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研究開発プロジェクト紹介

『仮設コミュニティ』で創る新しい高齢社会のデザイン <カテゴリーⅡ>

大方潤一郎

研究代表者:大方 潤一郎
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 教授

(研究期間:平成23年10月1日~平成26年9月30日)

プロジェクトの目的から成果まで。 全体概要はこちら

プロジェクトの目標

① 2011年3.11の津波被災地の仮設住宅地において(具体的なフィールドとしては大槌町、および比較対象地として釜石市、遠野市)生活再建のために必要となる最小限のコミュニティ・インフラ(特に、高齢者・子供のケア・サービス)を住民自身の問題発見活動と住民共助的活動を基軸にしながら、社会実験的に整備することを通じて、

② 仮設住宅地コミュニティの物的・社会的なデザイン・モデルを開発するとともに、

③ 当該モデルを基礎に、地方中小都市の分散集約的コミュニティに適した高齢社会対応型コミュニティのデザイン・モデルを獲得する。


プロジェクトの概要

【背景】
 中心市街地が壊滅的な被害を受けた三陸地域の自治体では、被災地に近い場所に、安全な適地が得られないことから、仮設住宅地の設営は、分散的かつ遠隔的なものになっている。被災住民は、こうした仮設住宅地において2縲鰀5年のうちに生活再建を果たし、その後、本設復興市街地に移住していくことが期待されている。なお、仮設住宅地における高齢者の孤独死等の問題については、阪神淡路大震災、中越地震等の際の経験がよく知られているところである。
 生活再建のためには、単にシェルターとしての仮設住宅が手当てされるだけでは不十分であり、生活を営む上で必要最低限のコミュニティ・インフラ(具体的には、災害犯罪交通事故その他のハザードに対する基本的防災性安全性の確保、通勤通学買物等のための交通手段、上下水道・電気ガス・通信等のユーティリティ、住民の活動・交流・遊び等のためのオープン・スペースやコミュニティ・スペース、保健・医療・介護・福祉・教育・保育等の社会的サービス、食料品店・薬局・飲食店・理美容店その他の店舗・サービス施設等々)を手当し、また経済的基盤としての就業の場等を再建する必要がある。
 特に、これら仮設住宅地において、高齢者に対するケアを確保することは、高齢者自身の生存と生活の質にかかわる問題であるだけでなく、高齢者を抱えた家族や地域社会全体の生活再建の成否にかかわる重要な問題であるが、正規の医療・介護サービスだけでは十分なケアが困難であることから、コミュニティ・ケア(住民共助型のケア・サポート)の展開を図る必要がある。
 また、土地の条件からして、これら仮設住宅地は、将来の復興市街地(集落移転先)の有力な候補地となるため、仮設住宅地のコミュニティ・インフラ整備は、生活再建の基礎的条件であるだけでなく、将来の復興市街地のコミュニティ・インフラの基礎を早期に形成する意味を併せもつ。
【研究開発方法の概略】
 <い>コミュニティ・ケアサポート・チーム(高齢者その他住民に対するケアおよび心身の状態の調査にあたる)/<しょく>コミュニティ活動マネジメント・チーム(仮設住宅地の住民自治組織の立ち上げと運営の支援、生活再建を支える諸機能を住民共助型事業として展開する活動の支援にあたる)/<じゅう>コミュニティ空間マネジメント・チーム(各仮設住宅地のニーズ展開に応じた空間的整備にあたる)/統括計画調整チーム(仮設住宅地外の広域的なインフラ整備や全体の計画・調整にあたる)の4チーム体制で取り組む。
 初年度は、各種イベントの開催等を通じた住民自治会等のコミュニティの再生、住民による地域課題点検活動等を通じた空間的・社会的ニーズや課題の発見、住民の心身状況・生活再建意向の悉皆調査、基礎的インフラの早期整備の提案を行う。第2・3年度は、各種、コミュニティ・ケア活性化施策の試行(社会実験)を展開するとともに、住民協議会による復興まちづくりの構想づくりを進める。定期的に住民の心身状況や意識の調査を行い、条件の異なる仮設住宅地間の比較分析等を行う。第3年度後半は、一連の社会実験的研究の取りまとめを行い、成果を行政等に引き継ぐとともに、得られた知見(新しい高齢社会のデザイン・モデル)を公開する。
【期待される成果】
(1) 仮設住宅地におけるコミュニティの再生・新生
(2) 住民自身の活動を通じたコミュニティ・インフラの整備
(3) 仮設コミュニティの復興コミュニティへの継承
(4) 住民自身の意欲と活動に基礎を置いた復興まちづくり計画の策定
(5) 次世代型仮設住宅地コミュニティの物的・社会的なモデルの獲得
(6) 仮設コミュニティ・モデルの一般コミュニティへの展開


研究開発への関与者

東京大学
大槌町
釜石市
遠野市


コミュニティ紹介 ~ 岩手県大槌町 ~

 大槌町は市街地の9割近くが津波による被害を受け、スーパーや県立病院なども仮設施設で運営される状態である。大槌町では、津波被災地となった水辺の低地を除くと、平坦地は、大槌川・小鎚川沿いの農地(および農地を改変した宅地)に限られていることから、多くの仮設住宅地は、これら川沿いの農地等に分散している。(安渡、赤浜、吉里吉里、浪板の漁村集落については、被災地近傍の斜面髙地に小規模な仮設住宅地が分散配置されたが、中心市街地(町方)の被災者向けの仮設住宅地は、大槌川・小鎚川の沿岸に分散配置された)。どの仮設住宅地も、周囲の既存コミュニティ施設等は乏しく、バス便等も不便である上、取り付け道路(と橋梁)も狭小で、生活上、大きな困難を抱えている。いわば、コミュニティ・インフラがゼロの状態から、住民自身による問題発見活動から始めて、住民・行政・専門家・外部支援者の協働を通じて、内発的ニーズに応じた必要なコミュニティ・インフラを築いていく必要のある地域である。


イベント情報

未定
※決まり次第ホームページに掲載します。

報道情報


プロジェクトのこれまでの動き

第1回領域シンポジウム 発表資料(PDF:719KB)
第2回領域シンポジウム 発表資料(PDF:980KB)
第3回領域シンポジウム  発表資料(PDF:4,242KB)  ポスター(PDF:627KB)
第4回領域シンポジウム  発表資料(PDF:690KB)  ポスター(PDF:1,165KB)
平成27年度領域シンポジウム  ポスター(PDF:808KB)

現場通信

2011年10月14日~15日 サイトビジット報告
2013年7月7日 サイトビジット報告
2014年8月31日 サイトビジット報告


研究開発実施報告書

平成23年度研究開発実施報告書(PDF:293KB)
平成24年度研究開発実施報告書 (PDF:289KB)
平成25年度研究開発実施報告書(PDF:1,201KB)
研究開発実施終了報告書(PDF:3,509KB)
参考資料①大槌町:仮設まちづくり戦略の提案(PDF:365KB)
②復興公営住宅等の住民自治組織立ち上げの支援方法(PDF:794KB)
③「大槌町・総合復興まちづくりプラン」策定について:提案資料(PDF:121KB) 
④大槌町東日本大震災津波復興計画 基本計画【改定版】(PDF:5,439KB) 


関連リンク

東京大学



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