グーグル秘録 完全なる破壊
ケン・オーレッタ
土方奈美/訳
文藝春秋社 2010年
インターネット時代の寵児であり巨人である「グーグル」を2年半かけて取材したノンフィクション作品。著者は雑誌『ニューヨーカー』のベテラン記者。グーグル創業者の2人はコンピューター・サイエンスの技術者であり、著者は、グーグルには、技術者ゆえの効率至上主義と論理主義の「強み」と、プライバシーを軽視し他人の感情を理解しない「弱み」が同居すると指摘する。「よりよい世界を作りたい」という目標と、「邪悪であってはならない」という信念を共有する「グーグル教」集団ともいえる存在が、社会にどのような影響を与えるのか。本書は、この問いに、閉ざされてきた内部への徹底取材で答えてくれる。
(瀬川至朗:早稲田大学政治経済学術院 教授)