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JST/CREST国際ワークショップ「機能性酸化物ナノエレクトロニクスのフロンティア〜 3端子スイッチ素子への応用 〜」開催報告
2011年11月10日〜11日 物質・材料研究機構(千現地区)第一会議室

CREST研究領域「次世代エレクトロニクスデバイスの創出に資する革新材料・プロセス研究」における研究課題「3端子型原子移動不揮発性デバイス『アトムトランジスター』の開発」(研究代表者:長谷川剛 物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点主任研究者)、研究課題「革新的プロセスによる金属/機能性酸化物複合デバイスの開発」(研究代表者:湯浅新治 産業技術総合研究所ナノスピントロニクス研究センター長)、研究課題「機能性酸化物を用いた界面相転移スイッチングデバイスの開発」(研究代表者:秋永広幸 産業技術総合研究所ナノデバイスセンター長)のジョイント国際ワークショップ「機能性酸化物ナノエレクトロニクスのフロンティア〜 3端子スイッチ素子への応用 〜」が、10日〜11日の2日間、物質・材料研究機構(千現地区)第一会議室にて開催されました。

本ワークショップは、当該CREST研究領域にて推進されている機能性酸化物に関連する3つのチームが最新の研究成果を発表し、更に、当該分野で注目される研究成果を発表している世界的に著名なグループから研究者を招聘して議論を深めることにより、当該分野の研究成果が実用デバイスに結実する効率的な道筋を探ることを目的として開催されたものです。機能性酸化物エレクトロニクスにおける中核的な挑戦的課題として「3端子スイッチ素子への応用」を掲げ、渡辺久恒研究総括から提示された以下の3つの技術的課題に議論をフォーカスするという試みを行いました。

With a high enough current drivability in an integrated circuit, your proposed switch should meet following criteria;
1. Subthreshold slope should be comparable or lower than 60 mV/dec, which is a theoretical minimum in semiconductor devices.
2. Complementary-switching action of the binary state can be proposed.
3. Energy dissipation to transfer the output signal to the next input is not much increased as compared with the CMOS circuit concept.

海外からの招待講演者は、I. Valov博士 (FZ JÜlich & RWTH-Aachen)、J. Joshua Yang博士 (HP Lab.)、N.D. Mathur博士 (Univ. of Cambridge)、I. Radu博士 (IMEC)、M. Garner博士 (Stanford Univ.)、S. Ramanathan博士 (Harvard Univ.)の6名で、それぞれ40分ずつのご講演をいただきました。また、それぞれのCRESTチームから研究代表者と他2名、3チーム合計で9名の研究者により各30分の発表がなされました。ワークショップは公開とし、講演者以外の事前登録者として73名(CREST関係者を含む)、また21名の当日参加者にお集まりいただくことができました。討論テーマの的を絞ったこともあり、一般参加者を含めた極めて活発な質疑応答が行われ、ワークショップ開催期間中に30分の長さで3回設けたコーヒーブレーク、またワーキングランチもあっという間に時間が過ぎてしまったかのように感じられるほどの熱気あふれたワークショップとなりました。最終日の午後には、ワークショップにおける議論と情報交換を今後の実質的な連携に結実させることを目指して、会議開催場所と同じつくば市内にある産業技術総合研究所のラボ見学会を行いました。

招待講演者の方々からワークショップ終了後、“The workshop was very interesting and of high scientific quality and I find it is very good that it can be continued in the next years.”、“The focused topics made the workshop very much exciting.” 等、ワークショップにおける興奮そのままの熱いメッセージをいただきました。また、多くの参加者から、本ワークショップを高く評価していただくコメントをいただいています。

今回のワークショップでは、研究総括から提示された3つの技術的課題を解決する3端子スイッチ素子実現までの道のりが遠いことが改めて認識されました。一方で、講演者のみならず参加者全員により、機能性酸化物の持つ多彩な物性が3端子スイッチ素子ほか新しいデバイス実現にむけた大きな可能性を秘めていることに合意することができました。また、提示された技術的課題とはまったく異なる観点から機能性酸化物をとらえ、「オフ電流を抑えなくても良い回路設計はできないか」などの新しい研究指針も創出されました。さらに、このワークショップを開催したことによって、JST/CRESTがこの挑戦的な研究開発に取り組み、世界的に見ても先駆的な成果を発信していることを強くアピールすることができました。来年度以降も継続的にこの国際ワークショップを開催することで、機能性酸化物エレクトロニクス分野における最先端の情報が集約され、創発的にアイデアが生み出される場として認知されていくであろうことが期待されます。