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インドネシアのガス田から発生する二酸化炭素を地中に貯留東南アジア初の事業化をめざす

国際科学技術共同研究推進事業 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)
https://www.jst.go.jp/global/

昨年12月の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では温暖化ガスの各国の削減目標が示され、その実現に国際的な協力が求められています。この温暖化ガスの削減法として注目されているのが、二酸化炭素を分離・回収して地下に貯留する技術(CCS)です。

経済成長の著しいアジアでは、二酸化炭素など温暖化ガスの排出量の急増が懸念されています。インドネシアではこれまで、ガス田から生産される天然ガスに伴って発生する温暖化ガスが、そのまま大気中に放散されていました。

京都大学学際融合教育研究推進センターの松岡俊文特任教授を中心とする研究グループは、地質・地球物理学的手法を用いて二酸化炭素を貯留できる対象地層を評価・選定し、分離・回収・貯留のための地上設備の概念設計をしています。この研究は、インドネシアのバンドン工科大学を中心とする研究機関と連携し、インドネシア国営石油会社であるPERTAMINA(プルタミナ)の全面的な支援を受けています。2月18日には国際シンポジウム「CCSの現状と今後の展望」を開催して、アジア各国におけるCCSの研究開発の現状や事業化に向けた課題について議論を深め、今後どのように発展させていくかについて意見を交わしました。

研究グループは政府と企業が一体となった東南アジア初のCCS事業をめざしています。インドネシアの温暖化ガス削減への国際的な貢献とともに、新しいガス田のクリーンな開発が促進され、将来はインドネシアだけでなく、日本へのエネルギー資源の安定供給にもつながると期待されています。