

概 要

公益財団法人鉄道総合技術研究所は、これまで鉄道用超伝導ケーブルの研究開発を進めてきましたが、このたび世界で初めて超伝導ケーブルによる電車の走行試験に成功しました。
今回開発した鉄道用超伝導ケーブルシステム(図1)は、実路線でも適用可能な定格1500Vで5000Aを超える電流容量を有します。システムへの熱侵入の低減や小型化を目的とし、見かけ上1本で冷媒の循環を行う「対向流循環方式」を採用することで、冷却機構も一体型とすることができ、非常にコンパクトなシステムとなっています。 今後、走行試験を重ねて信頼性を向上させ、その分析結果からケーブル構造の最適化を行うとともに、さらに長尺の鉄道用超伝導ケーブルを用いた試験により、鉄道路線での使用に適した超伝導ケーブルシステムの完成を目指していきます。

詳細はこちら(公益財団法人鉄道総合技術研究所HPへリンク)

鉄道用超伝導ケーブルシステム
図1 鉄道用超伝導ケーブルシステム

戻る


「iPS細胞から血管構造を持つ機能的なヒト臓器を創り出すことに成功!」
−肝臓疾患の再生医療や、医薬品の開発研究を飛躍的に加速−

テーマ名: iPSを核とする細胞を用いた医療産業の構築
PO :   西川 伸一(オール・アバウト・サイエンス・ジャパン 代表)
課題名:  iPS細胞由来ヒト肝幹細胞ライブラリーの構築によるファーマコセロミクス基盤技術開発
プレスリリース日 平成25(2013)年7月4日

概 要

 横浜市立大学 大学院医学研究科 臓器再生医学 谷口 英樹教授、武部 貴則助手らの研究グループは、世界で初めてヒトiPS細胞から血管構造を持つ機能的なヒト臓器を創り出すことに成功しました。 研究グループは、最終的に臓器を形成させるための第一段階として、まず臓器の原基(臓器の種)が胎内で形成される過程を模倣する新規の細胞培養操作技術を開発しました。 この特殊な培養方法により、試験管内においてヒトiPS細胞から立体的な肝臓の原基(肝臓の種、肝芽)が自律的に誘導できること、 さらにこのヒト肝臓の原基を生体内へ移植するとヒト血管網を持つ機能的な肝臓へと成長し、最終的に治療効果が発揮されることを明らかにしました。
 本技術は、臓器移植の代替治療として多くの患者を救済する画期的な再生医療技術となるのみならず、創出された臓器を対象とした新たな医薬品開発の研究を飛躍的に加速することが期待されます。 現在、医薬品開発においては、様々な種類の細胞が利用されていますが、中でもヒト肝細胞が最も重要で市場性の高い細胞であると考えられています。 このヒト肝細胞は、代謝安定性試験・酵素誘導・肝毒性試験などに利用され、医薬品開発の早期に行う代謝スクリーニングに役立っていますが、 残念ながらほぼ100%を米国・欧州に頼っており、我が国の創薬産業の国際競争力を著しく阻害する要因のひとつとなっています。 本成果であるiPS細胞由来ヒト肝臓は、標準化された大量のヒト肝細胞とヒト肝組織を使用可能にし、代謝・酵素誘導・肝毒性試験などを医薬品開発の早期の段階でハイスループットスクリーニングに供するものと期待されます。

プレスリリースはこちら(記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

ヒト臓器構成系の開発
図1 3次元的な組織構造を持つ肝原基の誘導プロセス

形成過程
図2 立体的なヒト肝臓原基の形成過程
戻る


ヒトES/iPS 細胞の樹立、増殖、分化を行うことが可能なフィーダーレス無血清培地「S-Medium」が製品化

テーマ名: iPSを核とする細胞を用いた医療産業の構築
PO :   西川 伸一(オール・アバウト・サイエンス・ジャパン 代表)
課題名:  遺伝子・細胞操作を駆使したヒトES/iPS細胞利用基盤技術の開発

概 要

 S-イノベで実施しております「遺伝子・細胞操作を駆使したヒトES/iPS細胞利用基盤技術の開発」課題(プログラムマネージャー:住友化学株式会社 生物環境科学研究所 分子生物グループ グループマネージャー 斎藤幸一)の研究成果が、DSファーマバイオメディカル株式会社より製品化されます。  従来はES/iPS細胞の樹立、増殖、分化を行う際に、それぞれ専用の培地が必要でしたが、本培地「S-Medium」を用いることで、iPS細胞の樹立から増殖、分化までの一連の操作を同じ基礎培地中で行うことが可能となりました。 また、従来市販されております無血清培地の多くは毒物劇物取締法の規制対象でしたが、「S-Medium」は、毒物劇物取締法の規制対象外の培地です。 これにより、iPS細胞研究の加速、医療コストの低減等につながるものと考えられます。


