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「動作中の生体分子を見る」国際シンポジウム開催報告
−2009年12月15日(火)〜12月17日(木) 千里ライフサイエンスセンター−

「動作中の生体分子を見る」国際シンポジウム開催報告_1 
「動作中の生体分子を見る」国際シンポジウム開催報告_2 

CREST研究課題 「タンパク質のナノダイナミクス高速撮影装置の開発」(研究代表者:金沢大学教授、安藤敏夫:CREST研究領域「生命現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術」)において、平成21年12月15−17日の日程で国際シンポジウム「動作中の生体分子を見る」(Watching Biomolecules in Action)を大阪の千里ライフサイエンスセンターにて開催しました(参加登録者:171名、そのうち海外からの参加者48名)。

冒頭のJST・市丸 修総括参事によるJSTおよびCRESTに関する概要説明に続いて、招待講演(海外24件、国内13件)と一般講演(国内11件、海外8件)を実施しました。また、開催初日にはポスター発表(海外15件、国内32件)を実施しました。

1分子生物学は、光学顕微鏡や光ピンセットナノ操作・計測といった技術を基盤とし、生体分子の1分子ダイナミクス計測を通して機能メカニズムを解明することを目指して20年以上前に創成されました。この分野の発展は目覚しく、1分子生物学手法は様々な分子・細胞におけるダイナミクス研究に適用されるとともに、回折限界を破る光学顕微鏡、機能性光学プローブ、bio-MEMSといった新しい手法も開発されています。また、本CRESTチームの研究で発展を遂げた高速AFMという従来の時間・空間分解能を破る顕微鏡も実用段階に達しています。このような状況にある今、これまでの発展を振り返るとともに、現在発展しつつあるダイナミクス研究や最新の技術動向を展望することにより、1分子生物学の今後進むべき方向を探ることを目的として、本シンポジウムは開催されました。また、本CRESTチームの研究成果である高速AFMの応用展開について情報発信し、共同研究の可能性を探ることも重要な狙いでした。

従来型の1分子生物学手法は新しい興味ある対象に適用され、現在でも活発に応用拡大が進められている一方で、限界があることも明らかになったと思われます。回折限界を破る種々の光学顕微鏡の中で、STEDは時間分解能の点で優れ、今後その利用が急拡大することが予想されました。種々の機能性光学プローブについては、細胞活動の様々な側面を捉えるのに有効であるとともに、光学顕微鏡の進化にも大きく貢献することも示されました。Bio-MEMS技術の発展は目覚しく、網羅的な解析に有効であることが示されました。生命科学に今後浸透するとの強い印象を受ける一方で、浸透するためにはバイオ研究者とエンジニアとの活発な連携が重要との印象も受けました。高速AFMの応用展開の発表は、本CRESTチームによる発表の他に、高速バイオAFM国際コンソーシアムのメンバーによる発表も多くあり、高速AFMが既に広く活用され始めていることに参加者は驚いている様子でした。超音波・AFMの融合型顕微鏡は、生命科学研究における高いポテンシャルは示されたものの、未だ途に着いたばかりであり、多くの課題が残されていることが明らかにされました。

多くの最新成果を研究者から直接聞くことにより、本CRESTチームを含め個々の参加者が今後進むべき方向を考えることができたと思われます。また、また、多くの海外研究者との接触により、研究の新しいネットワークが確実に芽生えた国際シンポジウムであったことも大きな収穫でした。