最新情報

JSTトピックス

世界遺産ベトナム・ハロン湾の観光船にバイオディーゼル燃料
2013年08月20日〜09月19日 ベトナム・ハロン湾


バイオディーゼル燃料を生産するパイロットプラントと前田泰昭研究代表者

SATREPSプロジェクト「ベトナムおよびインドシナ諸国における、バイオマスエネルギーの生産システム(植林・製造・利用)構築による多益性気候変動緩和策の研究」(大阪府立大学・前田泰昭特認教授)で製造したバイオディーゼル燃料(BDF)が、世界遺産として有名なベトナム・ハロン湾を巡る観光船の燃料として実験的に利用され、大きな話題となっています。プロジェクトの担い手でもあるベトナム国家大学(VNU)のホームページ上にも公表されました。

本プロジェクトは、枯葉剤などで汚染されたベトナムの荒廃地にBDFの原料となる非食用植物であるジャトロファなどを植林し、クリーンなBDFを製造。これを公共交通機関などで利用し、環境及び経済的に優れた社会システムを構築することを目標に掲げています。

ハロン湾は、ベトナム北部トンキン湾北西部にあり、カットバ島のほか大小3000の奇岩、島々があり、美しい自然景観を持つことで有名です。しかし、VNUの記事によると、ハロン湾は観光客が泊まるホテルや住宅から生活雑廃水や600隻もの観光船から出される排気ガス、廃液などで汚染され、「このまま海洋汚染が続くと世界遺産の登録を取り消す」とユネスコから警告を受けているとのことです。

そこで今回、観光船の運航を管理するQuang Ninh省の協力で、硫黄分の多い有害な燃料の代わりにプロジェクトで生産したBDFを使った実証実験を行うことになりました。使用されるのは、プロジェクトで生産した36トンの高品質BDFで、BaiTho社の最新式の観光船Victory Star号に、B100(BDFの含有比率100%)として使うことを目指しています。約1か月間試験運転を続け、CO、CO2、NOx、SO2、微小粒子状物質などの排ガス成分の測定も行い、廃液や排気ガスによる汚染がどの程度軽減されるかを評価することになっており、その成果が期待されています。

  • 【関連するリンク】
  • ◆SATREPS 国際科学技術共同研究推進事業 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム
    (Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)
  • http://www.jst.go.jp/global/about.html
  • 2008年より文部科学省・科学技術振興機構(JST)、外務省・国際協力機構(JICA)が連携して、開発途上国と科学技術協力を推進しています。日本の優れた科学技術とODAとの連携により、開発途上国と環境・エネルギー、防災、感染症、生物資源分野の地球規模課題の解決につながる国際共同研究を実施し、これまでに39カ国78のプロジェクトを採択(条件付を含む)しました。
  • ◆SATREPS 平成23年度採択ベトナム課題(低炭素領域)
     『ベトナムおよびインドシナ諸国における、バイオマスエネルギーの生産システム(植林・製造・利用)構築による多益性気候変動緩和策の研究』
    (前田 泰昭・大阪府立大学・地域連携研究機構 特認教授)
  • http://www.jst.go.jp/global/kadai/h2304_vietnam.html
  • ベトナムでは、焼き畑などで荒廃し、また枯れ葉剤で汚染された900万haもの土地や、急速な経済発展に伴う都市部の大気汚染、山間部の貧困が深刻な問題となっています。そこで、荒廃地に石油代替エネルギーの原料となる油を生産する樹木を植え、クリーンな燃料を製造して都市部で活用することで、荒廃地再生/大気汚染防止/地域雇用創出の3課題の解決を目指すだけでなく、さらには地球温暖化対策にも有効な、バイオマスエネルギーの生産・利用システムをつくります。具体的には、荒廃地の調査と汚染土壌の浄化後、植林と非食用油の生産を行い、廃棄物の少ない省エネルギーのバイオディーゼル燃料製造に取り組みます。これを公共交通機関で活用し、排ガス問題改善のための技術開発等も進め、周辺国への普及を目指します。