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「エンジニアリング・ネオバイオミメティクスに関する国際シンポ」・サテライトシンポ「生物多様性と生物に学ぶ先端材料開発」
−2009年10月01日(木)〜03日(土) 産業技術総合研究所 臨海副都心センター および 北海道開拓記念館−

「エンジニアリング・ネオバイオミメティクスに関する国際シンポ」・サテライトシンポ「生物多様性と生物に学ぶ先端材料開発」_1 
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CREST研究領域:ナノ科学を基盤とした革新的製造技術の創成(研究総括:(独)物質・材料研究機構 堀池靖浩名誉フェロー)、研究課題:階層的に構造化されたバイオミメティクス・ナノ表面創製技術の開発(研究代表者:東北大学 下村政嗣教授)において、国際シンポジウムを開催しました。

今世紀に入ってヨーロッパを中心に、生物を模倣した新しい機能材料が次々と開発されはじめました。蓮の葉の超撥水性を真似たself-cleaning surface、蛾の目を模倣した無反射フィルム、ヤモリの指の構造を模倣した吸着テープなど、昆虫や植物の表面が持つ特異なナノ・マイクロ構造とそれらが有する様々な機能を模倣した新しい材料が注目を集めています。欧米における次世代バイオミメティック材料研究の潮流は、ナノテクノロジーの発展とも相俟った、生物学と材料科学の緊密な学際融合に基づく新しい学問体系を生み出すとともに、生産技術のパラダイムシフトとそれに基づく省エネルギー・省資源型モノつくりへの技術革新をもたらすものとして産業界からも注目されています。一方、我が国においては、バイオメカニクスに基づくマイクロマシンやロボットなどの研究開発が盛んであるのに対し、材料研究は必ずしも活発ではありません。そこで本シンポジウムは、海外におけるバイオミメティクス研究の現状を収集し、我が国の学問体系や産業構造が内包する解決すべき課題について議論するとともに、生物学者、材料科学者、企業の研究・開発者の交流とコラボレーションの場とすることを目的に、東京ならびに札幌で開催されました。特に札幌においては、我が国のバイオミメティクス研究において今後重要な役割を持つと思われる博物学とのコラボレーションを意識し、北海道立開拓記念館との共同企画としました。

シンポジウムでは、(1)「ナノバイオ・自己組織・自己集合」(バイオマテリアル、生物における自己組織・自己集合系とそのミメティクス、生物における階層性、バイオミメティック・ケミストリー、分子マシンなど)、(2)「バイオミネラリゼーション」(バイオミネラリゼーションとミメティクス、有機・無機ハイブリッドなど)、(3)「バイオメカニクス」(細胞バイオメカニクス、細胞力学、材料力学など)、(4)「トライボロジー、フルイディクス」(表面処理、バイオトライボロジー、バイオフルイディクスなど)、(5)「超撥水、超親水、濡れ」(表面処理、エロージョン・コロージョン、金属表面加工など)、(6)「センシング」(味覚、嗅覚、光学、熱、化学センサー、イメージングなど)、(7)「フォトニクス・オプティクス」(光合成、人工光合成、視覚、モスアイ、構造色、液晶、光スイッチなど)、(8)「バイオエナジェティクス、ネーチャーテック」(生物発電、光合成、低環境負荷技術など)、にフォーカスを当て、昆虫生物学、生理学、物理学、流体力学、表面科学、高分子科学、生化学、機械工学、無機化学、環境学など、多様な学術領域から国内外で活躍中の研究者による口頭発表と、バイオミメティクスの産業化に積極的な国内外の企業を含むポスターセッションを行いました。

今回の国際シンポジウムは、バイオミメティクスをキーワードとした生物学と工学・材料科学の連携、産学連携の場を我が国で初めて持つものであり、エンジニアリングの観点からバイオミメティクスの可能性を議論する貴重な機会となりました。異分野の研究者、企業が参加し議論を深めることで、生物学・博物学が有するポテンシャルを材料科学と工学が有効に引き出すことにより、低環境負荷・省エネルギープロセス、省エネルギー材料・システム実現に寄与できることを強く確信しました。バイオミメティクスの潮流から新規材料の設計を行い、さらにはエンジニアジングに展開し、また、我が国がこの分野において欧米と伍していくためには、材料科学やナノテクノロジーの知識や技術だけではなく、生物学・博物学の集積された知識を本格的に発掘し利用する必要があることを痛感する有意義な会合となりました。