プロジェクト紹介

先端医療のレギュレーションのためのメタシステムアプローチ

研究代表者

研究代表者:加納 信吾
加納 信吾
東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授

<プロジェクトのホームページ>
S-FAIR(Science on Facilitating Advancement of Innovation & Regulation)

プロジェクトの目標

新たに出現してくる医療技術を安全性、有効性、品質を確保しながら利用していくためには、イノベーション・プロセスとレギュレーション・プロセスを包括的に定義し、その「相互作用」を体系的に把握しながら、ルール組成の適切な開始時期の把握、ルールを作成するルールの整備、これらの相互作用をモニタリングする仕組みを実現していくことが求められる。

本プロジェクトは、技術予測に基づいてガイドラインや技術標準整備を開始するタイミングをコントロールするシステムを実現するために、現在は設定されていない機能(レギュレーションのための技術予測、ガイドラインを整備するプロセスを定義するガイドライン)を日本の政策形成プロセスに導入すること、また特定の新規技術のレギュレーションや技術標準を整備するために政策バリューチェーンを構成する個々のシステムを連結させることをミッションとした新しい組織体(バーチャルな境界組織)をデザインすることを目標としている。

更に、本プロジェクトで用いている分析フレームワークの他分野への転用を意図した一般化を試みるとともに、政策形成プロセスの改善という観点からは「科学技術イノベーション政策のための科学」の研究開発プロジェクトが目指す「政策実装」として、その政策アイデアの実装のための政策研究者と政策実務者との間のコミニュケーション・プロセスの改善(共創的な政策形成プロセスの構築に向けた手法開発)を目指している。

プロジェクトの概要

本プロジェクトでは、先端医療を対象として以下の3つの項目を実施するとともに、「科学技術イノベーション政策のための科学」として、2つの一般化項目を設定している。

<先端医療における補完的なシステムデザイン>
・レギュレーションのための技術予測システム(Regulatory Horizon Scanning)のデザイン
レギュレーションの組成が必要になるタイミングを提示するための「リサーチ・インフォマティクスとしてのグラントメトリクスによる予測システム」の妥当性を検証し、新規分野のレギュレーションを検討する政策実務者に対して利用可能なシステムのプロトタイプを提示して初動の遅れを改善する可能性を示し、本格的な実施への糸口とする。
・Guideline of Guidelinesの導入シミュレーション
新規に出現してくる医療評価技術を利用するガイドラインを組成するためのガイドラインの有用性を日米の事例研究により検証し、日本版Guideline of Guidelinesの素案をレギュレーターとコミュニケーションを図りながら作成し、生体シミュレーション技術を事例として新規ガイドライン作成のスコープを示す同時に、日本版Guideline of Guidelines策定のための正規の組成プロセスへとつなげること。
・新技術の利用を促すルール組成を促進する組織体のデザインとその運用
「生体シミュレーション技術」を事例として、ルール組成のスコープを設定すると同時にレギュレーションの政策バリューチェーン全体の活動に必要な作業を同定するため、当該技術のステークホルダーの把握し政策バリューチェーンの各プロセスにおいて求められる活動の全体像を明らかにし、当該技術の利用における目標の設定と目標達成に必要なアジェンダ管理をステークホルダーとともに行う活動を実施する組織体(研究会)の運用を行う。

<「科学技術イノベーション政策のための科学」としての一般化>
・レギュレーションとイノベーションの共進化に関する汎用的知見の創出
レギュレーションとイノベーションの相互作用を分析するフレームワークは、先端医療のみならず、先端技術の利用と規制が課題となる他分野への適用可能性がある一般化された分析フレームワークへの発展可能性が期待され、そのための汎用的知見の創出に取り組む。
・「政策実装」を巡るコミュニケーション・プロセスに関する経験知の整理
本プロジェクトにおける活動内容を踏まえて、政策アイデアの実装のための政策研究者と政策実務者との間のコミニュケーション・プロセスとしての経験を整理すると同時に、政策の科学と政策立案をブリッジする際の課題と示唆を提示する。

プロジェクトイメージ

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