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戦略的創造研究推進事業(CREST) イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化 平成31年度開始の加速フェーズ研究課題決定について
戦略的創造研究推進事業(CREST)「イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化」研究領域におきましては、平成31年度開始の加速フェーズ研究希望者に対し審査会を実施し、加速フェーズ研究課題を次の通り決定いたしましたのでお知らせ申し上げます。
氏名 | 所属 | 役職 | 研究課題名 | ビジョン* | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 飯山 将晃 | 京都大学 学術情報メディアセンター |
准教授 | FishTechによるサステナブル漁業モデルの創出 | 海との共生に向け,漁船IoTと水産・海洋学の知見を情報学で繋げた新たな技術〜FishTech〜により広大な海を理解し,そこから経済性と資源保護を両立させたサステイナブルな漁業を実現する。 |
2 | 落合 陽一 | 筑波大学 図書館情報メディア系 |
准教授 | 計算機によって多様性を実現する社会に向けた超AI基盤に基づく空間視聴触覚技術の社会実装 | 技術によって、元来の能力を拡張し失われた能力を補完する共創環境を構築し、そのプロセスおよび組織体を社会実装し、支える人支えられる人および共に歩む人が育む文化的ムーブメントを持続発展させることに努める。 |
3 | 加藤 真平 | 東京大学 大学院情報理工学研究科 |
准教授 | 完全自動運転における危険と異常の予測 | Create a society, in which all the people receive valuable time and space anytime anywhere. ―「世界中の人々がいつでもどこでも価値ある時間と空間を最大限に享受できる社会を実現する。」 |
4 | 佐藤 真一 | 国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 |
教授 | 精神医学×メディア解析技術による心の病の定量化・早期発見と社会サービスの創出 ※スモールフェーズ研究課題研究代表者・岸本泰士郎(慶応義塾大学医学部 専任講師)との共同提案 |
心の状態を可視化・定量化する技術、すなわち種々の精神疾患の未病から疾患に至るスペクトラムをきめ細かく多面的に計測できる技術を実現する。心の健康に対する意識を高めると同時に、違いを認め多様性が尊重される社会を作る。 |
5 | 篠田 浩一 | 東京工業大学 情報理工学院 |
教授 | 社会インフラ映像処理のための高速・省資源深層学習アルゴリズム基盤 | 現在より10万倍速い超高速な深層学習を実現し、AIの研究開発にパラダイムシフトをもたらす。特に大量の高精細映像の実時間解析を実現し、安心・安全な社会作りに貢献する。 |
6 | 花岡 悟一郎 | 産業技術総合研究所 サイバーフィジカルセキュリティ研究センター |
研究チーム長 | プライバシー保護データ解析技術の社会実装 ※スモールフェーズ研究課題研究代表者・盛合志帆(情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究所 室長)との共同提案 |
個人情報や企業の機密情報等のあらゆる機微情報を、安全性を保ったまま任意のデータ処理に適用可能とするプライバシー保護データ解析技術を2028年までに完成させる。これにより、すべての機密データを最大限の有効活用が可能な社会を実現する。 |
*ビジョン:研究実施にあたり、各研究チームに実現したい社会や解決したい問題などを100字程度で簡潔に表現したものです。
(五十音順に掲載)
<総評> 研究総括:栄藤 稔 (大阪大学先導的学際研究機構 教授)
当研究領域では、ICT 分野において研究成果のスピーディな応用展開を目指すため、総額 7.5 千万円以内/2年6ヶ月のスモールフェーズとして公募し、このスモールフェーズの研究成果をベースに追加で3億円以内/3年の研究を行う加速フェーズの研究課題を再提案してもらう融合加速方式を採用しています。そこで、平成30年度にスモールフェーズが終了する課題から、加速フェーズの提案を募りました。研究総括が10名の領域アドバイザーと、大江和彦(東京大学大学院医学系研究科 教授)、菊池浩明(明治大学大学院先端数理科学研究科 教授)、中西透(広島大学大学院工学研究院 教授)の3名の外部評価委員の協力を得て、提案書類と面接による審査にこれまでの研究進捗内容も加味し、厳正かつ公平に審査を行いました。
選考にあたっては以下の基準に基づいて判断しました。CREST終了後に実現されるイノベーションに向けて、明確かつ適切な課題設定をしている提案、統一されたビジョンの下で高い実行力を持つ研究チームによる提案等を高く評価しました。どの提案も魅力的で非常に悩ましい選考となりましたが、最終的に上記の6件を対象課題として選定いたしました。
加速フェーズの対象とならなかった研究課題からも、重要な社会課題の解決に貢献する成果や学術的意義の高い成果が出てきています。残念ながら当研究領域として支援の継続はできませんが、それぞれの目標に向けてより一層活躍されることを期待しています。
<審査基準>
【戦略的創造研究推進事業共通の選考基準】
- 戦略目標の達成に貢献するものであること。
- 研究領域の趣旨に合致していること。
- 独創的・挑戦的なアイデアに基づく提案で有り、国際的に高水準の発展が将来的に見込まれる研究開発であって、科学技術イノベーションの創出につながる新しい価値の創造が期待できること。
- 以下の条件をいずれも満たしていること。
・研究遂行のための研究実績を有していること。
・最適な研究実施体制であること。研究提案者がチーム全体を協力に統率して責任を負うとともに、主たる共同研究者を置く場合は研究構想実現のために不可欠であって、研究目的の達成に向けて大きく貢献できる十分な連携体制が構築されていること。
・研究構想を実現する上で必要十分な研究費計画であること。
・研究提案者および主たる共同研究者が所属する機関は、当該研究分野に関する研究開発力当の技術基盤を有していること。
【研究領域独自の追加基準】
- イノベーションに向けたシナリオが明確であること。(3年後に得られる成果が想像できるか? 継続性はあるか?)
- 産学または学際の異分野の人が集まって、今までにない0から1のイノベーションを評価する。これは、AI+IT+OT(Operational Technology:ドメイン技術)の融合を指す。
- 産業・社会的インパクトの大きな100から120を目指す提案を排除しない。その場合は、20の部分が明確に本CREST成果であり、それ自身もイノベーションとなることが望ましい。
- 研究チームは明確に定義された課題の解決に向けて統一された編成であること。
・イノベーション創出型での提案は、将来の社会実装を見据えて企業と連携した体制を考慮すること。
・加速フェーズで取り組む課題は複数でも構わないが、研究チーム全体で解決すべき上位の適切な大きさの課題が共有されていること。 - 追加投資の必然性があること。
- 選考にあたって、領域全体のポートフォリオを考慮する。
以上