【プロジェクト訪問報告】多世代共創塾「なぜ<多世代>だと元気になるのか!? ~慶應義塾大学の多世代レジリエンス調査の報告&ワークショップ~l

開催日:2018年(平成30年)1月20日
会場:ゆがわらっことつくる多世代の居場所

『持続可能な多世代共創社会のデザイン』領域 (RISTEX)

「未病に取り組む多世代共創コミュニティの形成と有効性検証」(平成26年度採択)
研究代表者:渡辺 賢治(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

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湯河原のとある一軒家の中で、子どもから高齢者まで世代を超えた交流が生まれています。時にはインターネットを通じて海外とも。今回は4名の学生さんが参加しました。
2階には、いままでのワークショップの成果が並ぶなか、なんともレトロな風情の足踏みミシンが置かれていました。ベランダから外を覗くと、すぐそばに公園が見えます。この素晴らしい立地を選んだのも、地元の子どもたちだそうです。


2016年11月13日、湯河原町の住宅街に、リノベーションを終えた一軒家が「オープン」しました。子どもからお年寄りまで、誰もが安心して過ごせるその家では、干し柿を作ったり、プログラミングのワークショップをしたりと、ときどきイベントが開催されています。イベントがないけれどオープンしている日には、それぞれに好きなことをして過ごす子どもたちを中心に、さまざまな年齢の大人たちの姿も混じります。

「居場所」プロジェクトの調査結果を湯河原で報告 子どもも大人も健康になれる、「斜めの関係」とは?

今日は「多世代共創塾」が開催されます。プロジェクトの中心メンバーであるの伴英美子さん (慶應義塾大学SFC研究所 上席所員)がファシリテーターを務め、2017年秋に行われた湯河原の子どもたちへのアンケートの結果報告とその分析を中心に、ディスカッションが行われました。
最初は自己紹介ですが、「チェック・イン」と呼ばれるこの自己紹介には、ちょっとしたルールがあります。自分が呼ばれたい名前で自己紹介し、いまの気持ちをちょっとだけ添えること。
「ばんちゃんです!」
と自己紹介した伴さんに続き、参加者は次々と、学生時代からの愛称や子どもの頃のあだ名で自己紹介。この塾は「先生が生徒に教える塾」ではなくて、お互いが話し合い学びあう場だという感覚が、自己紹介の中で共有されていきます。この「チェック・イン」、普段から「居場所」のワークショップなどでいつも行われているそうです。

アンケートの結果報告は、多世代間の交流が、子どもたちのこころにもたらす自己肯定感や自己効力感の大きさを顕著に示すものでした。詳しい分析結果は報告書に譲りますが、親子関係のような「縦の関係」、学校や会社のような「横の関係」でもない、「斜めの関係」が、こころの健康に及ぼすプラスの影響が読み取れる結果です。
話し合いの中で、「セルフエスティーム」という考えかたが特に注目を集めていました。自己肯定感や自尊心という訳語があてられますが、「自己共感力」という丁寧な訳が、最もその意味をよく表しているように感じられました。本人が自分で自分の気持ちに共感できる力、自分をありのままに受け入れる力のことを指します。
どうやら「斜めの関係」は、この力をうまく育てる手助けをしてくれるようです。

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アンケートの結果には、今回初参加という地元・湯河原のかたから、「子どもって、そんな考えかたをするんですね」と感慨深げなご感想をいただきました。隣の市の職員さんも、かしこまった服装でみえていましたが、「視察」ではなく「参加」だそうです。

地元の底力あってこその、「居場所」の誕生と継続 プロジェクト終了後も、進化は続きます

とはいえ、漫然と「斜めの関係」にあるひとを集めただけでは、何も起こりません。
実はこの日の午前中は、「居場所」づくりの大きな手助けをしてくれた、湯河原町教育委員会主催の「湯河原子どもフォーラム」が開催されていました。プロジェクトに携わるひとり、山田貴子さん(慶應義塾大学政策・メディア研究科特任助教)は、コーディネーターとして「湯河原子どもフォーラム」を7年間に亘りサポートしています。

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「湯河原子どもフォーラム」では、「自由とは?」「友だちとは?」など、さまざまなテーマで子どもたちが語り合います。今日のテーマは「どうして人は群れるのか。協調性とは?」でした。

また平成26年度の調査で、湯河原には地域ボランティアのかたが400名もいらっしゃることがわかっています。地域柄、観光や環境に関わる活動がメインのようですが、地元のために何かしたいという気持ちをお持ちのかたがこれだけいらっしゃるのは、プロジェクトの活動にとってありがたいことでした。

RISTEXのプロジェクトは平成30年3月で終了ですが、湯河原の「居場所」の自律的な継続性を確保することも、このプロジェクトのミッションのひとつでした。多世代の力で地域の子どもたちを育み、大人たちを健やかに保つ試みも、まだまだ続きます。

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参加者のみなさんが帰られたあとは、「居場所」のキッチン用に購入予定の食器棚を検討。予算とサイズを厳しく調整中です。

※所属・役職は、取材当時のものです。
(文責:RISTEX広報 公開日:平成30年4月20日)

関連リンク

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