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世界市民会議「気候変動とエネルギー」開催
2015年6月6日 JST東京本部別館1階ホール

2015年末にパリで開催されるCOP21では、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に加盟する各国が交渉を行います。ここでは国益に基づいた各国の利害関係が対立した中での厳しい議論が交されますが、ここに一つの新しい情報が提供されることになります。それが世界市民会議「気候変動とエネルギー」の結果です。
国際交渉の結果により、決められた枠組みの中で暮らす市民が、ステークホルダーの一員として交渉の中に意見を上げて行く方法として考え出された仕組みが世界市民会議という方法です。この会議は、各国において直接交渉の利害関係を持たない第三者機関が主催し、人口の縮図となるような100名を集め、世界共通の資料に基づき、世界共通のスケジュールで実施されます。また、この結果はリアルタイムで集計され一般に公開されるともに、世界の結果を分析した内容が「政策レポート」として事前交渉からCOP21当日まで利用されることになります。
過去2回実施されたこの会議ですが、今回の特徴はテーマが「気候変動とエネルギー」であり、世界での実施に当たっての主催者に、COP21の運営主体であるUNFCCC事務局が加わったことです。これは、COP21における国際交渉の中に、市民の声が届く道筋があるということを意味します。
6月6日(土)朝10時、日本大会会場である東京市ヶ谷のJST東京本部別館に集まった100名の市民の皆さんはまさに日本の人口の縮図になっています。18才から69才までの多様な年齢層に加え、職業、居住地域、学歴を考慮し、主催者がお呼びした方々です。いずれも40ページにもわたる情報提供資料を事前に読むことが義務づけられています。
日本大会を主催するJST中村理事長および、開催の協力をいただいた国連広報センターの根本所長より、地球規模の課題に対して市民参画の意義についてご挨拶から始まり、午後6時半まで実に8時間30分に及ぶ会議となります。
会議の内容は6つのセッションに分かれ、約5分程度の情報提供ビデオを見た後で、7名づつのグループに分かれて、各グループのファシリテータの進行により議論を約1時間程度行い、各セッションの最後に参加者個人が投票を行います。
投票結果は、オンラインで世界共通の集計システムに入力され、その場でグラフ化されます。日本は日付変更線の関係より、フィジー共和国につづいて2番目の開催国となったため、日本の結果はその後順次開催されて行く各国が参照できる情報として、公開されることになりました。

今後、この結果が実際に国際交渉の場で、どのように活用されて行くのかが焦点となります。またこれに加えて、社会の課題に対して科学技術の面からどのように対応すれば良いのかという点について、今回は情報提供資料の制作及び翻訳の監修を気候変動、水循環、エネルギーの科学者3名に依頼し、その正確性を担保しました。この会議をきっかけとして科学(科学者)と社会がどのような関係性を持ってゆくかという議論にも広がる可能性があります。

※世界市民会議「気候変動とエネルギー」はWorld Wide Views on Climate and Energyの日本大会として、科学技術振興機構(科学コミュニケーションセンター、日本科学未来館、社会技術研究開発センター)が主催し、国連広報センターの協力のもと実施しました。


世界市民会議当日の会場の様子
7名の市民+1名のファシリテータで
議論を進めます。


集計はオンラインで、リアルタイムに
グラフ化されます。


参加国は79カ国、結果として100カ所での
会議となりました、参加市民は1万人!


JST中村理事長(会議冒頭における挨拶)


開催についてご協力をいただいた
国連広報センター 根本所長