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JST-CREST第二回グラフェンデバイス国際シンポジウム(ISGD2010)開催報告
−2010年10月27日(水)〜29日(金) 東北大学電気通信研究所−

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CREST研究領域「次世代エレクトロニクスデバイスの創出に資する革新材料・プロセス研究」(領域総括:渡辺 久恒 株式会社 半導体先端テクノロジーズ(SELETE) 代表取締役社長)において推進中の研究課題「グラフェン・オン・シリコン材料デバイス技術の開発」(研究代表者:尾辻 泰一 東北大学電気通信研究所 教授)において、国際シンポジウム:ISGD2010(2nd International Symposium on Graphene Devices: Technology, Physics and Modeling)を、2010年10月27〜29日の3日間にわたり東北大学電気通信研究所において開催しました。本シンポジウムは、急速な進展をみせている新材料グラフェンのデバイス応用に関する技術と物理およびモデリングをテーマとし、2008年11月(会津大開催)に続く第二回目として、JST-CRESTおよび東北大通研からの資金援助を受け、会津大学、ニューヨーク州立大学バッファロー校の技術共催を得て、企画開催しました。

内外の第一線で活躍する研究者19名(うち海外12名)を招聘し、最先端の研究成果を招待講演いただくとともに、18件の一般オーラル講演(うち海外2名)と14件の一般ポスター講演(うち海外2名)を含め、合計51件の講演を集め、90名の参加者を得ました。グラフェンの特異な光電子物性、熱伝導特性を中心とする物性、結晶成長・評価分析技術、トランジスタ、レーザー等の電子・光デバイス、論理ゲート、信号処理デバイスなど、グラフェンデバイスを基軸として幅広い領域の最先端の研究状況が三日間のセッションに集約され、終始、深い議論が交わされました。開催直前に、2010年度ノーベル物理学賞がグラフェンの発見に対して英国の研究者2名に授与されるという思いがけない好機となりました。オープニングでは、ノーベル賞受賞者のA. Geim博士から主催者に寄せられた本シンポジウム参加者へのメッセージが紹介されると、会場が沸き立ちました。

海外からはC. Berger博士(ジョージア工科大)、A. Ferrari博士(マンチェスター大)、Y.M. Lin博士(IBM)をはじめ12名、国内からは斎藤理一郎教授(東北大)、佐藤進太郎博士(富士通研・産総研)をはじめ7名、全19名の世界の第一線で中心的に活躍中の研究者を招待講演者として招へいしました。講演では、C. Berger博士およびT. Seyller博士(エランゲン大)らよりSiC上へのエピタキシャル成長技術、界面制御・レイヤー制御技術、ならびにそれらの材料によるトランジスタデバイス応用に関する最先端の研究状況が報告されました。エピタキシャルグラフェンの結晶構造解析に関しては、日比野浩樹博士(NTT)、永瀬雅夫教授(徳島大)からも重要な研究成果が報告されました。P. Soukiassian教授(U. Paris-Sud)はグラフェン-SiC界面のナノ構造・ナノ欠陥がバンド特性に及ぼす影響について新しい知見を発表しました。K. Horn教授(Fritz-Haber-Inst.)は、グラフェン中の欠陥、エッジ、不純物等が電子物性に及ぼす影響について詳細に解説しました。トランジスタ技術に関しては、Y.M. Lin博士より高周波グラフェントランジスタ開発状況の最先端が、長汐晃輔博士(東大)より金属・グラフェンオーミック接合とそのトランジスタ特性への影響が、佐藤信太郎博士(富士通)よりCVD成長グラフェンによるSi基板上グラフェンFET作成技術とその試作結果が、それぞれ紹介されました。齋藤理一郎教授からは、グラフェンの特異な光電子物性とそのラマン応答による同定に関する最新の研究成果と新たな発見が紹介されました。A. Ferrari博士はグラフェン開発の歴史をレビューした後、特異な光学応答を利用した過飽和吸収特性とその光超短パルス生成への応用について、最新の成果を報告しました。いずれも極めて質の高い最新成果の報告であり、極めて大きな刺激を受けるとともに、本CREST研究遂行において多くの参考となる知見を得ることができました。

シリコン基板上に独自技術でヘテロエピタキシャル成長したグラフェン(GOS: Graphene On Silicon)による高周波FET、論理回路およびテラヘルツ・プラズモンデバイスの開発をめざす本CRESTチームからは、GOSによるグラフェン成長・積層化・結晶品質のSi基板面方位依存性、GOS材料によるトップゲート型FET動作、GOS-FETによる世界初の相補型インバータ論理室温動作、光学励起グラフェンからのテラヘルツ誘導増幅放射に関する理論・実験結果など、オーラル、ポスター併せて16件の発表を行い、研究成果を大いにアッピールするとともに、多くの参加者と深い議論を交わしました。

クロージングでは、Student Paper Awardがオーラル・ポスターを合わせて3名の学生に授与されました。また、多くの参加者より、グラフェンデバイスに特化した本シンポジウムの意義を高く評価する声が多く寄せられ、次回以降の開催を強く期待する声と、国際的な実行委員会組織形成を期待・激励する声が多く寄せられ、盛会のうちに終了できました。今回のシンポジウムを契機として、海外研究者コミュニティとの交流をさらに発展させ、グラフェンデバイス研究でイニシアチブを発揮できるよう、研究開発をより積極的に推進していく所存です。

本シンポジウム開催にあたり、ご協力いただいた東北大通研等の関係各位に、心より御礼申し上げます。

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