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第2回 JST CREST - SBM 国際会議開催報告書
-2010年06月28日(月)~07月02日(金) ホテル阪急エキスポパーク-

第2回 JST CREST - SBM 国際会議開催報告書_1 

第2回 JST CREST - SBM 国際会議「グレブナー基底と現代の産業社会の調和」は、2010年6月28日(月)~7月2日(金)の日程で、ホテル阪急エキスポパーク(大阪府吹田市)で開催された。参加者総数は75名(内、海外から34名)と、国際色豊かな盛会であった。海外参加者の国別内訳は、アメリカ合衆国15名、イギリス4名、カナダ3名、ドイツ3名、イタリア2名、フランス2名、イスラエル1名、スペイン1名、ハンガリー1名、チェコ1名、ジンバブエ1名である。講演数は、招待講演(40分)30件、一般講演(20分)18件であった。招待講演30件は、すべて、海外からの招待講演者による講演であり、招待講演者には、著名な研究者とともに、若手研究者、ポスドクも含まれており、若手から大御所までの幅広い世代から招待講演者を厳選した。一般講演の内訳は、国内参加者による講演16件、海外参加者による講演2件であった。主催者側としては、海外招待講演者が多いことから、飛行機のキャンセルなどの不可抗力によるプログラムの変更、キャンセルなどを危惧していたが、幸いにも、アブストラクト印刷完了後の講演キャンセル等はなく、会議はきわめて円滑に進行した。

会議の全体スケジュールであるが、初日は、JST 市丸修上席主任調査員による Opening Speech で開会され、招待講演10件(午前4件、午後6件)があり、夕方は Welcome Party が開催された。2日の午前は招待講演4件、午後から夜は一般講演(Short Communications)18件があった。3日目は午前に招待講演4件であった。4日目は招待講演8件(午前4件、午後4件)があり、夕方は Banquet が開催された。最終日の午前は招待講演4件の後、研究代表者による Closing Speech で閉会した。すべての講演はビデオ撮影しており、チームのホームページで公開する予定である。

招待講演のグループ別の内訳は、理論系の講演7件、応用系の講演13件、計算系の講演10件であった。理論系の話題は、トーリックイデアル、ヒルベルト函数、凸代数幾何、トーリックファイバー積、二次グレブナー基底など。応用系の話題は、分割表解析、グラフィカルモデル、疎データ解析、実験計画法、マルコフ連鎖など。計算系の話題は、計算D加群、トロピカル幾何、代数数値融合計算などであった。プログラム編成会議では、理論系講演、応用系講演、計算系講演を、有機的に分散させるように努力し、理論/応用/計算の研究グループの国際的な交流が促進されるように配慮するとともに、暫定的なプログラムも4月からホームページに掲載した。その結果、招待講演者の多くは、自分の専門分野の聴衆のみならず、異分野の聴衆を強く意識したプレゼンテーションをし、必然的に、会議参加者も、自分の専門分野以外の講演にも興味を持つことが可能となり、会議参加者は、ほとんどすべての講演に出席し、講演終了後には活発な質疑応答が展開されるなど、会議の雰囲気は異分野連携性を帯び、Welcome Party と Banquet においても、そのような異分野連携性の賞賛を海外招待講演者から得ることができた。特定の曜日に特定のグループの講演を集中させるような従来型の国際会議ではそのような雰囲気に浸ることは困難である。そのような異分野連携性の雰囲気が漂ったことは、しかし、単にプログラムの配列などの配慮によるものではなく、われわれの CREST チームが、欧米諸国で開催される国際会議、国際研究集会、ワークショップなどに積極的に参加し、CREST チームの研究活動を宣伝してきたという背景があることを忘れてはならない。一般講演(Short Communications)も、そのような趣旨からパラレルセッションは避け、従って、午後1時30分から午後9時までの長時間のセッションとなったが、それにもかかわらず、多くの参加者が出席していたことは、特筆すべき事項である。

招待講演者の多彩な講演を刺激とし、われわれの CREST チームの理論/応用/計算グループの相互理解は、従来よりも一層の加速を帯びて進化する結果となった。グレブナー基底の着想は、1927年の F. S. Macaulay の論文に、既に、現れているが、その現代的な定義は、1964年に廣中平祐、1965年に Bruno Buchberger によって独立に導入された。すると、2014年はグレブナー基底の生誕50年となる。それを記念し、目下、われわれの CREST チームは、2014年1月に、再び、国際会議「グレブナー基底の最近の潮流(仮題)」を開催する計画を準備している。