S-Medium
図1 フィーダーレス無血清培地「S-Medium」
戻る


高温超伝導と高感度検出プローブによる高性能小型NMRの開発〜高度解析をより身近に〜

テーマ名: 超伝導システムによる先進エネルギー・エレクトロニクス産業の創出
PO :   佐藤 謙一(住友電気工業株式会社 フェロー)
課題名:  高温超伝導材料を利用した次世代NMR技術の開発
ニュースリリース日 平成24(2012)年11月19日

概 要

NMR(核磁気共鳴)装置は、医療、化学、物理の研究開発においても重要な役割を担っています。 この課題では、従来技術では発生させることが不可能だった高強度磁場を高温超伝導磁石を用いることで実現し、高性能化を行います。 さらには磁石の小型化、検出プローブの高感度化により高い性能を持ちながらも小型のNMRを実現します。 これにより医療のみならず様々な分野においてNMRの普及拡大を目指します。 本課題では、すでに高温超伝導磁石を開発し24Tという高い磁場を発生させることに成功しました。 さらには感度を従来の5倍以上に高めたプローブも開発し、プローブは市販を開始しています。 今後、要素技術開発と、高磁場でのシステム実証を行い、物質・生命科学、材料評価、創薬などの分野への波及効果を生み出すことが期待されています。

株式会社JEOL RESONANCEニュースリリースはこちら

NMR全体
図1 NMR装置 全体の外観
プローブ
図2 極低温プローブ
戻る


液体を強くはじく表面に半導体を塗布する新しい製膜技術
−有機ポリマートランジスタの高性能化を実現−

テーマ名: 有機材料を基礎とした新規エレクトロニクス技術の開発
PO :   谷口 彬雄(国立大学法人 信州大学 名誉教授・特任教授)
課題名:  新しい高性能ポリマー半導体材料と印刷プロセスによるAM-TFTを基盤とするフレキシブルディスプレイの開発
プレスリリース日 平成24(2012)年10月31日

概 要

独立行政法人 産業技術総合研究所フレキシブルエレクトロニクス研究センター長谷川 達生 副研究センター長、フレキシブル有機半導体チーム 山田 寿一 主任研究員と、電子光技術研究部門は、液体を強くはじく高はっ水性表面に有機ポリマー半導体溶液を塗布し、材料のロスなく均質に 薄膜化する技術を開発しました。この塗布技術によって、電子ペーパーなどの情報端末機器に不可欠の高性能な薄膜トランジスタ(TFT)を、 従来法よりも著しく簡便に製造できます。
半導体薄膜をはっ水性の高いゲート絶縁膜表面に形成してTFTを作製すると、TFT性能の安定性が向上しますが、従来の塗布法では表面が液体を強くはじく ため製膜が困難でした。今回、有機ポリマー半導体を溶解させた溶液を3層構造のシリコーンゴムスタンプで圧着し、溶液をはっ水性の高い表面全体に 均一に濡れ広がらせることによって製膜する新技術(プッシュコート法)を開発しました。本技術を使用しますと、はっ水性の極めて高い表面に、 均質性と結晶性に優れた半導体薄膜を得ることができるとともに、従来の塗布法と異なり、材料の無駄をほぼゼロに抑えることができます。 この半導体薄膜の結晶性の改善は、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構の放射光施設を用いて確認しました。今回開発しました新技術は、 フレキシブルデバイスの研究開発を大きく加速するとともに、液体がなじみにくい表面への新しい塗布製膜技術として、さまざまな材料の薄膜化技術への応用が 期待されます。

プレスリリースはこちら(記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

イメージ
図1 プッシュコート法の製膜プロセス(左)と製膜したポリマー半導体薄膜(右)
戻る


「超伝導磁石の世界最高磁場24Tを発生」
−酸化物高温超伝導線材を用いた小型・強磁場NMR装置へ道−

テーマ名: 超伝導システムによる先進エネルギー・エレクトロニクス産業の創出
PO :   佐藤 謙一(住友電気工業株式会社 フェロー)
課題名:  高温超伝導材料を利用した次世代NMR技術の開発
プレスリリース日 平成23(2011)年9月7日

