HOME採択プロジェクト/平成21年度採択  家族再統合の修復モデル

採択プロジェクト

平成21年度採択

家庭内児童虐待防止に向けたヒューマンサービスの社会実装

実装責任者 立命館大学 人間科学研究所 教授 中村 正

研究概要

 家族安全安心をめざすヒューマンサービス技術をもちいた虐待防止の家族援助をおこなう。大阪市こども相談センターと連携して、家族再統合事業の社会実装をおこなう。
具体的な活動内容の特徴として、第一に、虐待防止にむけて取り組む対人家族援助のための具体的な方策を提供する。第二に、児童相談所と大学が連携して人材育成をおこなう。第三に、ヒューマンサービスとしては汎用性が高く、各地における応用が期待できるので、順次拡大していく(この点については当初目標より早く実現し、現在、大阪府子ども家庭センター、堺市子ども相談所へと拡大している)。

その具体的内容

 大阪市こども相談センターと連携して、虐待する家族への非暴力・脱暴力への行動変容への多元的な援助モデルを構築し、家族援助のためのヒューマンサービス技術として開発したプログラムを家族再統合事業として、児童相談所の援助の選択肢の一つとして実装することが最終目標である。そのための実装実践を当助成金により実行し、児童相談所と連携した親指導プログラムを家族再統合事業として完成させる。将来は、他地域への応用をめざす家族安全安心をめざすヒューマンサービス技術をもちいた虐待防止の家族援助として体系化する予定である。具体的には、大阪市子ども相談センターと連携して、必要な連携会議をもち、人材育成のための研修ワークショップを開催し、児童虐待防止法において喫緊の課題となっている親指導の課題を解決する。
 実装責任者は、これまで、家族再統合援助の実践モデル・技法と行動変容にむけた援助理論の開発を目的とした科研費等による研究を行ってきた。それは主に次の諸点に即した課題を掲げた研究である。
 第1は臨床実践モデルの構築、第2は連携の仕組みの開発、第3は加害者臨床理論の構築である。その際に、諸外国で取り組まれている虐待親アプローチの理論的な援助モデルや援助仮説を検討した。それらを仮説形成に役立て、家族制度や家族意識が異なる日本社会に適合するようなアプローチを追求するために、実装責任者が試行的に開発し、実践しているグループワークと並行面談を実施した。これらをまとめて、「家族再統合への修復モデル」として構築しつつある。実践グループを「家族ケアユニット」と称して児童相談所の外部に位置づけて実施している。最終的には、日本の虐待・DVにそくした援助理論モデルとグループワークなどの内容を構築することを目的とした研究を重ねてきた経緯がある。本プログラムはこうした成果を安定的なプログラムとして児童相談所に実装する。

取り組みの全体関連図

目標

 支援期間終了後の計画において継承すべきは、第1は虐待ゼロ制度モデルの構築、第2は連携の仕組みの開発、第3は臨床理論の構築である。この実践をするグループを「家族ケアユニット」と称して児童相談所の外部に位置づけて実施するというフレームはどの地域でも応用可能である。最終的には、日本の虐待・DVにそくした援助理論モデルとグループワークなどの内容を構築することを目的としているので、児童相談所に標準実装する可能性を模索し、より公共性の高い事業となることが期待される。

参考資料

・あなた冊子

・SST(ソーシャルスキルトレーニング)ワークショップ
3月14.15日の丸2日間、児童福祉の分野で働く専門職を対象にSST(ソーシャルスキルトレーニング)の研修を実施しました。 子どもの問題行動に対し、大人はそれを抑えようとします。そのなかで虐待にいたることが多いことから、子どもの問題とされる行動にどのように大人はアプローチするのかを中心に研修を行いました。 SSTの理論を学んだ後、おのおのが悩んでいる状況を取り上げて、ロールプレイを繰り返し行いました。子どもの問題行動にどのように介入し、その状況に応じた適切な行動や言動を身につけてもらうような働きかけを学びました。 途中で、臨床動作法について学ぶ時間も組み入れました。からだを意識し、動作を意識することでからだから意識にアプローチする視点も得ることができました。