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高齢社会領域について

センター長挨拶     * 領域終了時(平成28年3月時点)の内容

社会技術研究開発センター長 泉 紳一郎
センター長 有本建男

 21世紀の日本と世界にとって最大の課題の一つが、急速な人口の高齢化への対応です。

 日本では、2030年には人口に占める65歳以上の高齢者の割合が3分の1に及ぶこととなりますが、すでに人々の日常生活や就労そして産業や経済全般にわたり社会の様々な局面で人口の高齢化の進展の影響が複雑な課題をもたらしつつあります。これらの状況には、福祉や医療さらにはこれらを支える財政や保険などの社会システムが、若い世代の人口が多い時代に構築されたものままでは、とても対応ができないことはいうまでもありません。すでに税制や社会保障の改革など国レベルでの対応がとられつつあります。さらにこれと同時に、現場での様々な関与者が集いネットワークを結んで、生活者の目線で問題解決を図る具体策を構築し、心豊かな希望のある高齢化コミュニティを形成するという地域レベルでの対応が極めて重要であります。

 社会技術研究開発センターは、こうした視点で、2010年度から、領域「コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン」をスタートし、全3回の公募を通して、合計17件(うちカテゴリーⅠ5件、カテゴリーⅡ9件、企画調査2件、実行可能性調査1件)の提案を採択しました。現在、15のプロジェクトが全国で展開しています。

 これらのプロジェクトは、それぞれ、あるコミュニティを対象としています。そこにはそれぞれのコミュニティの歴史、文化、慣習の特徴・独自性があり、人口の高齢化がもたらす課題の現出の仕方も一様ではありません。各プロジェクトではこれらの課題を解決し新しい価値を生み出すための具体的な方法の考案やその実際の試行を、従来的な学問の縦割りの専門や業種、職種などの垣根を越えた体制のもとで取り組んでいます。豊かな高齢社会を個々のコミュニティで形成し、それを構造化し共通的な方法、システムについて、他の地域に展開するモデルを作り上げていくこと、このような対応の蓄積は国レベルのマクロな対応をきめ細かくまたより効果的にするためにも、さらには国境を越えて、同じ悩みをもつ他の国々とも連携するためにも不可欠なものです。

 秋山弘子領域総括のリードの下、領域アドバイザーの先生方、プロジェクトを担当していただく産・学・官・市民の方々との打ち合わせや現地訪問が活発に行われています。またプロジェクト活動においては、問題解決の方策の構想・設計・実施・検証をコミュニティで実践し、具体的な問題解決を図るとともに、研究開発のプロセスを記録し、応用・波及のための実効性と実務性のある基準と条件を整理することを試みています。それらの活動を通じて、領域ではプロジェクト一つ一つの成果だけでなく、我が国においてはまだ十分には定着、成熟に至っていないアクションリサーチといわれる研究開発手法について検討を重ね、領域全体として社会へ新しい価値を生み出して行くことを目指しています。

  イノベーションが世界中の産学官で注目されています。その大きな課題に、smarter aging societyの形成があります。この研究開発領域はこのための牽引力になるとともに、活力ある若者を、現実に高齢社会が到来する15年、20年後の時代に社会の中枢を担うこととなるリーダーとして育成する上で大きな役割を果たして行くことを期待します。


高齢社会領域について