問題解決型サービス科学研究開発プログラム 【国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター】

平成29年3月で本プログラムは終了いたしました。

プログラムについて

プログラム概要

「問題解決型サービス科学研究開発プログラム」は、社会の具体的あるいは潜在的なニーズを把握し、実データや事例を利用し、分野融合型(自然科学と人文・社会科学等)のアプローチで、問題解決のための技術・方法論等を開発(質・効率の向上と新しい価値の拡大)するとともに、さらに「サービス科学」の研究基盤構築を目指した研究開発を推進するプログラムとして、平成22年にスタートしました。


「サービス」と「サービス科学」の考え方

「サービス」は社会的・経済的価値を生み出す機能を有し、金融業や小売業、情報サービス等から、環境・エネルギー、行政、福祉・医療等の公的サービスまで幅広い分野に至りますが、従来、サービスは商品に付加的なもの、あるいは製造業と区分されたサービス産業における商品として捉えられてきた側面があります。
一方、サービスにより生まれる価値には、サービスと貨幣との交換によって生まれる価値(交換価値)に留まらず、モノやサービスを利用することによって生まれる価値(利用価値)までも含まれ、サービス(サービス業)とモノ(製造業)とは不可分であるという考え方が近年、世界的にひろがりつつあります。
以上より、本プログラムでは、「サービス」を、「提供者による、被提供者のための価値創造を目的とした機能の発現」と捉えます。
また、本プログラムの「サービス科学」が従来の科学研究やサービス関連の研究開発と異なるのは、既存のサービスに科学的アプローチを導入してその効率化や最適化を図るだけでなく、社会における様々なサービスについて、サービスの提供者と被提供者を含むアプローチにより、科学的な概念・理論・技術・方法論の知見を生み活用していくことで、新しい学問的基盤の構築と価値の向上や創造を実現しようとする点です。
なお、ここで用いる「科学」は、数学や情報通信工学等までも含む自然科学分野と、マネジメントやマーケティング、文化人類学等の人文・社会科学分野の両方を含みます。以上を踏まえ、本プログラムでは、「サービス科学」を「サービスに係わる科学的な概念・理論・技術・方法論を構築する学問的活動、及びその成果を活用すること」と捉えます。


プログラムの目的

  1. 社会における様々なサービスを対象に、その質・効率の向上と新しい価値の創出・拡大のために、問題解決に有効な技術・方法論等を開発します。抽出した知見を積み上げていくことで、「サービス科学」の概念・理論・技術・方法論を創出して、将来的に様々な分野のサービスで応用可能な研究基盤を構築します。
  2. 「サービス科学」の横断的要素を科学的に検証し、一般化・体系化することで、「サービス科学」の研究基盤を構築します。
  3. 新しい技術・方法論等の研究成果を様々なサービスに活用し、個々の問題を解決することで、社会に貢献します。
  4. 「サービス科学」の研究者・実践者の連携・協働を促し、コミュニティ形成に貢献します。


二種類の研究アプローチ

上記の目的を達成するために、本プログラムでは具体的なサービスに係わる問題解決を起点とする「A.問題解決型研究」と、「サービス科学」の研究エレメントを起点とする「B.横断型研究」二種類の研究アプローチを設定します。

問題解決型研究<A研究>

具体的なサービスを対象に、当該サービスに係る問題解決のための技術・方法論等を開発し、問題を解決するとともに、得られた技術・方法論が「サービス科学」の研究基盤の構築に貢献することを目的とします。

横断型研究<B研究>

研究エレメント(サービス消費者行動、サービス評価、形式知、マーケティング・サイエンス等)に焦点を当て、新たな知見を創出し積み上げることで体系化し、「サービス科学」の研究基盤を構築します。それにより、知見が将来的に現場の様々な問題解決に応用され、サービスの質・効率を高め、新しい価値の創出に貢献することを目的とします。

<A研究とB研究の関係>

A研究により、具体的なサービスに係わる問題解決に有効な技術・方法論等の成果が積み上げられ、そこから他分野にも展開可能な知見を抽出・集積することで基盤構築に貢献します。一方、B研究により、「サービス科学」の科学的な概念・理論・技術・方法論が創出され、「サービス科学」の基盤構築に資するとともに、それらが様々な分野の問題解決に適応・活用されることで、問題解決にも貢献します。
Aの問題解決とBの科学的な概念・理論・技術・方法論の創出とが補完的に働き、「サービス科学」の研究エレメントが一般化・体系化され、基盤構築の進捗が期待されます。

SSEモデル図
図:問題解決型サービス科学研究開発プログラムのコンセプト


問題解決型サービス科学研究開発プログラムのコンセプト図(PDF)PDFファイル


サービス科学の歩み
イノベート・アメリカ (パルミサーノ・レポート)
◆分野融合によるサービス科学は21世紀のイノベーションの中心
2004.12
第3期科学技術基本計画
◆新興・融合領域への対応(FY2006~2010)
2006.3
経済成長戦略大綱 (経産省)
◆サービス産業の革新
2006.7
 サービス産業生産性協議会(SPRING) 設立 2007.5
 サービス工学研究センター(産総研) 設立 2008.4
サービス・イノベーション人材育成推進プログラム (文科省) 発足
◆H19年度:6大学、H20年度:7大学
2007.5
サービス科学・工学の推進に関する検討会 (文科省 生駒委員会) 2009.1
「問題解決型サービス科学研究開発プログラム」活動開始 (RISTEX/JST) 2010.4