概 要

独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)の松本 真治 主任研究員らは、 小型・強磁場核磁気共鳴(NMR)装置の開発において、超伝導磁石の世界最高磁場を更新する24.0T(テスラ)の 磁場発生に成功しました。NMR装置に使用される超伝導磁石は、発生する磁場の増加とともに分析感度と分解能が 向上するため、より強い磁場を発生することが求められています。一方で、磁場を強くするには超伝導磁石が大型 となり、冷却に必要となる液体ヘリウムの使用量も増加するという問題がありました。 本研究グループは、強磁場中でも優れた臨界電流密度と機械的特性を示す、Gd(ガドリニウム)を用いた酸化物系 高温超伝導線材(株式会社フジクラ製)によるコイル作製技術を開発し、17.2Tの磁場を発生する金属系超伝導磁石 の内側に組み込み、磁石の中心部で24.0Tの磁場を発生できることを確認しました。この値は超伝導磁石単独として は世界最高の磁場強度です。 また、これまでの最高記録23.5Tが超伝導磁石の温度を約2K (−271℃)まで下げることで到達していたのに対して、 一般に普及している超伝導磁石と同様に、液体ヘリウムの沸点である4.2K(−269℃)で達成されました。さらに、 磁石全体のサイズも大幅に小さくなっています。この度の成果は、Gd系超伝導線材を用いた超伝導コイルの作製技術 が大幅に進展し、強磁場中でのコイルとしての高い性能が実証できたことを示しています。今後、開発技術をさらに 発展させて、酸化物高温超伝導線材を用いた小型・強磁場NMR装置の実用化を目指します。

プレスリリースはこちら(記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

コイル
図1 24.0Tを発生したGdBCO内層コイルの外観写真
構成図
図2 24.0Tを発生した超伝導磁石の構成
戻る


高分子有機ELの発光に十分な電流を制御する高分子有機TFTを開発 
−低コストかつ大型で高速動作に対応するオール高分子有機ディスプレイへ道−

テーマ名: 有機材料を基礎とした新規エレクトロニクス技術の開発
PO :   谷口 彬雄(国立大学法人 信州大学 名誉教授・特任教授)
課題名:  新しい高性能ポリマー半導体材料と印刷プロセスによるAM-TFTを基盤とするフレキシブルディスプレイの開発
プレスリリース日 平成23(2011)年3月14日

概 要

大阪大学産業科学研究所 竹谷純一教授、広島大学大学院工学研究院 瀧宮和男教授らは、 住友化学株式会社がすでに開発した高分子有機ELを発光させるのに十分な電流を供給できる、 高分子有機トランジスタ(高分子-TFT)を開発しました。 有機ELディスプレイに用いられる有機EL素子は、素子内に流れる電流量に応じた明るさで発光します。 したがって、画素がディスプレイとして十分な明るさを得るためには、各画素の有機EL素子と組み合わされた 有機TFTに、十分な電流を制御する能力が必要です。高分子有機ELを駆動するためには50 μm角(マイクロは百万分の1) のピクセルあたり数μAの電流が必要ですが、これまでは、この大きさの有機TFTでこの電流量を制御することが 困難でした。 高分子を用いた有機半導体は、塗布して薄膜ができるため、簡便で低コストの生産手法として、 住友化学株式会社などで開発が進められてきました。高分子有機EL素子を、溶液塗布で製作する技術は、 すでに同社にて開発済みでしたが、各々の有機EL素子を制御するための高性能の有機TFTと組み合わせる 必要がありました。本研究では、広島大学で新しい高分子半導体化合物ポリナフトジチオフェンビチオフェニルを 合成し、大阪大学らのグループが本高分子化合物を塗布した三次元トランジスタ(3D-TFT)を開発したことによって、 高分子有機ELを高速動作するのに十分な性能のTFTが得られました。ディスプレイパネルに必要な有機ELと有機TFTの 両方の素子が、高分子有機半導体を利用して製作できたため、全てを溶液塗布の工程で製作可能なオール高分子の 低コスト薄型フレキシブルディスプレイの開発へ道が拓かれました。

プレスリリースはこちら(記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

ポリナフトジチオフェンビチオフェニル
図1 ポリナフトジチオフェンビチオフェニルの構造式
三次元高分子トランジスタの構造図 通常の平面型有機トランジスタの構造図
図2 (a)三次元高分子トランジスタの構造図とトランジスタのアレイを上から見た写真。チャネル長;0.5 μm(b)通常の平面型有機トランジスタの構造図。チャネル長;5μm
戻る


