プロジェクト紹介

イノベーション政策に資する公共財としての水資源保全とエネルギー利用に関する研究

研究代表者

研究代表者:天野 良彦
天野 良彦
信州大学工学部 教授

<プロジェクトのホームページ>
イノベーション政策に資する公共財としての水資源保全とエネルギー利用に関する研究

プロジェクトの目標

 長野県をフィールドとして、小水力発電および地下水利用ヒートポンプの実装化と普及について、以下のように研究目標を立てて、研究を実施する。

  • 1)地域の水資源のトータルな保全と持続可能な利活用を可能にするための条件と課題をフィールドに即して明らかにする。
  • 2)水利用の考え方と基本ルールについて、地域内における社会的合意を形成する。
  • 3)小水力発電の導入に当たって、社会面での課題と障害を実地調査によって明らかにする。
  • 4)地下水利用技術を新規に導入する際に必要な社会的ルールを明らかにする。また、河川系を基本にした広域的地域を単一の水コミュニティとして捉え、広域に共通の目標とルールを導入することを検討する。
  • 5)自然エネルギーを地域の公共スペースの維持電源として位置づけると共に、緊急時の電源として機能するための条件を明らかにし、防災計画への導入モデルを作り上げる。
  • 6)トータルな水資源の保全と生態系に負荷を与えない水資源の利活用を進めるために、一般的に必要な「水利マネジメント」の条件を明らかにするとともに、政策提言と計画実装を行う。

 本プロジェクトの成果を基礎にして、日本における水資源の保全=活用へと一般化を試みると共に、水以外の自然資源の保全とエネルギー活用についての提言も試みたいと思う。

プロジェクトの概要

 水資源は世界的に希少な資源となっており、水資源の獲得をめぐる競争は激しくなっている。水資源を地域の環境資源として保持するとともに、持続可能な社会を維持するために利活用することが急務となっている。
 水を利用したエネルギーの開発・普及もその一つであるが、社会実装し科学技術イノベーションをさらに進めていくためには、水資源全般についての法的な整備が進んでおらず、普及の障害となっている。本研究プロジェクトでは、水を地域の公共財と認識することを前提として、小水力発電と地下水を利用した次世代型ヒートポンプの導入をモデルケースとして、以下の様に研究を進める。

  • 1)水の循環についての自然科学的知見を基盤にして、水の保全と高度利用を進めるための政策および制度形成を検討する。
  • 2)水利用技術を導入・実装する際の社会的手続きと導入手法を事例に則して検討し、その手法に沿って実装を進める。
  • 3)実際の導入を進める中で、自治体や地域社会との対話や利害調整と合意形成を進め、その過程で得られた知識等を社会技術として体系化する。

 水資源の保全と利活用についての共通ルールの構築と、地域社会内での合意形成のための社会技術の構築については、本課題に限定されず、多くの公共問題に適用可能である。特に、水資源以外の自然資源の保全と利活用についても、応用可能であろう。


イノベーション政策に資する公共財としての水資源保全とエネルギー利用に関する

小水力発電の導入現場実地調査
写真説明:小水力発電の導入現場実地調査(2012年11月20日)

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