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高エネルギー密度科学国際会議2012(International Conference on High Energy Density Sciences 2012:HEDS2012) 開催報告
2012年4月26日(木)~27日(金)パシフィコ横浜国際会議場


チェアマンの挨拶


講演の様子

CREST研究領域「先端光源を駆使した光科学・光技術の融合展開」における研究課題「光制御極短シングル電子パルスによる原子スケール動的イメージング」(研究代表者:細貝知直 大阪大学光科学センター特任准教授)における高エネルギー密度科学国際会議2012がパシフィコ横浜国際会議場にて4月26日、27日の2日間にわたり開催された。議長は兒玉了祐 教授(大阪大学工学研究科)が務め、参加登録者59名、口頭発表27件、ポスター発表26件を得て、成功裏に終了した。

近年、ハイパワーレーザーを基礎とした高エネルギー密度科学の展開は著しく、高エネルギー密度プラズマフォトニクスという概念も提案され、従来取り扱う事が困難であった桁違いに高い強度の光や高エネルギー密度の粒子ビームを直接制御することが試みられている。これらの研究開発により、真空の破壊や非線形科学、実験室宇宙物理等の超高強度場科学のみならず量子ビーム研究も大きく展開しGeVからTeVの超高エネルギー粒子の加速やフェムト-アト秒スケールの単色電子・X線パルス等の極短高密度の量子ビーム発生が現実のものとなりつつあり、これらのビームを利用した量子ビームによる超高速イメージング等の応用研究開発も既に開始されている。

HEDS2012は高エネルギー密度科学に関連した研究を行っている第一線の研究者と技術者が一堂に会し情報交換/討論を行う事を目的としている。今回は高エネルギー密度科学の中でも高エネルギー密度プラズマフォトニクス、レーザー駆動量子ビーム、量子ビームによる超高速イメージングを会議のテーマとした。初日は欧州ELI(Extrime Light Infrastracture)のG. Korn 博士による欧州高強度レーザープロジェクトの現状と開発戦略、フランスLULIのJ. Fuchs 博士による超高強度光を制御する高エネルギー密度プラズマフォトニクスの二つの基調講演で始まり、続いて、午前中にプラズマフォトニクスに関する講演(招待2件、一般講1件)が行われた。J. Fuchs 博士には極超高強度照射条件の実現に向けたプラズマデバイスの可能性について、日本原子力機構S. Bulanov 博士には相対論プラズマにおける非線形プラズマ波について、異分野の研究者にも分かり易く紹介していただいた。午後の始めは2時間半のポスターセッション(発表26件)が行なわれ、後半は高強度場科学に関する講演(招待3件、一般講4件)が行われた。二日目は米国UCLAのC. Joshi 教授による無衝突衝撃波駆動の陽子ビーム加速、フランスLOAのV. Malka 博士によるレーザープラズマ加速の原理と応用 の二つの基調講演で始まり、午前中に量子ビーム発生に関する講演(招待2件、一般講2件)が行われた。午後は量子ビームイメージングに関する講演(招待4件)と先端光源に関する講演(招待3件、一般講2件)が行われた。午前中の量子ビーム発生での議論を受けて、午後のイメージング応用、先端光源へと話がつながり講演後には白熱した議論が交わされた。会期が二日間と限られた日数であったため、夕方遅くまで講演が続き、セッションは終始大盛況であった。クロージングでは「HEDS国際会議は今後のさらなる継続と発展が望まれる」との声明があり、参加者全員からの同意の拍手で本会は閉幕となった。


ポスターセッション


参加者集合写真