「色素増感太陽電池」の耐久性向上に成功 
−独自のセル構造で電解液漏洩のない製品を目指す−

テーマ名: 有機材料を基礎とした新規エレクトロニクス技術の開発
PO :   谷口 彬雄(国立大学法人 信州大学 名誉教授・特任教授)
課題名:  フレキシブル浮遊電極をコア技術とする新太陽電池分野の創成
プレスリリース日 平成23(2011)年2月21日

概 要

国立大学法人 九州工業大学 大学院生命体工学研究科の早瀬 修二 教授と新日鐵化学 株式会社は、 次世代の太陽光発電として共同研究を進めている「色素増感太陽電池」について、独自の円筒型セル構造 の開発により耐久性向上に成功しました。円筒型受光面に対し、封止面積が少ないセル構造の開発により、 約70日間(1,700時間)にわたり発電効率が低下していないことを確認しました。電解液漏洩の少ない構造 にすることで、高耐久性かつ低価格の色素増感太陽電池の実現が期待されます。 今回の耐久性向上は、従来の平板型色素増感太陽電池が2枚の平面状ガラス板の間に接着剤で壁を設け 電解液を封入しているのに対し、この度開発した色素増感太陽電池のセルは、円筒型のガラス管で太陽電池 を作製できるため、円筒形ガラス管の端面のみを封止すればよく、電解液を封止する部分の面積が平板型に 比べて少なくなり、封止性が向上したためです。 また、受光面を円筒型にすることで、光入射角の影響をほとんど受けなくなりました。円筒管受光面で 入射光が屈折して光が円筒形内部に集まり、発電量の低下は認められませんでした。 今後、円筒型金属酸化物半導体電極の作製方法の改良および電極加工方法の最適化を図ることで、 変換効率向上を目指します。また、セルの耐久性評価をJIS規格に合わせて評価します。

プレスリリースはこちら(記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

試作セル
図1 円筒型色素増感太陽電池の試作品
円筒型色素増感太陽電池の構造
図2 円筒型色素増感太陽電池の構造
戻る


自然な色彩を表現するための液晶レーザーの低エネルギー発振に成功
−カナブンの構造に学ぶ−次世代レーザーディスプレイの実現へ道−

テーマ名: フォトニクスポリマーによる先進情報通信技術の開発
PO :   宮田 清藏(東京工業大学 特任教授)
課題名:  高分子ナノ配向制御による新規デバイス技術の開発
プレスリリース日 平成22(2010)年5月12日

概 要

東京工業大学 大学院理工学研究科の渡辺 順次 教授らは、自然な色彩を表現するための 液晶レーザーの開発において、従来の20分の1のエネルギーでのレーザー発振に成功しました。 金蚊(カナブン)の鮮やかな金属光沢色は、甲羅を覆っているらせん周期構造(コレステリック液晶構造) による可視光の選択反射によるものです。このような自然な色彩を忠実に表現できるディスプレイの 実現が強く望まれています。カナブンの甲羅と同じように、可視光の波長と同程度のらせん周期構造の コレステリック液晶に色素を導入し、発光させると光の閉じ込めと増幅が起こり、レーザー発振します。 このような液晶レーザーを用いたディスプレイは、従来の液晶ディスプレイと比較して色再現性や 視野角特性が良く、優れた色彩を表現できる究極のディスプレイとして期待されます。 さらに無機物化合物の半導体レーザーとは異なり、優れた加工性、波長可変、超小型化が可能などの ポテンシャルがあり、フレキシブルな面発光レーザーデバイスを作製できる可能性を持っています。 ただ実用化への最大の難関である連続発振には、レーザーをできるだけ小さいエネルギーで発振させる (低閾値化)という課題がありました。しかし今回、発光色素の持つ量子収率や蛍光寿命、配向性などの 因子と低閾値化の関係を明らかにすることによって効率的にレーザー発振する発光色素を開発し、 従来の20分の1の閾値でレーザー発振することに成功しました。 本研究グループでは発光色素の開発以外にも低閾値化に寄与するさまざまな技術を提唱しており、 また発光波長の制御にも成功しています。今後、これらの技術を複合化することにより、液晶レーザーの 連続発振、そして次世代の液晶レーザーディスプレイの実現を目指します。

プレスリリースはこちら(記載情報は全てプレスリリース時のものです。)

コレステリック液晶レーザー発振
図1 コレステリック液晶レーザー発振の様子
コレステリック液晶レーザー
図2 コレステリック液晶レーザー
戻る

お問い合わせ先