プログラムについて

プログラム概要

社会の問題解決に向けて効果的な研究開発を推進していくために、科学技術イノベーションに関わる政策を戦略的に展開していくことが急務となっています。そのためには、経済・社会状況を多面的な視点から分析・把握し、客観的根拠(エビデンス)に基づく合理的なプロセスにより政策を形成するとともに、政策形成過程の透明性を高め、社会への説明責任を果たしていくことが重要です。

この課題の達成に向け、文部科学省では「科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」推進事業」

本プログラムは、その一環として、課題の達成に貢献し得る研究開発プロジェクトを公募し、プログラム総括のマネジメントの下に推進しています。

プログラムの目的

本プログラムは、客観的根拠(エビデンス)に基づく科学技術イノベーション政策の形成に中長期的に寄与することを目指し、

  • 現実の政策形成に活用しうる新たな解析手法やモデル分析、データ体系化ツール、指標等の研究開発を推進します。
  • 幅広い分野と関連する学際的分野で、関与する研究者の層を広げます。あわせて、その活動状況を社会へ広く発信し対話の場を作り、コミュニティ・ネットワークの拡大を図ります。

プログラムで取り組むカテゴリー

本プログラムでは、以下の4つのカテゴリーに関わる「中長期に政策形成に寄与する手法・指標等の研究開発」に取り組む研究開発プロジェクト(横断的・包括的に取り組むものも含む)を推進します。国や地方自治体の政策形成プロセス及び幅広い主体における政策提言等の政策形成に関わる取り組みなど、現実の政策形成における活用をめざす実践的な研究開発を対象とします。

(1)戦略的な政策形成フレームワークの設計と実装
科学技術イノベーション政策全体の戦略性を高めるための政策形成過程に関連する研究開発(フレームワーク・仕組みの設計、方法論の開発など)が含まれます。政策形成プロセスを進化させるためには、政策の概念化・構造化を行うとともに、社会的課題を抽出・設定し、戦略の立案、戦略の事前・事後評価、見直し、次期戦略形成への反映など、現実の政策形成過程においてPDCAサイクルを機能させる仕組みの設計とそのための方法論の開発が必要となります。
当該カテゴリーに関わる取り組みの目指すところとして、目指すべき国の姿(政策の大目標)の提示、科学技術イノベーション政策で取り組むべき重要課題の設定、実効性のある科学技術イノベーション政策の推進体制の構築などが挙げられます。

(2)研究開発投資の社会経済的影響の測定と可視化
政府の研究開発投資が社会・経済へ及ぼす影響を把握することを目的とする研究開発が含まれます。不確実性の高さや長期的視野の必要性から、科学技術イノベーション政策の効果・影響を評価することは非常に困難である一方、政府の科学技術イノベーションへの投資に対する説明責任がますます求められています。そのようなニーズに対応するため、科学技術とイノベーションの関係やそのプロセス、特に政策との関係を包括的に理解し、これまでとは異なる形でできるだけ定量的に経済・社会への影響を把握するための努力を続ける必要があります。
当該カテゴリーに関わる取り組みの目指すところとして、研究開発投資の目標の明確化、重要課題への対応と基礎研究の抜本的強化、政策のPDCAサイクルの実効性の確保などが挙げられます。

(3)科学技術イノベーションの推進システムの構築
科学技術イノベーション政策を推進するシステム(制度・体制など)のあり方と推進システムの科学技術イノベーション過程への影響の把握を目的とするものです。推進システムには、人的資源のマネジメント(人材の需給構造など)、研究インフラのマネジメント(施設・設備、研究資源、知財など)、研究組織・ネットワーク(産学連携など)、研究開発プロジェクトのマネジメントなど、上述の「研究開発投資の社会経済的影響の測定と可視化」における資金配分などの資金に関するマネジメント以外のものを全て対象として含みます。
当該カテゴリーに関わる取り組みの目指すところとして、科学技術人材の育成、科学技術イノベーションの推進に向けたシステム改革、国際水準の研究環境および基盤の形成などが挙げられます。

(4)政策形成における社会との対話の設計と実装
科学技術イノベーション政策に関連して、政策形成において社会の参画を促進するための仕組みの設計・方法論の開発と、実際の政策形成プロセスにおける活用を目的とするものです。科学技術が社会・経済に広く浸透している現在、社会との対話を通じた課題抽出、合意形成、政策効果の社会への説明などを適切に行うことが必要であり、そのための方法論の開発や試行にとどまらず、現実の政策形成における活用が喫緊の課題となっています。
当該カテゴリーに関わる取り組みの目指すところとして、科学技術イノベーション政策の企画立案および推進への国民参画や、科学技術に関連する倫理的・法的・社会的課題への対応、科学技術コミュニケーション活動の促進などが挙げられます。
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