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領域総括山田 肇東洋大学 名誉教授
NPO法人
情報通信政策フォーラム 理事長

研究開発成果として提案する新しい制度は、机上の空論ではなく、現実社会に適用できるものを目指しました。そのためには、多くの関与者と密接に協力しながら、現場に適用可能で現実的な解決策を産みだすことが重要です。その一方で、立法府・行政府における制度設計に資するためには、特定の現場だけに有効な解決策では役に立ちません。地域性に着目して実態を把握したうえでの実践とともに、全国への普及・展開を意識して、現場を対象にエビデンスを積み上げていくという姿勢で、この研究開発領域を推進していきました。

この研究開発領域では制度を対象としますが、それは法律・規制といった法制度だけを指すものではありません。法制度上は可能であっても、現場における慣行や、出来ないはずとの人々の思い込み、人間は状況に応じて必ずしも適切に行動できるとは限らないということへの理解の不足(援助希求行動の多様性への理解不足)が、安全な暮らしの創生を妨げているかもしれません。この研究開発領域では、制度を法律・規制・慣行・思い込みなどを包含する幅広いものとして捉え、これらの壁を超えて安全なくらしを創生するのに役立つ研究開発を推進しました。

全プロジェクトの研究開発を俯瞰してみることで、領域として取り組むべき課題が発足時よりも明確に焦点化・構造化してきたことから、プロジェクトを横断して存在する領域全体として取り組むべき課題を「4つの共通課題」として設定し、取り組み・成果の構造化や、提言書や現実の政策(立法府等)への働きかけに取り組みました。


課題1 個人情報の活用

対象者の支援や社会的包摂のために個人情報を活用する社会はどのようにすれば実現できるか

課題2 地域内公/私連携

安全な社会の構築という大局的目的を達成するために、異なる所掌範囲や機能を持つ公と私の組織が協力する仕組みはどのようにすれば実現できるか

課題3 人権教育と対人援助職の能力強化

人権教育の教材・教科書を開発し普及する、また、対人援助職の問題の発見力や対応力を高めるためには何をするべきか

課題4 成果の普及・展開

地域性を踏まえたうえで、本領域の成果を全国に普及・展開するには何をすべきか


領域および各プロジェクトの詳細な報告書についてはRISTEXのWEBサイトに掲載しています。


図:新しい公/私空間の構築