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「分子技術」公開シンポジウム: Japan-France Symposium on Molecular Technologyの開催報告
2015年3月9日 フランス(パリ市内)

戦略的創造研究推進事業
国際科学技術共同研究推進事業
JSTパリ事務所

JSTとフランス国立研究機構(ANR:The French National Research Agency)は、日本とフランスの研究者ネットワークの構築や、優れた「分子技術」の研究成果の共有を目的に、公開シンポジウム:Japan-France Symposium on Molecular Technologyを開催しました(2015年3月9日 於:パリ)。開会セッションでは、マイケル・マトゥローズANR理事長、小笠原一郎 在フランス日本国大使館公使、外村正一郎JST理事が登壇し、「分子技術」の研究開発の重要性と、日仏共同研究をはじめとする国際連携が、その推進ツールとして非常に有効であることが改めて共通の認識となりました。

基調講演では、フランスからジャン・ロンカリ教授(CNRS Research Director at MOLTECH Anjou, University of Angers)が、分子の電子状態制御による有機半導体や太陽電池などのデバイス開発研究について、最新の成果を紹介しました。日本からは、CREST「新機能創出を目指した分子技術の創出」の山本尚研究総括(中部大学教授/シカゴ大学名誉教授/SICORP研究主幹)が、JSTが提唱した「分子技術」という新研究領域を説明し、その事例としてCRESTの研究成果を紹介しました。さきがけ「分子技術と新機能創出」の加藤隆史研究総括(東京大学教授/SICORP副研究主幹)は、さきがけの研究成果および加藤研究室の最新の研究プロジェクトを紹介し、いずれの講演もフランスの研究者の高い関心を集めました。

また、CRESTからは、菅裕明研究代表者(東京大学)および石谷治研究代表者(東京工業大学)、さきがけからは、瀧宮和男領域アドバイザー(理化学研究所)、岡本敏宏研究者(東京大学)、石井宏幸研究者(JST/筑波大学)、大内誠研究者(京都大学)、村岡貴博研究者(東北大学)が口頭発表を行い、質疑応答では会場から多くの質問が寄せられました。さらに、4名のさきがけ研究者は、フランスの研究者と合同のポスターセッションにも参加し、熱心な議論が交わされ、シンポジウムは盛況のうちに終了しました。

JSTはCREST・さきがけの研究開発と日仏共同研究を効果的に連携させることにより、我が国の「分子技術」研究をますます加速・拡充し、世界をリードすることを目指しています。


山本研究総括


加藤研究総括


会場の様子

【背景】
「分子技術」という概念は、「科学的知見を基に、分子を設計・合成・操作・制御・集積することによって、分子の特性を活かして所望の機能を創出し、応用に供するための一連の技術」のことを指すものとして、JSTの研究開発戦略センター(CRDS)でのワークショップや提言等を経て構築され、文部科学省の戦略目標(2011年度)に設定されました。それを受けて、JSTでは2012年度にCREST・さきがけの研究領域を発足し、「分子技術」の研究開発を推進してきました。さらに、2013年度には、JSTとANRの間で、「分子技術」にかかる日仏共同研究を連携して推進することに合意し、現在、SICORP(国際科学技術共同研究推進事業)を通じて、4件の日仏共同研究を支援しています。また、第2回のJST・ANR共同公募を実施しています。