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第5回アフリカ開発会議(TICAD X)のサイドイベントにSATREPSプロジェクトが出演
2013年06月02日〜03日 パシフィコ横浜


西アフリカの砂漠化対処を目的としたシンポジウムで講演する東京大、武内氏


北海大学主催のシンポジウムで演壇に立つブルキナファソ水環境大臣のOuedraogo女史

パシフィコ横浜で開かれた第5回アフリカ開発会議(TICAD X)と同時開催されたサイドイベントに、SATREPSの2プロジェクトの研究代表者が、それぞれ講演を行いました。地球規模課題国際協力室の調査員、戸塚麻友子が報告いたします。

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一般財団法人「地球・人間環境フォーラム」が主催するシンポジウム「西アフリカの砂漠化対処に向けて〜渇く大地から未来を守れ〜」(http://www.gef.or.jp/activity/cooperation/desert/TICAD_SIDE_EVENT.pdf)が06月02日、TICAD Xのサイドイベント会場で開かれ、平成23年度SATREPS採択プロジェクト「アフリカ半乾燥地域における気候・生態系変動の予測・影響評価と統合的レジリエンス強化戦略の構築」の研究代表者、東京大学の武内 和彦・ サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S) 機構長が講演を行いました。

本プロジェクトは、気候変動による農業への影響を予測し、干ばつや洪水に対する適応能力を高めるものですが、武内教授は、農業生態系・工学・社会経済および制度の観点を統合した包括的アプローチを「ガーナモデル」として提唱することを目指しています。武内教授はガーナモデルの詳細を約100人の参加者に説明したうえで、「モデルの実現には、様々なステークホルダー(関係者)を巻き込むボトムアップ的なアプローチが不可欠です」と強調しました。

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06月03日には、平成20年度採択SATREPSプロジェクト「アフリカサヘル地域の持続可能な水・衛生システム開発」の研究代表者である北海道大学の船水尚行教授が、北海道大学主催のシンポジウム「農業・食料生産のための水資源の統合的管理」(http://aa.vetmed.hokudai.ac.jp/africa/wp-content/uploads/2013/06/0e38c968351337b6ae2d542453dc8479.pdf) の中で講演を行いました。

船水教授は、ブルキナファソの農村で実証中の新しい水・衛生システムの取り組みを大画面の写真で説明し、「乾季でも家庭菜園を可能にするこの仕組みは、し尿を排泄物として処理するのではなく、農業衛生的資産と捉えて価値を生み出すものです」と力説すると、約80人の参加者から驚きと賞賛の声があがりました。さらに、他の地域や他国へ同システムを普及させていく可能性にも言及し、「水・食糧の安全保障には、現地の生活・文化・経済の実態に合わせた社会システムへのパラダイムシフトが必要だ」と訴えました。

続いてTICAD Xのために来日したブルキナファソ水環境大臣のMamounata Belem Ouedraogo女史も演壇に立ち、「この新しいシステムを国家戦略に組み入れることを検討していきたい」と意欲を示しました。

シンポジウム会場から外に出た参加者は、北海道大ブースに展示されたコンポストトイレの前で立ち止まり、水を使わないトイレの機能について船水教授らから説明を受けていました。

  • 【関連するリンク】
  • SATREPS
  • http://www.jst.go.jp/global/
  • 地球規模課題対応国際科学技術協力(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)の略語。独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で助成し、地球規模課題解決のために日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う3〜5年間のプログラムです。39か国78のプロジェクトが実施されています。
  • H23年度採択SATREPSプロジェクト
    「アフリカ半乾燥地域における気候・生態系変動の予測・影響評価と統合的レジリエンス強化戦略の構築」
    (研究代表者、武内 和彦・東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)機構長)
  • http://www.jst.go.jp/global/kadai/h2302_ghana.html
  • 地球規模の気候変動に対処するには、社会経済や資源管理の基盤が弱い途上国で変動に適応していく策を講じることが不可欠です。そこでガーナでも特に発展の遅れている北部乾燥地域で、気候や生態系が変動しても経済や資源を一定レベルに保てる管理基盤の構築に挑みます。具体的には国内の降雨量や異常気象、生態系等の調査を行い、農村開発や、主要河川であるボルタ河の洪水・干ばつへの対応、南部地域との経済格差の解消等に努めています。さらに、気候・生態系調査と併せて主要作物も調査し、気候変動による農業への影響を予測、ボルタ河の氾濫や干ばつに対処しうるインフラの整備に取り組んでいます。異常気象や災害に対するレジリエンス(回復能力)を高め、これらの強化戦略を「ガーナモデル」としてアフリカの半乾燥地域へ応用していきます。
  • H21年度採択SATREPSプロジェクト
    「アフリカサヘル地域の持続可能な水・衛生システム開発」
    (研究代表者、船水尚行・北海道大学大学院工学研究科教授)
  • http://www.jst.go.jp/global/kadai/h2112_burkinafaso.html
  • ブルキナファソは、人口の27.2%が貧困層に属する最貧国の一つです。衛生的な給水環境が整わず水が原因の疾患も多いことから、導入する水設備には過酷な気候に耐え、低価格で維持が容易等、多くの条件が求められています。そこで、排水は1カ所に集めず現地で処理し、また用途や質で水を分別して混ぜないシステムを作り、低コストと衛生面の両立を目指します。大規模な配水パイプネットワークが不要な、水と衛生の新システムを開発しています。具体的には、人口密度やインフラに合わせ二つのモデルを提案しました。農村モデルは、し尿をコンポスト型トイレで肥料に変え、排水はかんがい用水に回し、飲用水のみ消毒・ろ過するものです。また、都市モデルは、し尿は車で収集し、排水はコミュニティごとに集水します。
  • 第5回アフリカ開発会議(TICAD X)
  • http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/tc5/
  • 外務省の公式ホームーページです。今回の会議にかかわる概要、議事、評価、さらに公式サイドイベントの情報などを掲載しています。