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第一回液晶性有機半導体国際シンポジウム開催報告
2012年2月21日(火)〜22日(水)東京工業大学 蔵前会館

戦略的創造研究推進事業 CREST http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/

CREST研究領域「ナノ科学を基盤とした革新的製造技術の創製」における研究課題「液晶性有機半導体材料の開発」(研究代表者:半那純一 東京工業大学像情報工学研究所教授)の第一回液晶性有機半導体国際シンポジウムが東京工業大学の蔵前会館にて2月21日、22日の2日間にわたり開催された。

液晶物質における電子伝導の発見以来、液晶物質は自己組織的に分子配向を有する凝集相を形成する新しい有機半導体、つまり液晶性有機半導体は、従来のアモルファス有機半導体や結晶性有機半導体にはない特徴をもつ新しい有機半導体として注目され、研究が進められてきた。近年では、特に、有機トランジスタや有機薄膜太陽電池への応用を目指した研究が盛んに行われている。本シンポジウムでは液晶性有機半導体に関する現状を紹介するとともに、会議参加者と最先端の研究成果を共有し、今後のさらなる展開を図ることを目的として開催された。会議では、液晶性有機半導体に関する研究成果をあげている内外の一線の研究者12名に加えて、本シンポジウムの主催者である半那純一教授チームのCREST研究の成果に関する6件の口頭講演、また、一般投稿による30件のポスター発表が行われた。

まず、冒頭では、円盤状液晶物質における電子性伝導の確立から20年にあたることを記念して、ドイツのバイロイト大学Haarer教授より、当時の円盤状液晶における電子伝導の発見と実用化へ向けた期待について講演が行われた。続いて、半那教授のグループによる液晶性有機半導体の分子設計指針や新規材料の開発、電荷輸送の理論的解釈と基礎特性、液晶性を活用したデバイス作製プロセスの開発等を中心にCRESTでの研究成果を中心に6件の講演が行われた。なかでも、溶液プロセスにより移動度が5cm2/Vsを与え、かつ、140℃を超える熱プロセスに耐えられる高次のスメクチック相を有する実用性の高い有機トランジスタ用新規液晶材料の開発は一つのトピックスであった。また、大日本印刷 鰍フグループからは液晶性有機半導体を用いたアクティブマトリックス型の電子ペーパーの開発、液晶性を活用した液晶性有機半導体の新規パターニング技術の開発、半那教授が開発した新規液晶材料を用いたリングオシレータの試作など、応用面での液晶性有機半導体材料に関する進展が報告された。

英国インペリアルカレッジのHenney教授からは種々の高分子の液晶性有機半導体材料の合成とそのトランジスタ特性、山形大学の時任教授からは、Thienothiophene系高分子液晶性有機半導体のトランジスタ応用に関する成果、インドのラマン研究所のKumar教授、東京大学の相田卓三教授、ドイツのマックスプランク研究所Pisula教授、英国オックスフォード大学Kirkpatrick教授からは円盤状液晶の液晶性有機半導体に関する最新の研究成果が報告された。産業技術総合研究所の清水博士、大阪大学の尾崎教授からは液晶性フタロシアニン誘導体を用いた太陽電池応用に関する研究成果が報告された。英国ハル大学O’Neill教授、ベルギーのブリュッセル大学Geerts教授、香川大学の舟橋教授からは、主に棒状の液晶性有機半導体用いた材料の開発から電荷輸送特性の評価、デバイス応用の研究成果が紹介された。

ポスター発表では、液晶性有機半導体に関する研究に関する研究成果を中心に、関連する自己組織化を有する有機半導体材料に関する研究成果も報告され、液晶性有機半導体の研究の展開の兆しがうかがわれた。

本シンポジウムの開催がアナウンスされたのが開催1ヶ月前にも関わらず、29企業41名の参加を含む111名もの参加者があり、液晶材料を用いた有機半導体材料の研究開発への高い関心と液晶材料の新しい産業への展開への期待がうかがわれた。