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「フカシギおねえさん」がLINEスタンプに SSH高校生との交流がきっかけ

YouTube での再生が 172 万回を超える人気動画、「おねえさんといっしょ! みんなで数えてみよう!」を知っていますか? あのフカシギおねえさんが LINE(通話やメッセージ送受信ができるアプリ)のスタンプになりました。

日本科学未来館で 2012 年、ERATO湊プロジェクト(研究総括=湊真一・北海道大学大学院教授)の研究成果を紹介する「フカシギの数え方」が開催され、その展示作品として動画が制作されました。

買い物のクーポン券の枚数や乗り換える電車の本数など、数えるものが増えるにつれて膨大な組み合わせが生まれることを「組み合わせ爆発」と呼びます。素朴な方法で組み合わせを数え上げると大変な時間がかかりますが、湊教授らが開発したアルゴリズムの技法を使えば、何百、何千倍も高速に数え上げられる場合があります。しかも求めた組み合わせをコンパクトに索引化し、必要な組み合わせを素早く取り出せます。例えば選挙区割りの組み合わせを、人口数や隣接する市町郡の条件を加えて、一票の格差の順に整理して並べることもできます。

「組み合わせ爆発のすごさ」を伝えようとするおねえさんの情熱を描いた動画は、国内外で大反響を呼びました。アルゴリズムの重要性をわかりやすく説く教材として、大学や高校の授業でも使われています。湊教授の研究室には、この動画を見てアルゴリズム技術に興味を持ったという学生も入ってきています。

LINE スタンプ誕生のきっかけは、2013年の秋、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校の 1 つである立命館慶祥高等学校の生徒たちが参加した北海道大学の特別授業でした。「1 人の女子生徒から『おねえさんの LINE スタンプは出ないんですか?』と質問があり、他の多くの生徒もスタンプが出たら使いたいと手を挙げてくれました。知的財産権などスタンプ公開までに数々の手続きが必要で、途中で諦めそうにもなりましたが、高校生の皆さんに使ってもらいたくて頑張りました」と湊教授は語ります。

LINE は登録ユーザー数が 5 億人を超えるグローバルなコミュニケーション・ツールです。動画に続き、日本発のアルゴリズム技術の魅力が世界に伝わることでしょう。


「フカシギおねえさんと仲間たち」のスタンプは40種類。「組み合わせの数え方」の授業を始めるおねえさん(左)。マス目が増えるにつれて計算時間も長くなり、9×9ではお泊まりに(中央)。10×10でおねえさんは…(右)。続きは動画でお楽しみください。


おねえさんがスーパーコンピューターを使って25万年かかった計算も、湊教授らが開発した超高速アルゴリズム技術を使えば一瞬で計算できる。