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「無機ナノシートの新展開」国際シンポジウム開催報告
−2010年11月17日(水) 大阪国際会議場−

「無機ナノシートの新展開」国際シンポジウム開催報告_1 
「無機ナノシートの新展開」国際シンポジウム開催報告_2 
「無機ナノシートの新展開」国際シンポジウム開催報告_3 

CREST研究領域「ナノ科学を基盤とした革新的製造技術の創成」において推進中の研究課題「無機ナノシートを用いた次世代エレクトロニクス用ナノ材料/製造プロセスの開発」(研究代表者:佐々木高義 独立行政法人物質・材料研究機構 主任研究者)の一環として、国際シンポジウム「New Frontiers of Inorganic Nanosheets(無機ナノシートの新展開)」を、2010年11月17日大阪国際会議場(グランキューブ大阪)において開催しました。

無機ナノシートは、層状化合物を単層剥離して得られる新しいタイプの2次元ナノ物質であり、グラフェンの酸化物版あるいはグラフェンに続く新しい材料フロンティアとして、材料開発、機能開拓、応用展開など様々な観点から研究が加速している分野です。本シンポジウムは、無機ナノシートに関する初めての国際会議として、この分野で活躍中の国内外研究者、さらには、産官学の様々な専門、バックグラウンドを持つナノ材料研究者を、ナノシートというキーワードで結集し、将来のナノシート研究の礎となる研究討論の場を提供することを目的として企画開催しました。海外からは、Patrick Davidson 博士(CNRS)、Michael Lerner 教授(オレゴン州立大)、Seong-Ju Hwang 博士(梨花女子大)、Lianzhou Wang 博士(クイーズランド大)をはじめ6名、国内からは、宮山 勝 教授(東大)、中戸晃之 博士(東京農工大)、中野秀之(豊田中研)をはじめ6名、全12名の世界の第一線で中心的に活躍中の研究者を招待講演者として招へいしました。招待研究者12名から最先端の研究成果を講演いただくとともに、本CRESTグループからは6名が話題提供し、総計94名の参加者を得ました。

無機ナノシートの新材料合成、構造に関する基礎セッションから始まり、グラフェン、粘土ナノシートの関連技術、無機ナノシートの特異な光電子物性、さらには、太陽電池、リチウム2次電池、スーパーキャパシタ、高誘電性薄膜、透明磁性膜、機能性エピタキシャル薄膜成長用のシード層応用など、無機ナノシートを基軸として幅広い領域の最先端の研究状況が1日のセッションに集約され、終始、深い議論が交わされました。午前のセッションでは、無機ナノシートの新規材料合成、構造、さらには無機ナノシートの関連技術であるグラフェン、粘土ナノシートに関する8件の講演がありました。中野秀之(豊田中研)からは、シリコンをベースとした新しい無機ナノシートとその特異な光電子特性に関する研究状況が報告されました。Michael Lerner 教授(オレゴン州立大)からは、無機ナノシートの関連技術として、炭素層間化合物、グラフェンの基礎特性や分散技術に関する最先端の研究成果が報告されました。Lianzhou Wang 博士(クイーズランド大)からは、酸化物ナノシートの新規機能開拓や可視光応答性を目指した新しい試みとして、酸化チタンナノシートのドーピング技術と元素置換ナノシートの光電子特性に関する最新の研究成果と新たな発見が紹介されました。続く午後のセッションでは、無機ナノシートの光学特性に関する5件の講演の後、無機ナノシートの電磁気機能とその応用技術に関する5件、計10件の講演がありました。無機ナノシートの液晶研究、光学物性の先駆者であるPatrick Davidson 博士(CNRS)からは、液晶研究の基礎、歴史をレビューした後、特異な電場、磁場学応答を利用した液晶特性について最新の成果を報告して頂きました。中戸晃之 博士(東京農工大)、宮元展義 博士(福岡工大)からは、酸化物ナノシートの液晶性とその応用について最新の研究成果の報告がありました。伊田進太郎 博士(九大)からは、希土類添加ナノシートの合成と発光特性に関する最新の研究成果が紹介されました。また、電磁気機能とその応用技術に関しては、Seong-Ju Hwang 博士(梨花女子大)から、新規遷移金属ナノシートとそのハイブリッド材料における光電気化学、電気化学特性に関する最新の研究成果と新たな発見が紹介されました。宮山 勝 教授(東大)からは、ナノシートをベースとしたリチウム2次電池技術とその開発状況の最先端の紹介がありました。いずれも極めて質の高い最新成果の報告であり、極めて大きな刺激を受けるとともに、本CREST研究遂行において多くの参考となる知見を得ることができました。

本CRESTチームからは、無機ナノシートのレビュー(佐々木高義)、新規水酸化物ナノシートとその応用(馬 仁志)、発光性ナノシートとその蛍光体応用(小澤 忠)、酸化ルテニウムナノシートのスーパーキャパシタ応用(杉本 渉)、機能性エピタキシャル薄膜成長用のシード層応用(柴田竜雄)、新規電磁気物性(長田 実)に関する6件の発表を行い、研究成果を大いにアピールするとともに、多くの参加者と深い議論を交わしました。

また、多くの参加者より、無機ナノシートに特化した本シンポジウムの意義を高く評価する声があり、また、次回以降の開催を強く期待する声も多く寄せられ、盛会のうちに終了できました。今回のシンポジウムを契機として、海外研究者コミュニティとの交流をさらに発展させ、ナノシート研究でイニシアチブを発揮できるよう、研究開発をより積極的に推進していきます。