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  2. 安全な暮らしをどうつくるの?

安全な暮らしを創出したい。

そんな思いを抱くメンバーが大学、行政、NPO、企業から集い、
問題解決方法を具体的に提示するプロジェクトを推進してきました。

現代の日本には、様々な社会問題があります。ドメスティックバイオレンス、児童虐待、高齢者の孤独死、ネットいじめ……。こうした問題の多くが、家庭やネットの中の、見えにくいところで起きており、支援機関の介入が簡単ではありません。では、どうすれば発見しづらい問題を明らかにし、解決できるのか。13の研究開発プロジェクトが取り組みました。

科学的知見を駆使して

虐待や犯罪の多くは、私空間で起きているため、第三者による発見、介入が非常に難しくなっています。また、支援者の経験値は、そのままスキルの質の違いにも結び付きます。
本領域では、こうした状況を打破するため、従来のような個人の経験値に頼った支援ではなく、全国に散らばる高い経験値を集約、分析して、アプリやセンサーやソフトといった技術に落とし込んで、支援の底上げを目指しました。
例えば、保健師が妊娠期からハイリスクの女性を発見し、ケースに応じた適切な情報やスキルを手に入れられるアプリを開発しました。
また、全国の児童相談所のデータベースを分析して、虐待リスクを客観的に分析し、虐待を早期発見・対応できるアプリを試作しました。
科学技術を応用することで、個人では得ることが難しかったスキルや情報を支援者に与えることができる仕組みを目指しました。

多面的なアプローチを

安全な社会を実現するには、一面的なアプローチだけでは不十分です。たとえば、いじめを解決しようと思えば、教師、親、同級生、兄弟、地域などの多くの人の理解と協力が不可欠です。それゆえ、一つの問題を解決しようとしても、多くの方向からのアプローチが必要になるのです。
例えば、嗜癖・嗜虐行動の人々に対して、行政、支援施設、医療者、家族、時には被害者までが一つにまとまって解決策を考えていく、「えんたく」という仕組みを作りました。
また、地域包括ケアを進めるため、従来の支援機関だけでなく、地域に根付いた宗教組織までも巻き込むことに取り組みました。さらに、本領域には様々なプロジェクトが参加しました。これら複数のプロジェクトが連携し、社会課題に向かって取り組んできたことも大きな特徴です。

現場と連携しながら

プロジェクトの目的が安全な社会の実現である以上、行政や支援機関との連携は必須です。プロジェクトの研究成果を、「現場」の支援者に届け、実際に使用してもらわなければならないのです。
例えば、虐待の被害に遭った子供たちが何度もつらい体験を語ることでトラウマを大きくするのを防ぐため、児童相談所、警察、検察などでの面接を一つにまとめて行う「協同面接」の導入を進めました。
また、社会で働く発達障害の人々がアプリを通して支援機関や仲間とつながり、何かあれば周囲が気づけたり、当事者がSOSを求めたりできる仕組みを支援機関のニーズに合わせて開発しました。
このように現場でプロジェクトの成果が実際に使用されることで初めて意味のあるものになると考えていますし、それを全国に広げることが目的なのです。