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物理学の根本「ハイゼンベルクの不確定性原理」の破れを実証 教科書書き換えも

戦略的創造研究推進事業 さきがけ(個人型研究) http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/


今回実験に用いたウィーン工科大学の研究設備

「不確定性原理」は、ドイツの物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルク(1932年ノーベル物理学賞受賞)によって1927年に提唱され、現在では物理学における根本原理として広く知られています。ウィーン工科大学の長谷川祐司准教授らのグループは今回、「不確定性原理」に伴う測定精度の限界を表す「ハイゼンベルクの不等式」に不足があることを示し、「小澤の不等式」であればその不足を補えることを実験的に実証し、Nature Physics(2012年1月15日付)で発表しました。

「ハイゼンベルクの不等式」に対しては、これまでにも理論研究者から疑問の声が挙がっていましたが、実験的な検証については、技術的困難さからこれまで行われることがありませんでした。今回、長谷川准教授らは、検証のための実験系を構築し、「小澤の不等式」の正しさを実証することに世界ではじめて成功しました。特殊な状況下において、従来考えられていた測定の限界を突破できる事になります。

今回の成果は、物理学のいわば”常識”と思われていた公式を補足し、より正確にするもので、教科書の記述の書き換えをせまる画期的なものです。量子力学を否定するものではなく、むしろ量子が持つ性質を、より正しく理解することに繋がります。

長谷川准教授は、本成果に関し、「研究がスタートしたのは、JST戦略的創造研究推進事業(さきがけ)が主催する領域会議における、たいへん気持ちのよい研究交流環境のおかげだった」と語っています。(「さきがけ」は、JSTが推進する個人型研究です。長谷川准教授は、「量子と情報」研究領域 http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/ja/kenkyu/21quantum.html に採択され、2004年から2007年の間、「光学実験を手段とした量子情報処理のための量子力学的物理現象の研究」という研究課題を実施しました。「小澤の不等式」を提唱した、名古屋大学の小澤正直教授は、同領域の領域アドバイザーでした。)

参考:
より詳しい研究内容は下記のページをご覧ください。
「ハイゼンベルクの不確定性を超えた!(ウィーン工科大学プレスリリース和訳)」-JSTさきがけHPより

  • PDF http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/ja/seika/info/hasegawa.pdf (PDF:0.29MB)

原著論文「Experimental demonstration of a universally valid error-disturbance uncertainty relation in spin measurements」-Nature

「さきがけ領域会議の真実。」JST news vol.4/No.112008-2月号


ウィーン工科大学研究チーム
左から三番目が長谷川准教授


小澤不等式の小澤教授と
長谷川准教授