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SATREPS:低炭素社会の12指針 マレーシア・イスカンダル開発区の政策に採用へ
2012年7月9日(月)Puteri Pacific Hotel

アジア地域の低炭素社会シナリオの開発を目的としたSATREPSプロジェクトの第3回国際シンポジウムがこのほど、マレーシア・ジョホーバル州(イスカンダル地域)で開かれ、低炭素を維持するために考慮すべき12の指針が発表されました。日本とマレーシアの共同研究プロジェクトの一環としてマレーシア工科大学が作成したもので、今秋11月にも同州南部のイスカンダル開発区の政策として採用される見通しとなっています。

実現すれば、マレーシアでは低炭素に向けた取り組みが、大規模に都市計画に組み込まれる初めてのケースとなることもあり、地元メディアでは大きく取り上げられました。

シンポジウムは7月9日、プロジェクトの最新結果を報告することを目的に、マレーシア工科大学、イスカンダル開発庁、財団法人地球環境戦略研究機関/低炭素社会国際研究ネットワーク、国立環境研究所、京都大学、独立行政法人国際協力機構(JICA)、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の主催で行われ、約100人が参加しました。

目玉として示された12の指針は以下の通りです。

1. Walkable, Safe, Livable City Design
(歩きやすく安全な街づくり)
7. Green Buildings and Construction
(環境に配慮したビル・建物)
2. Integrated Green Transportation
(環境にやさしい公共交通ネットワーク)
8. Green Energy System and Renewable Energy
(低炭素、再生可能エネルギー供給)
3. Green Economy
(持続可能な経済)
9. Low Carbon Lifestyle
(低炭素に配慮したライフスタイル)
4. Low Carbon Urban Governance
(低炭素の都市管理)
10. Community Engagement and Consensus Building
(コミュニティの参画と合意形成)
5. Smart Growth
(環境負荷の少ない経済成長)
11. Sustainable Waste Management
(持続可能な廃棄物処理)
6. Green and Blue Infrastructure
(緑と水のインフラ)
12. Clean Air Environment
(きれいな空気)

プロジェクト「アジア地域の低炭素シナリオの開発」(研究代表者 松岡譲・京都大学大学院工学研究科教授)は、このまま経済開発が進むと寄与が大きくなると予測されるアジア地域での温室効果ガスの排出を、低炭素に配慮したさまざまな方策で抑えていくことを目的としています。京都大、国立環境研究所、マレーシア工科大らの共同研究は2010年度から5年間の予定で始まり、マレーシアに適した低炭素社会のシナリオ構築方法の開発に向け、今後20年で大規模なインフラ・生産資本の整備が予定されているイスカンダル開発区における低炭素社会のシナリオづくりを進めてきました。

現状ではほぼ未開発の状態にあるイスカンダル開発区は、日本の技術や知識の提供により、経済発展段階で日本が実現できなかった交通インフラ、建築などの分野で低炭素社会に向けた取り組みを進めることができると考えられています。12の指針は現地政府との調整を経て、開発区の正式な政策として採用される見通しとなっています。

JSTの岡谷重雄参事役はシンポジウムの冒頭で、12の指針について、「学問的な成果が、地域政府および社会とのコラボレーションにより、このような包括的な指針となったことは日本でも例がなく、イスカンダルの人々にとってだけでなく、日本にとっても大変意義のあることです」「本当の成果を得るには10年以上の時間がかかりますが、ここにいる才能ある研究者やそれに続く若者たちが成し遂げてくれることでしょう」などとコメントしました。

地元メディアの「the star online」では、イスカンダル開発長のCEO Datuk Ismail Ibrahimが「開発と持続可能性のどちらかが犠牲になる可能性は十分にありえることです。イスカンダルを持続可能な生活空間に変えていくためには、すべての関係者の協力が不可欠です」とコメントしたことなどが取り上げられています。

  • 【関連URL】
  • 「SATREPS」
  • http://www.jst.go.jp/global/index.html
  • 地球規模課題対応国際科学技術協力(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)の略語。独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で助成し、地球規模課題解決のために日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う3〜5年間のプログラムです。35カ国68のプロジェクトが実施されています。