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研究総括

早瀬 修二

所属 九州工業大学 大学院生命体工学研究科 教授

URL http://www.life.kyutech.ac.jp/~hayase/

研究総括からのメッセージ

 本研究領域では、次世代太陽電池の提案につながる研究を対象とし、化学、物理、電子工学等の幅広い分野の研究者の参画により異分野融合を促進し、次世代太陽電池の実用化につながる新たな基盤技術の構築を目指し、平成21年度から募集を開始いたしました。募集に当たっては、色素増感系、有機薄膜系、量子ドット系高性能太陽電池の研究、従来とは異なるアプローチによるシリコン系、化合物系太陽電池を対象とする研究、まったく新しい原理に基づいた太陽電池の創出につながる界面制御技術、薄膜・結晶成長、新材料開拓、新プロセス、新デバイス構造などの要素研究も対象としました。次世代太陽電池の創出という視点を重視し、理論研究から実用化に向けたプロセス研究にわたる広域な研究を対象として募集しましたところ、計105件の応募がありました。これらの研究提案を13名の領域アドバイザーのご協力を得て書類選考を行い、研究提案29件を面接対象といたしました。面接選考に際しては、研究構想が本領域の趣旨にあっていること、研究計画に高い独創性と新規性を有し、挑戦的であり、また単なる基礎研究ではなく、提案者自身が将来の太陽電池のどこにどのように役立つ目的基礎研究なのかを理解していることを重視して厳正な審査を行ないました。特に今年は新太陽電池に画期的なインパクトを与える新材料とともに新デバイス構造の研究開発に関する提案を慎重に審査しました。また、審査に当たっては、応募課題の利害関係者の審査への関与や、他制度の助成金等との関係も留意しました。
 選考の結果、平成23年度には、シリコン系太陽電池、有機薄膜、色素増感太陽電池、化合物太陽電池、および量子ドット太陽電池に関する要素研究、太陽電池物性評価方法、新材料合成などの広い分野の提案の中から、12件が採択となりました。いずれも新しい発想に基づく意欲的な研究課題であり、将来の太陽電池像を明確にできるテーマであると考えています。採択されなかった提案にも、重要な提案や独自性のある提案が多くありました。しかし重要であっても、本研究領域の趣旨に合わないものは不採択としました。
 今年度を持って、本領域の選考をすべて終了しました。3年間を通じ、新材料、新デバイス構造、新物性評価方法の提案、理論等、将来の高効率太陽電池の研究開発に大きなインパクトを与えることを予感させる提案を多数、バランス良く採択できたと思っています。今年度採択された3期生が加わることで、本領域のさきがけ研究者の陣容が定まり、今後、活発な議論が展開されるものと楽しみにしています。また、ここで培った人的ネットワークを今後も有効に活用し、研究を加速されることを期待しています。