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第4回ホスホリパーゼA2と脂質メディエーターに関する国際会議(4th International Conference on Phospholipase A2 and Lipid Mediators)開催報告
−2009年5月25日(月)〜5月28日(木) 学術総合センター(千代田区・一橋)−

東京大学大学院薬学系研究科衛生化学教室(会頭・新井 洋由:CREST研究代表者)の主催、JST戦略的創造研究推進事業(CREST研究領域「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出」および、さきがけ研究領域「代謝と機能制御」)共催により、第4回ホスホリパーゼA2と脂質メディエーターに関する国際会議(4th International Conference on Phospholipase A2 and Lipid Mediators)を2009年5月25日〜28日の日程で学術総合センター(千代田区・一橋)にて開催しました。

本会議は、「血小板活性化因子と脂質メディエーターに関する国際会議」と「ホスホリパーゼA2と脂質メディエーターに関する国際会議」が2004年より合体し、現在に至る脂質メディエーターに関する国際会議です。脂質メディエーターとは、プロスタグランジンやロイコトリエンなどに代表される脂質由来の生理活性物質のことです。これらはアラキドン酸などの脂肪酸から合成され、それぞれの特異的受容体を介して生理作用を発揮し、炎症、免疫、血圧調節、脳神経機能、癌、妊娠と出産、など様々な生体機能や病態に深く関わっています。このような理由から、脂質メディエーターは創薬研究のターゲットとして大いに注目され、解熱鎮痛薬や抗アレルギー薬として医療の現場で用いられてきました。一方、ホスホリパーゼA2は生体膜からアラキドン酸などの脂肪酸を切り出す酵素で、生体にとって必要な時に必要な量だけ脂質メディエーターが合成されるように調節する機能を担っています。このため、脂質メディエーターの研究において合成酵素であるホスホリパーゼA2の研究は欠かせないものです。

近年、「メタボローム解析」と呼ばれる網羅的かつ高感度な分析手法がこの領域にも積極的に取り入れられ、プロスタグランジンやロイコトリエンに加えて、全く新しい脂質メディエーターの存在が次々と明らかにされてきています。例えば、リゾホスファチジン酸(LPA)やスフィンゴシン1リン酸(S1P)といった非常に簡単な構造を持つリン脂質が強い生理機能を持ち、さまざまな病態と関係することが分かってきています。また、魚油などに多く含まれるオメガ3脂肪酸(EPAやDHA)は、古くから炎症反応抑制といった「体に良い」脂肪酸として捉えられてきましたが、最近、これらの脂肪酸に由来する新規の抗炎症性のメディエーターが発見されてきました。

本会議ではこのような背景のもと、世界的に著名な海外からの演者32名、国内からの演者43名の講演と、主に若手研究者を中心に72題のポスター発表が行われ、さらに、300名を越える参加者による熱心な討論が行われました。CREST「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出」および、さきがけ「代謝と機能制御」から、研究者10名の講演があり、本領域の研究レベルの高さを世界にアピールする非常に良い機会となりました。国際会議は、学術総合センター内の2会場において、26・27日は朝よりプレナリーレクチャーを3名ずつ、その後シンポジウム、お昼の時間もランチボックスを提供してのワークショップ、さらに午後は2つのシンポジウム、と一日中Science漬けの日々となりました。28日は最終日にも関わらず150名を越える参加者を迎え、最後まで活発な討論が行われました。 今回、3日間の会議を通して、海外からの講演者および日本の若手研究者を中心に活発な質疑・討論が続き、今後の展望、将来性、および克服すべき課題が明確に捉えられました。本研究領域のますますの発展が確信されます。

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