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細野秀雄・東京工業大学教授がJST「知的財産特別貢献賞」を受賞

JSTの「知的財産特別貢献賞」第2回受賞者が、東京工業大学フロンティア研究機構教授・同学元素戦略研究センター長の細野秀雄氏が受賞し、(受賞内容:高精細ディスプレイに適した酸化物半導体)、2月25日、東京都内で表彰式が行われました。当日は、受賞者の細野教授ほか、大学関係者のみならず、長年にわたり共同研究や実用化に取り組み製品化を実現した企業からも多数が出席されました。

知的財産特別貢献賞は、大学や公的研究機関などの、真に独創的な研究成果に基づく知的財産の創造と活用を通して、日本の科学技術の発展に寄与し経済社会上大きな成果をあげた特に優れた研究者に対し、その業績を称え表彰するもので、JSTが2011年度に創設しました。第1回の受賞は赤﨑勇氏(名城大学大学院理工学研究科終身教授、名古屋大学特別教授・名誉教授)「青色発光ダイオード(LED)および高性能青色レーザの開発」(表彰式2011年9月)です。

今回受賞対象になったのは、In-Ga-Zn-O(インジウム・ガリウム・亜鉛からなる酸化物)を用いた薄膜トランジスター(以下、IGZO-TFT)に関する技術で、1999年から細野教授がリーダーを務めた、JST 創造科学技術推進事業(ERATO)の「細野透明電子活性プロジェクト」から生まれた成果です。

液晶ディスプレイの駆動TFTに用いられる材料は従来アモルファスSi(シリコン)や多結晶Siが主流でしたが、ディスプレイの高精細化や低消費電力化、タッチパネルの高性能化を実現する新素材が求められていました。

細野教授は1995年に透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)の設計指針を独自に提唱し、JSTのERATO、ERATO-SORSTのプロジェクトにてIn-Ga-Zn-Oを活性層に使ったTFTを作製し、高い電子移動度、低いオフ・リーク電流特性という優れた特性を初めて明らかにしました。

IGZO-TFTは、高解像度・3次元・大画面のディスプレイのほか、スマートフォンやタブレット端末の新しいタイプの液晶ディスプレイの駆動源として期待されているとともに、有機ELディスプレイへの適用も可能であるなど、エレクトロニクス分野の革新的技術として期待されています。 国内外の多くの企業がIn-Ga-Zn-Oに注目し、IGZO-TFTを用いた高解像度ディスプレイの実用化に向けて研究開発に着手し、既に数社で量産化されています。

本技術に関する一連の発明は、JSTが保有する基本特許とともに東京工業大学や企業が保有する周辺特許などを含めた数十件の特許群から構成され、JSTが一括でライセンスを提供しています。