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採択プロジェクト

平成19年度採択

投薬ミス・薬害防止のための、臨床事例を中核とした医療従事者向け情報交換・研修システムの実装


実装責任者 NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター 理事・センター長 澤田 康文

はじめに

医薬品ライフタイムマネジメントセンター(DLMセンター http://www.dlmc.jp/index.html )は、東京大学大学院薬学系研究科の教員有志により、医薬・食品に関する情報収集・調査・解析、社会還元と、それらを推進する人材を育成することを目的に設立され、特定非営利活動法人(NPO)として認可を受けた法人です。
活動面においては、東京大学大学院薬学系研究科( http://www.f.u-tokyo.ac.jp/ )との強固な連携のもとで、医薬・食品情報に関する社会貢献をすすめています。

当センターでは、本法人の目的を達成するために、さまざまな活動を展開しています。その活動内容は、薬学・医薬関係者を対象とした情報創薬ユニット、人材養成ユニット、処方設計支援ユニット、薬局業務ユニットから成り立っています。

その中で、科学技術新興機構 実装支援プログラムとして、投薬ミス、薬害防止のための、臨床事例を中核とした医療従事者向け情報交換・研修システムの実装をすすめています。(薬剤師間情報交換システム:アイフィス。医師間情報交換システム:医師のための薬の時間「アイメディス」)

薬剤師間情報交換システム

活動内容

現在社会においては、医薬品・健康食品が適切に使用されなかったことが原因となって、薬害をはじめとするさまざまな社会的損失が発生しています。また薬物治療の高度化に伴い、こうした医薬品の不適正な使用・投薬ミスにともなう損失は今後もますます大きくなることが予想されます。

医薬品の不適正使用は、きわめて大きな社会的損失をもたらします。 例えば米国健康管理研究局(AHRQ  http://www.ahrq.gov/ )のレポートによれば、薬害の被害者は、全米で年間77万人以上という膨大なものと推計されています。

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こうした医薬品の不適正使用や投薬ミスを減らすためには、医療従事者が実際に生じた臨床事例に学ぶことが重要です。通常は一旦起こってしまった「アクシデント(マスコミで発表されてしまうような有害事象を伴う)から学ぶ」ことが提唱され、同じ内容のミスを確実に回避するための方策が直ちに講じられるでしょう。しかし、これでは不十分です。なぜなら、アクシデントだけではあまりにも事例数が少ないからです。
つまり研鑽を積むための教材が少ないのです。最も効率がよい方法は、内容の多様性もその量も、アクシデントよりもはるかに富んでいる、「インシデント(ヒヤリとしたハッとした)事例」(事前に回避された事例)を徹底的に収集して、それらに学び、同じ内容のインシデントが絶対に起こらないように回避することです。さらに、そこから起こるかもしれない新規トラブルを予測して、可能ならばそれまでも事前回避してしまうということです。
当センターでは、薬剤師をはじめとする医療従事者の登録会員から、「ヒヤリハット」事例や薬物治療の適正化に成功した事例などの、研修上で役立つ事例を広く収集し、これに教育的観点から解析・解説を加えて研修用事例へと加工し、医療従事者間で情報を共有できるシステムを開発しました。またこれらを推進するための人材の育成、実習研修する場の提供にも積極的に努めております。

受講風景
人材育成活動「育薬セミナー・ADVANCE」受講風景

医薬品の不適正使用や投薬ミスをなくし、それらにともなう社会的損失を低減し、医薬品がより適正に使用される医療環境を実現することで、国民(医療消費者)の保健衛生の向上に貢献したいと考えております。

関連リンク集

医薬品ライフタイムマネジメントセンター

東京大学大学院薬学系研究科・薬学部