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SATREPSの研究代表者、前田泰昭・大阪府立大特認教授 ベトナム国家大学の特別栄誉教授(Distinguished Professor)に
2013年11月22日 ベトナム国家大学ホーチミン校(VNU-HCM)


University of Natural Sciences(ベトナム国家大学)学長のProf. Dr. Tran Linh Thuocに表彰される前田特認教授(中央右)=2013年11月22日撮影

SATREPSプログラムの平成22年度採択課題「ベトナムおよびインドシナ諸国における、バイオマスエネルギーの生産システム(植林・製造・利用)構築による多益性気候変動緩和策の研究」の研究代表者である前田泰昭特認教授(大阪府立大学)が、ベトナム国家大学ホーチミン校(VNU-HCM)から特別栄誉教授(Distinguished Professor)の称号を授与されました。1997年から16年間に及ぶ前田特認教授の研究・教育活動への支援が高く評価された結果とのことです。

授与式にはVNU-HCMのUniversity of Natural Sciences学長のProf. Dr. Tran Linh Thuocをはじめ、環境学部そして化学学部の教員・研究者・学生らが出席し、前田特認教授に特別栄誉教授の盾と記念の花束が贈られました。

VNU-HCMによりますと、前田教授は、1997年のVNU-HCM化学学部との電気化学分野における共同研究を皮切りに、1999年には物理化学学部との大気汚染研究、2003年からは環境学部と廃食油からバイオディーゼル燃料(BDF)に変換する技術開発の研究を開始するなど、VNU-HCMと連携した共同研究を実施してきました。

今年で2年目となるSATREPSプロジェクト「ベトナムおよびインドシナ諸国における、バイオマスエネルギーの生産システム(植林・製造・利用)構築による多益性気候変動緩和策の研究」では、枯葉剤などで汚染されたベトナムの荒廃地に、ジャトロファなどの非食用植物を植林。その果実からBDFを製造して公共交通機関などで利用し、環境及び経済的に優れた社会システムを構築することを目指しています。本プロジェクトで製造されたBDFは、世界遺産としても有名な観光地ハロン湾の観光船用燃料として実験的に使用されています。

  • SATREPS
  • https://www.jst.go.jp/global/
  • 地球規模課題対応国際科学技術協力(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)の略語。独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で助成し、地球規模課題解決のために日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う3~5年間のプログラムです。これまでに39カ国77のプロジェクトが実施されています。
  • SATREPS平成22年度採択プロジェクト
    「ベトナムおよびインドシナ諸国における、バイオマスエネルギーの生産システム(植林・製造・利用)構築による多益性気候変動緩和策の研究」
  • 研究代表者、前田 泰昭(大阪府立大学 地域連携研究機構 特認教授)
  • https://www.jst.go.jp/global/kadai/h2304_vietnam.html

ベトナムでは、焼き畑などで荒廃し、また枯れ葉剤で汚染された900万haもの土地や、急速な経済発展に伴う都市部の大気汚染、山間部の貧困が深刻な問題となっています。そこで、荒廃地に石油代替エネルギーの原料となる油を生産する樹木を植え、クリーンな燃料を製造して都市部で活用することで、荒廃地再生/大気汚染防止/地域雇用創出の3課題の解決を目指します。また、地球温暖化対策にも有効な、バイオマスエネルギーの生産・利用システムをつくることを目指しています。

これまでの活動により、ジャトロファ油やナマズ油、ゴムの実油などあらゆる原料から、新開発の共溶媒法で高品質のバイオディーゼル燃料を製造し、軽油と混ぜなくてもクルマや船の燃料に使えるものが完成しました。さらに経済性を追求し、副産物のグリセリンなどを利用する方法を模索しています。