2014年(平成26年)3月31日をもちまして、領域の活動は終了致しました。

活動報告

脱温暖化をめざして
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領域活動通信

第8回領域サロン

開催報告

平成25年7月4日

第8回 2013年7月4日(木)

『近代の作り直し、スマートコミュニティ実現に必要な「適正技術」ないし「適性技術」の概念』

私たちが直面している多様な危機の中でも、解決すべき最重要課題の一つである地球温暖化現象と大規模な気候変動は、再生可能エネルギー導入・地域活性化・農林業振興・持続型産業育成・タテ割り打破と地方分権など、大震災からの復興とも共通する多様な課題につながっています。本領域では、2008年(平成20年度)のスタート時点から、現在抱えている連関した課題を見据えて「石油依存型近代の作り直し」をかかげ、温室効果ガスの大幅削減をその共通の目安として採用し、社会技術的な立場から、「自然エネルギーは地域のもの」という視点を強調しつつ地域社会システムや流通の変革に取り組む一方、EVコミュニティバス『eCOM-8』や、完全防水型発電機『すいじん』、天然素材住宅など、「適正技術」概念に基づく理工学技術の開発も進めて参りました。
 「適正技術」の概念は、もともとは途上国向けの「中間技術」(E.シューマッハー)から始まりましたが、先進諸国においても、非持続型の技術から環境に優しい「適正な」技術(「代替技術」)へ、あるいは、地域の課題に安全かつ経済的に応えられる「適性な」技術への努力が求められる時代となりました。適正(適性)技術は理想主義的なものではなく、課題にこたえるための現実主義的な技術であり、その要点は、①地域の風土やインフラに合致し、②人々の手に負える(財布にも負担をかけすぎない)、「その場にふさわしい」技術ともいえるでしょう。「その場」性を保証する要因としては、原料等の入手が楽なこと(適正(適性)価格)、 安全(利用者の文化・性向も含む)、壊れにくく修理がしやすいこと、有害物質を出さないことなどが挙げられます。
 高炭素型の技術インフラのシステムを、2050年に向け、「低炭素」の「脱温暖化型」に変えていくことが大きな課題となっているいま、現状の制度や商品群の中でも、地域のインフラに合致し、魅力があり、人々が手を出す気になる、「いま・その場にふさわしい」形で持続型社会を切り拓く技術としての、「適正技術・適性技術」の視点を明確にすることが必要であると思われます。しかし、こういった「適正技術」の概念については、これまでほとんど、真剣な議論の場がありませんでした。
 そこで、第8回目は、「近代の作り直し、スマートコミュニティ実現に必要な「適正技術」ないし「適性技術」の概念」というテーマでサロンを開催いたしました。ご関心をお持ちの皆さまとともに、大いに議論を深める事が出来ました。

   ■日時平成25年7月4日(木)17:30 ~ 20:00
   ■場所JST東京本部別館(K's五番町ビル)2階セミナー室
(東京都千代田区五番町7番地、市ヶ谷駅より徒歩3分)
   ■コーディネーター金子 成彦 東京大学大学院 工学系研究科 教授
杉原 弘恭 東京農工大学大学院 生物システム応用科学府 客員教授 (*領域アドバイザー)
   ■プログラム
    話題提供1「適正技術とは何か-インドネシアでの実践から」(30分)
田中 直(特定非営利活動法人APEX 代表理事)
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    話題提供2「近代の作り直しと適正技術の概念」(30分)
堀尾 正靱(領域総括・龍谷大学 政策学部 教授)
    
    コメント(20分)
中島 秀人(東京工業大学大学院 社会理工学研究科 教授)
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    全体討論(70分)
    
   ■参加費無料
   ■定員50名

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