プロジェクトを超えた取組み
蓄電型地域交通タスクフォース
蓄電型地域交通タスクフォースは、複数プロジェクトが共に電気自動車(EV)と蓄電システムに基づいた地域交通の実現に向けて活動するための枠組みです。EV-コミュニティバス(E-コミバスと略称)として、『低速8輪電気コミュニティビークル:eCOM-8(商品名)』の基本設計を行い、その利用促進に向けた、導入パッケージ設計・開発に取り組んでいます。eCOM-8は、現在各地で運行試験中です。
地域活性化支援は低速公共交通のEV-コミュニティ・ビークル「eCOM-8[商標登録済]」で!
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(平成21年11月発行)
E-コミバスによる地域エコ交通システム実現のための提案
本タスクフォースはH21年度の設置以降、地域交通へのE-コミバス導入に焦点をあて、各フィールドにおけるシーン想定、必要なスペックやそのスペックを実現する為の適正技術のイメージ、障壁となる法規制等について検討を行いました。
その結果、E-コミバスの導入には、車両のみならず、資金計画、運行ルート、市民へのPR等の様々な作業を一元化し、パッケージ化して提供することのできる事業体の必要性が明らかとなりました。
そこでH22年、社団法人「蓄電型地域交通推進協会」を設立し、さらにそれらを踏まえた「E-コミバスによる地域エコ交通システム実現のためのご提案」を冊子体で作成しました。
E-コミバスによる地域エコ交通システム実現のためのご提案
- E-コミバスの開発
スペックが固まり次第、E-コミバスの製作に着手し、群馬県桐生市(地方都市)と富山県黒部市の宇奈月温泉(観光地)の2つのサイトで、試作車両を走らせることとなっていましたが、タスクフォース会合に参画し、車両を製作する予定であった(株)ゼロスポーツが破たんになりました。
群馬大学 天谷教授(宝田プロジェクト)との調整により、群馬大学の次世代EV研究会で作成した超小型電気自動車(マイクロEV)のインホイールモーターを使用した8輪車に構想を変更し、桐生のベンチャー((株)シンクトゥギャザー)と連携し、試作車を完成させることとなりました。
また宇奈月用車両については、富山国際大学 上坂教授(駒宮PJ)の希望により、ボディのみ富山県黒部市のメーカー(川端鉄工株式会社)に製作を依頼しました。
こうして、宝田プロジェクトの積極的貢献により地域の技術力を活用する形で試作車が完成しました。
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E-コミバスのデモ走行
■お披露目
- H23年9月24~25日の富山県黒部市黒部総合運動公園駐車場で行われたイベント「くろべフェア2011」で市民に公開した。試乗会開催をし、200人が試乗した。
- 桐生で行われたH23年度領域合宿(10月30日)に合わせ、「電動コミュニティバス開発説明会」(プレス発表)と市民に向けた試乗会を行った。また、富山でもプレス発表が行われた。
*当日の新聞等メディアの取材は7社(事前にNHKによる取材あり)
■その他のデモ走行
- 宇奈月公園での定期的なデモ走行(H23年10月29日~11月27日、富山県黒部市宇奈月温泉 宇奈月公園、のべ約180名試乗)
- 群馬大学イベント「アースデイin桐生2012」(H24年4月15日、群馬大学工学部キャンパス内、約180名試乗)
- 神奈川県開成町「あじさい祭り」での試乗会(H24年6月9日~6月17日)神奈川県開成町あじさい祭り会場内駐車場
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ナンバー取得と公道による本格的実証実験の開始
■ナンバー取得
H 24年度の後半から、群馬大学次世代EV研究会のメンバーである(株)シンクトゥギャザーの協力で、公道での走行を可能にするための、ナンバー取得のための様々な手続き、改造作業を進めた。その後桐生車両は関東運輸局に申請を行い、6月29日にナンバー取得許可が下りた(NHKがナンバー取り付けの模様を取材)。また、富山車両は別途北陸信越運輸局に申請を行い、8月22日に許可が下りた。
■公道による実証試験開始式の開催
ナンバー取得に伴い、桐生市と富山県黒部市宇奈月温泉で運用実験開始式を行った。
- H24年7月14日(土)桐生市地区伝統建築群地域登録を記念したイベントに合わせ、桐生市有鄰館にて「電動コミュニティバス運用実験開始式」を行った。
- H24年8月25日(土)に、富山県黒部市、富山地方鉄道(株)宇奈月温泉駅前にて、「電動コミュニティバス実証運行開始式」を行った。
■公道での実証試験事例
- H24年7月 28日 群馬大学オープンキャンパスでの走行(参加者:50名)
- H24年7月 29日 桐生市中央商店街イベント(参加者:50名)
- H24年8月 05日 桐生八木節祭りジャンボパレードでのお披露目
- H24年8月 25日 桐生市各所への走行実験
- H24年9月 01日 桐生市買場沙綾市での観光客利用試験(参加者:70名)
- H24年9月 02日 群馬・栃木うまいもん合戦in桐生(参加者:90名)
- H24年9月 09日 前橋けやきフェスタにおける走行試験(参加者:90名)
- H24年9月20日-23日 尾瀬で入山者を運ぶ社会実験
