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分子運動を基盤としたナノバイオ界面に関する国際シンポジウム開催報告
-2009年11月9日(月)~11月10日(火) 東京大学・武田ホール-

分子運動を基盤としたナノバイオ界面に関する国際シンポジウム開催報告_1 
分子運動を基盤としたナノバイオ界面に関する国際シンポジウム開催報告_2 
分子運動を基盤としたナノバイオ界面に関する国際シンポジウム開催報告_3 

CREST研究課題 「分子運動操作を基盤とした多次元的バイオ界面」(研究代表者:北陸先端科学技術大学院大学教授、由井 伸彦:CREST研究領域「ナノ界面技術の基盤構築」)において、平成21年11月9-10日の日程で「分子運動を基盤としたナノバイオ界面に関する国際シンポジウム(International Symposium on Nanobio-Interfaces Related to Molecular Mobility)を東京大学・武田ホールにて開催しました(参加登録者:118名)。

冒頭のJST・市丸 修総括参事によるJSTおよびCRESTに関する概要説明に続いて、招待講演(海外4件、国内5件)およびCRESTチーム研究紹介4件の計13件の講演を実施しました。

米国ノースウェスタン大学・Phillip B. Messersmith教授は、貝の接着タンパク質を模倣したマテリアル設計の基礎とそのバイオマテリアルとしての応用について解説しました。スイス連邦工科大学・Mattias P.Lutolf准教授は、幹細胞分化のための環境としてのヒドロゲル設計の広範囲な適用について解説しました。瑞国ヨーテボリ大学・Mattias Berglin助教授は、表面分子運動性とバイオマテリアル機能との関係について幾つかの研究事例を紹介しました。米国ペンシルバニア大学・Dennis E. Discher教授(急きょ不参加のためAmnon Buxboim博士が代理発表)は、バイオマテリアル表面の弾性率と幹細胞の分化誘導との関連性について解説しました。
とりわけ今回の国際シンポジウムでは、分子運動制御とバイオ界面創製との観点から研究者を海外から招聘し、新たな人的ネットワークを構築できた点も有意義でした。国内招待者として九州大学・高原 淳教授は、自身が主宰するERATOプロジェクトにおけるソフト表面解析について紹介しました。岡山大学・成瀬 恵司教授は、力学刺激による細胞機能変化について紹介しました。九州大学・木戸秋 悟教授は、メカノバイオロジーの視点をもとにしたバイオマテリアル設計について紹介しました。山形大学・田中 賢教授は、ハニカムパターン構造表面における細胞機能誘導について紹介しました。東京医科歯科大学・佐々木 准教授は、機能性脂質と遺伝子との複合体形成による新たなセンシングを紹介しました。なおCRESTチームからは、由井、石原、岸田、山岡が各グループの研究進捗を報告しました。講演に続いてCREST研究総括・新海 征治先生からシンポジウムを総括してCRESTの位置づけと本CRESTチームに期待する今後の展開についてお言葉を頂戴いたしました。

今回の国際シンポジウムでは、本CRESTチームの推進しているバイオ界面と分子運動とのかかわりに焦点をあてて発表内容を構成しました。特に本CRESTチームが今後取り組んでいく研究について強化していくべきと思われる方向に関する最新情報の収集と議論を目的としましたが、表面解析手法および表面分子運動制御によって期待される細胞機能制御についての貴重な情報を収拾することができました。初日夜と二日目午前中には35件のポスター発表を実施し、ポスター発表者による2分間のミニ口頭発表も併せて実施しました。なおポスター発表については、招待講演者9名に評点を依頼して35件ポスター発表中から4件の優秀発表を選出し、閉会式の折にBest Poster Awardとして表彰しました。