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ナノテクを支える現代の匠

匠(たくみ)という漢字は、差し金をかたどった「はこがまえ」と斧をかたどった「斤」からできた文字で、定規(差し金)で測り、刃物で切り出す技術に優れた人を表します。ナノテクノロジーの世界でも、回路を設計し、微小なデバイス(電子素子)などを生み出す技術に優れた人はナノテクの匠と言えるでしょう。

今年1月、東北大学マイクロシステム融合研究開発センター試作コインランドリの森山雅昭助手は、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム技術支援賞を受賞し、ナノテクノロジー総合シンポジウムの表彰式で、賞状と副賞の「ナノテクの匠」バッジが贈られました。 この賞はナノテクで共用される先端設備・装置の技術支援に関わる技術者の貢献に対し初めて創設された賞です。受賞テーマは「シリコン深堀りエッチング(Deep RIE)における超精密形状制御」。マイクロセンサーやマイクロアクチュエーター、LSI実装におけるシリコン貫通孔など、微小デバイスの加工には欠かせない技術です。

森山さんは、試作コインランドリの利用者に対し、技術や装置の使い方の相談をはじめ、装置の原理を教え、プロセス条件の設定を一緒に考えることで、利用者自らが試作し、目的に合った加工レシピが開発できるように指導しています。森山さんの支援は3年間で600件以上に のぼり、企業の人材育成の場にもなっています。

「利用者には、技術を自分のものとして、それぞれの企業に持ち帰っていただきたい」というのが森山さんの願い。このような賞を設けることで森山さんのような貴重なナノテクの匠に注目が集まり、技の伝承と新たな技術開発の一助になることが期待されています。

※JSTは文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業のセンター機関を物質・材料研究機構とともに受託しています。


技術支援賞を受賞した森山雅昭助手。


授与された「ナノテクの匠」バッジ。


パターン幅を変えた深堀りエッチング
(左から、エッチング幅100、50、20、10、5、2マイクロメートルが2本ずつ)。