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JST/CREST2領域ジョイント国際シンポジウム「International Conference of Neurons and Brain Diseases」開催報告
2011年08月03日(水)~05日(金)ANAクラウンプラザホテル富山

CREST研究領域「精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出」における研究課題「恐怖記憶制御の分子機構の理解に基づいたPTSDの根本的予防法・治療法の創出」(研究代表者:井ノ口馨 富山大学大学院医学薬学研究部教授)、「マウスを活用した精神疾患の中間表現型の解明」(研究代表者:宮川剛 藤田保健衛生大学総合医科学研究所教授)、CREST研究領域「脳神経回路の形成・動作原理の解明と制御技術の創出」における研究課題「可塑的神経回路を支えるシグナル伝達の分子基盤解明と制御」(研究代表者:尾藤晴彦 東京大学大学院医学系研究科准教授)のジョイント国際シンポジウム「International Conference of Neurons and Brain Diseases」が、国際学会組織Association for the study of Neurons and Disease (AND)との共催で、井ノ口馨会長のもとで、2011年8月3-5日の3日間、富山ANAクラウンプラザホテルにおいて開催されました。

現在、JST/CRESTのこれら3つの研究グループはそれぞれの領域の研究で世界を牽引しております。このシンポジウムでは、研究領域に関連した分子・細胞・個体レベルの基礎から医学研究に及ぶ多彩な研究を取り上げ、47 題の講演と、49題のポスター発表が行われました。また、海外の研究機関から出席した研究者も40名を超え、非常に国際色豊かなシンポジウムとなりました。

今回のシンポジウムには、「記憶のメカニズム」、「記憶と疾患」、「認知機能の障害とそのメカニズム」、「神経回路」、「神経可塑性」の計5つのJSTセッションが設けられ、最新の研究成果23件が口頭発表されました。井ノ口グループからは計7名、宮川グループからは計2名、尾藤グループからは計3名が口頭発表しました。JSTセッションでは、Graham Collingridge博士、Bong-Kiun Kaang博士、Eric Klann博士、Kwangwook Cho博士、Young Rao博士、Guosong Liu博士、Ilya Bezporozvanny博士、森寿教授、June-Seek Chio博士、Wei-Yang Lu博士、Vadim Bolshakov博士などの世界的に著名な研究者が講演されました。また、JSTセッション以外でも、Min Zhuo博士、Michael Salter博士、富永真琴教授、John MacDonald博士、伊藤誠二教授、中塚映政教授、Justin Lee博士、津田正明教授、Tuck Wah Soong博士、Eunjoon Kim博士らが講演されました。

口頭発表は15分の発表と5分の質疑応答の合計20分で行われました。国際シンポジウムとしては短い発表時間ですが、さすがにベテランの研究者達による発表だけに、15分にうまく研究内容が凝縮されており、息を抜けない発表が多かったのが印象的でした。質疑応答も5分以上に超過することがほとんどであり、セッション間のコーヒーブレークなどでも、熱のこもったディスカッションが行われました。ポスター発表は、程よい緊張感の中で、活発な議論が展開されました。また、大学院生によるポスター発表も多く、英語を使用言語とする初めてのポスター発表となった若い大学院生もおり、国際的な経験を積むための良い経験の場となったようです。全体を通じて、質的にも、量的にも、盛大な国際シンポジウムとなり、大いに情報交換を行うことができました。3日目の夜には、多くの参加者を集めた懇親会が盛大に行われ、参加者間のネットワーク構築に役立ちました。

今回のジョイントシンポジウムでは、JST/CRESTの研究活動を世界に向けて発信する狙いもありました。学会の冒頭では、市丸修氏(JST)によるJSTの活動説明が行われました。

多くの参加者から、本シンポジウムを高く評価していただき、盛会のうちに終了できました。今回の国際シンポジウムを契機として、海外研究機関との交流もさらに深め、世界に先駆けた研究が進展することが期待されます。