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SATREPS「中南米地域の地震・津波防災に関する国際シンポジウム」開催
2014年03月07日 東京 コクヨホール

ペルー、チリでのSATREPSプロジェクトが中心になって、コロンビア、エクアドル、メキシコ、エルサルバドル、ニカラグアの計7か国の防災関連研究者を招へいし、中南米諸国の地震・津波防災に関する国際シンポジウムを開催しました。

本シンポジウムには各国の研究者のほか、 ペルー、チリ、エクアドル、ニカラグアの駐日大使にもご臨席いただき、一般の方も含め総勢135名が参加しました。

SATREPS防災分野の研究主幹(PO)本蔵義守氏の基調講演「日本の地震防災研究と国際協力」、防災科学技術研究所のNelson PULIDO氏の主題講演「中南米地域の地震活動と発生リスク」、中南米7カ国の代表者によるカントリーレポートに引き続いて、パネルディスカッションが行われました。

これらの中南米諸国は、日本と同様に環太平洋火山帯に位置し、地震、津波、火山噴火などの自然災害のリスクを共有しています。災害に国境はなく、自然災害による地域の損失はグローバル化により世界的に影響が波及します。また、防災・減災の取り組みは一国や一地域で完結するものではなく、世界に研究フィールドを求めないことには充分なデータや知見を得ることはできません。

参加者たちはペルー、チリでのSATREPSプロジェクトで得られた知見や教訓を、他の中南米諸国と共有し連携を模索するとともに、将来の国際共同研究の実施に向けた意見交換を行いました。

「あなたの国で防災・減災においてもっとも重要な課題はなんですか?」
「本当に大規模自然災害を生き抜くことはできますか?」
パネルディスカッションでのテーマについて、縦割り行政の問題、災害の記憶の風化、マスメディアとの連携、防災教育の重要性、一般社会や政策立案者とのコミュニケーションの大切さなど、各国における災害の経験や教訓を踏まえた議論が行われました。

シンポジウムの最後には、今後も起こりうる災害の軽減に向けて、1)アカデミア、実務者、政策立案者などの多様なステークホルダーの間の距離・ギャップを解消し、2)防災・減災の取り組みは将来への投資であることを認識し、3)国境を越えて、研究者を含めた人のネットワーク形成が重要であるとの提言がなされました。

SATREPSでは今後も国境を越えたプロジェクト間の交流、連携の取り組みにより、貴重な知見や研究成果の共有、普及を継続的に行うこととして、本シンポジウムは盛会のうち終了しました。

  • SATREPS
  • https://www.jst.go.jp/global/
  • 地球規模課題対応国際科学技術協力(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)の略語。 科学技術と外交・国際協力を相互に発展させる「科学技術外交」の一環として、文部科学省、外務省とJST、JICAが連携して実施する3~5年間のプログラム。地球規模課題解決のために日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行います。
  • 「ペルーにおける地震・津波減災技術の向上に関する研究」
    (研究代表者:山崎 文雄 千葉大学 大学院工学研究科 教授/平成21年度採択/相手国:ペルー)
  • https://www.jst.go.jp/global/kadai/h2117_peru.html
  • 「津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究」
    (研究代表者:富田 孝史 (独)港湾空港技術研究所 アジア・太平洋沿岸防災研究センター 副センター長/平成23年度採択/相手国:チリ)
  • https://www.jst.go.jp/global/kadai/h2309_chile.html


総勢135名の参加者で
いっぱいの会場


パネルディスカッションの様子


ペルー、チリでのSATREPS
プロジェクト研究代表者など


中南米7か国の防災関連研究者