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領域終了後も持続するための体制構築
このような領域タスクフォースとしての活動に加え、本領域終了後も、このような取り組みが持続化出来ることを目的として、タスクフォースメンバーの有志らを中心に、領域アドバイザーでもある川村健一広島経済大学教授に代表をお願いし、「一般社団法人蓄電型地域交通推進協会」を設立し、活動を行っている(H 22年7月~)。
【運営体制】
座 長:堀尾領域総括
座長代行:上坂 博亨氏(富山国際大学教授)
関連プロジェクト:駒宮PJ、宝田PJ、亀山PJ
地域分散エネルギー導入タスクフォース
地域分散エネルギー導入タスクフォースは、当初「地域分散電源等導入タスクフォース」(座長代行:茨城大学 小林 久教授)として、活動しておりました。
エネルギー自立地域の形成に関わる研究開発を実施する複数のプロジェクトが、特に課題を小水力に絞り、地域に根ざした自然エネルギーを地域住民主導で導入し活用するために必要なことが何かを集中的に議論し、「小水力発電ハンドブック」を公人の友社から発行することで、一つの区切りをつけました。
現在は、再生可能エネルギー全般に関し、本格的に地域に根付かせ、普及していくために、東京都環境局 谷口 信雄様を座長代行とし、新たな展開を図っています。
- 地域に根ざした小水力を推進するためのハンドブックの作成
小水力発電に絞った検討を重ねてきた初期の「地域分散エネルギー導入タスクフォース」では、地域に根ざした自然エネルギーを地域住民主導で導入し活用するために必要なことが何かを集中的に議論しておりました。
小水力発電について、法規制や必要な手続き、技術的な情報をわかりやすく整理・解説したマニュアルとして、「小水力発電導入のてびき」を冊子体で作成しました。
その後、内容をブラッシュアップして、地域に根ざした小水力利用促進のハンドブック『小水力発電を地域の力で』(公人の友社)を平成22年12月に出版しました。
さらに、再生可能エネルギーを地域住民の手で主体的に導入・運営・管理するために必要不可欠な「地域主体形成」およびそのために必要な合意形成についての事例を整理し、ブックレット、『地域分散エネルギーと「地域主体」の形成-風・水・光エネルギー時代の主役を作る-』(公人の友社)としてまとめ、平成23年10月に出版しました。
(平成21年11月発行)
(平成22年12月出版)
(平成23年10月出版)
小水力導入のてびき
- 飯田市と連携した安価で普及力のある小水力発電機・発電システムの開発
面的な小水力発電普及に取り組むためには、地域の人が手軽に導入し、メンテナンスができる安価な小水力発電機が必要ですが、そのような発電機は日本にあまり例がありませんでした。
同様の問題意識を持つ飯田市関係者と協議の上、タスクフォースの協力者である清水栄蔵氏(すいじん1号の開発者)の指導のもと、すいじん3号が開発されました。
現在、島谷プロジェクトと宝田プロジェクトで実証試験を行う準備を進めています。
すいじん3号のパンフレット
I/Uターン等人口還流促進タスクフォース(準備中)
チームマイナス80%
チームマイナス80は、CO280%削減への大まかなアプローチを検討するとともに、個々のプロジェクトに対し専門的視点からシナリオの定量化等についての支援を行うことを目的として、領域総括のもとに領域アドバイザーから数名を選んで構成されました。領域全体としてのCO2 80%削減シナリオを検討してきたほか、各プロジェクトの脱温暖化・問題解決シナリオ作成のためのサポートも適宜行っています。
これまでの主な活動と成果
- 論文
Shigeto,S., Yamagata, Y., Ii, R., Hidaka, M. and Horio, M. “An easily traceable scenario for 80% CO2 emission reduction in Japan through the final consumption-based CO2 emission approach: A case study of Kyoto-city” Applied Energy 90, 2012, pp201-205
- 学会発表等
Shigeto, S,, Yamagata, Y., Hidaka, M. and Horio, M., “An Easily Traceable Scenario for 80% CO2 Emission Reduction in Japan for Local Energy Strategy Development, International Conference of Applied Energy (ICAE), Singapore, 21-23 April, 2010
発表論文 発表スライド
重藤さわ子、堀尾正靱『2050年CO2マイナス80%シナリオにおける交通~地域に根ざした脱温暖化・環境共生の観点から~』第 4 回「人と環境にやさしい交通をめざす全国大会、東京大学本郷キャンパス、2009年12月5日
発表要旨 発表要旨
堀尾正靱、重藤さわ子、日高正人『地域に根ざした-80%脱温暖化シナリオの検討』化学工学会 第74年会、横浜国立大学、2009年3月18日~20日
発表要旨 発表スライド